カテゴリー「文学・言語」の943件の記事

2018.02.16

新井紀子 『AIは大学に合格できるか』(TED)

 近、AIの専門家と意見交換する機会が多くあります。そこには実は教育の問題が大きく絡んでくるのです。
 それが一番よく分かるのが、この動画でしょう。
 一橋大学法学部在学中に数学に目覚めるというユニークな経歴をお持ちで、東大合格を目指す東ロボくんの開発者である新井紀子さん。
 AIはすでにMARCHレベルの大学に合格できる能力を持っているけれども、東大に入れないというその理由がよくわかります。
 今ちょうど東大入試国語の指導をしていますが、たしかにあれはAIには解けないだろうなと思います。あまりに文脈力、行間読解力を必要とするからです。
 しかしMARCHレベルなら合格できるとなると、ある程度の知的作業は、人工知能によって代行できるということになります。
 もちろん、それは悪いことではなく、その部分、すなわち機械でも可能な部分は機械にまかせておけばよくて、人間はそういう意味ではとっても楽に生活できることになるということでもあります。
 そして、現状では機械の苦手とする分野について、時々能力を発揮すればよい。
 これは、私たち教育者が学校で行なってきた勉強内容を見直しなさいということでもありますね。機械ができることは学ばなくてもよいというわけではありませんが、力の入れどころに関しては、今までの知識詰め込み型学習、特に一問一答クイズ的知識ばかりをはかる試験に向けての学習ではなく、もっと創造的な学習を促す方向に変えなければなりません。
 つまり、より「人間的」な勉強をしなければならないということですね。これはもちろん悪いことではありません。AIのおかげで、私たちは人間性を取り戻すきっかけを得るかもしれないのです。
 異常に保守的な日本の教育界が、はたしてそういう変化を受け入れられるのか。これこそが、日本という国の未来を占う大きな要素になってくるでしょう。
 

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2018.02.15

石橋湛山の元号廃止論

Th_tanzan_ishibashi_2 日、立正大学に通う教え子が学校に遊びにきました。彼は将来的には法華宗の僧侶になる予定です。立正大学は日蓮宗の大学ですから、卒業後別の学校でも勉強する必要があるとのこと。
 短い時間ではありましたが、法華宗と日蓮宗の教義の違いなどについて教えてもらい、大変勉強になりました。
 その立正大学で長く学長を務めたのが、山梨県出身の総理大臣経験者である石橋湛山。
 石橋総理は、たった2ヶ月ほどで病気のため辞任していますが、その裏にはどうもアメリカの策謀があったようですね。なにしろ、あの冷戦真っ只中、ソ連、中国とも仲良くしましょうと唱えたのですから、アメリカにとっては大変面倒な総理だったに違いありません。
 石橋退陣後は、副総理であった岸信介が総理になり、日本の外交政策は完全にアメリカ寄りとなっていきます。
 まあ考えようによっては、当時の自由民主党というのは、保守からリベラルまで、非常に幅広い思想集団だったということがわかりますね。今の自民党とはえらい違いです。
 湛山の父親は身延山久遠寺81世法主、日蓮宗24代管長というバリバリの日蓮信者でしたから、彼の政治信条というのには、仏教の、そして日蓮の思想が色濃く影響しています。
 今でこそ、創価学会や顕正会のおかげで(?)、日蓮というとなんとなく保守的なイメージがありますけれど、日蓮宗と言えども仏教ですから、リベラルな世界観が基礎にあります。
 さて、そんな石橋湛山、ある意味、のちの自民党の総裁らしからず、戦後すぐに靖國神社廃止論を唱えたり、元号廃止論を唱えたりしていました。すごいですよね。まるで共産党(笑)。
 湛山の元号廃止論は、彼が深く関わっていた東洋経済新報の昭和21年1月12日号に掲載されています。時代の流れと社会の状況からして、元号を廃止し全て西暦で統一すべきだという意見です。
 ちょうど今日、新元号を今年の末以降に発表するという報道がありましたね。いろいろと便利なこともあるけれども、たしかにダブルスタンダードで面倒ともいえるし、世界史的に見ればたしかに王権の象徴のような元号が、未来的に必要なのかどうか、最近はそういう議論すらありませんね。
 もちろん私は、言霊的に必要だと思っていますよ。とはいえ、本来の言霊的な機能のためには、明治以降の一世一元の制ではなく、天変地異などでも変更が可能な形に戻さねばなりませんが。

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2018.02.14

「無鉄砲」とは?

 大入試講座で2011年の国語第四問を指導しました。いつも書いているように、本当に東大の問題を解くのは面白い。いい問題です。対策をするだけでも生徒は大きく成長します。
 で、今日取り上げた2011年の第四問ですが、今福龍太の「風聞の身体」から、アイヌの長老のカタリに関する文章でした。
 丸腰でヒグマと戦う武勇伝。私も生で聞いたことがあるカタリです。そう、もう12年も記事になるんですね、秋田の山村で長老たちの武勇伝大会に参加した時のことをこちらに書きましたっけ。
 やっぱり、秋田の山奥にはアイヌ的な文化が残っているんですね。地名なんかも完全にアイヌ系ですし、顔つきもアイヌかロシアという…。
 武勇伝というカタリは、それが嘘だろうと大げさだろうと、そんな真偽に関する野暮な考察はどうでもいいのでして、上の記事にも書きましたとおり、カタリ自身が「祭」の「場」になっているということの方が重要です。あの時は私もまた、その場に居合わせ、場を演出する「マレヒト(客人)」だったというわけですね。神事に参加していたわけだ。
 さて、こちら東大の問題のカタリですが、ここで面白かったのは「無鉄砲」という言葉です。まあ、とにか面白いので、皆さんも読んでみてください。問題は解かなくて結構です(笑)。

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 なるほど、「無鉄砲」という言葉は、面白いですね。字面どおりで解釈するなら、非武装中立(笑)。結果として無茶ということになりますね。自衛軍ぐらいは持たないとと。
 たしかに、丸腰という非武装こそが、最強の武勇伝になりますよね。国際関係、防衛においても実はそうなのかもしれないと思ってしまいました。
 本文にもある漱石の坊っちゃんの「無鉄砲」は、たしかにストレートに非武装丸腰という意味ではありませんよね。どちらかというと「有鉄砲」的なイメージ。ケンカばっかりしてる。けっこう武器持ってますよ(笑)。
 それこそ、近代的な意味においては、鉄砲を持たずに強敵に臨むことは無茶でしょう。しかし、縄文的に言うと、その逆ということもあり得る。
 日本が誇る?平和憲法の意味というのも、近代的、現代的な価値観だけでは計り知れません。なにしろ、昭和天皇のご発案なのですから。
 そのあたりについては、仲小路彰が非常に深い考察を行っています。いつか皆さんの目にも触れることになるでしょう。お楽しみに。
 さあ、「無鉄砲」の未来的な意味はどうなっていくのでしょう。

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2018.02.10

【討論】追悼・西部邁と日本

 本が足りない。なるほどそこが寂しがり屋の原点なのかもしれない。
 西部先生がお亡くなりになって、あっという間に3週間になります。
 自裁された日、私は全然かっこよくないですよ!と書きました。
 その気持ちは、正直今でも変わっていません。
 佐藤健志さんが、弟子であるからこそ直截的に、自殺は自分以外をも全て殺す行為である、と言っていますが、そのとおりだと思います。自分を消すということは、自分の肉体で感じ、記憶し、予感している世界、他者を全て抹殺することなのです。
 しかし、一方で、西部さんがお亡くなりになっても、この世はなくならないどころか、あまり大きな影響を受けていません。これはまさに、思想や批評や言論の虚しさにつながる。
 もちろん、この討論に参加されている西部さんの申し子のような方々には、大きな影響を与えていることでしょう。しかし、それも死ではなく生が影響を与えているわけですね。そこには今度は死、自裁の虚しさを感じざるを得ません。
 国家とは何か。母国とは。祖国とは。
 これもまた虚しい事実ですが、実は日本人にとっての国家観などというものは、たかだかここ150年の、それも西洋から押し付けられて、無理やり作り上げようとした思想にしかすぎませんでした。
 だから、結局、国ではなく「母」に帰っていった。母というか母性でしょうかね。だから、亡くなった奥さんに対する、まるで小さな子供のような甘えが現れてしまった。奥さんやお母さんという「女」に帰っていったのでしょうね。
 日本が足りない…それは結果的には母性に対する渇望だったのかもしれません。西洋は父性の原理、東洋特に日本は母性の原理。
 あえてそういう見方をすると、西部さんを一つの象徴とする、日本人の寂しさが分かるような気もしますね。
 仲小路彰が「21世紀は太陽の世紀」と言った意味は深い。

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2018.02.09

スマホで朝生~激論!AI時代の幸せな生き方とは?!~

 このところとんでもなく忙しいので、とにかく移動の時間には討論番組を聴くようにしています。
 そんな中で、特に面白く、続けて2回聴いてしまったのが、この「スマホで朝生」です。もう1年前の回ですが、まだまだ新しい議論に感じますね。
 モチベーション格差かあ。なるほどね。日本の教育はモチベーションを低下させるというのは、たしかにあるよなあ。
 もちろん、私は違いますよ(笑)。私は、それこそ生徒のモチベーションを上げるのが教師の仕事だと思ってますから。
 たしかにモチベーションは特別に大切だと思います。なぜなら、そのモチベーションはモノ・コト論的にいうと、「モノ」の世界だと思うからです。
 昨年夏、「シンギュラリティはあり得るのか」という記事にも書きましたとおり、AIのおかげで、逆に人間の「意識」を際立たせることになると思いますね。
 モチベーションこそ意識です。AIにもモチベーションもどきを持つことは可能だと思いますが、ホンモノのモチベーションは人間のみに与えられた能力です。
 なんていうと、また人間至上主義だ、近代的な価値観にとらわれていると言われそうですけどね(笑)。ま、地球上では事実人間だけの特権なのでした。そこに気づくのが、21世紀の科学であり、哲学であり、そして教育でありましょう。
 それにしても、この動画、コニタンとハゲー!が出てて笑っちゃいますね。
 

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2018.02.05

椎名林檎 『カーネーション』

 しいので、更新が遅れています。
 昨日の『花すみれ』からガラッと変わって…ではなく、私には同じ世界に感じる名曲を紹介しましょう。というか、皆さんよくご存知、一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。
 NHKの朝ドラ『カーネーション』の主題歌。椎名林檎さんのすごいところは、こういうクラシカルな作曲もできるというところです。
 そこに斎藤ネコさんの、これまたクラシカルでゴージャスな編曲が加わり、どこかノスタルジックな、それこそドラマの舞台である大正ロマンな雰囲気を醸しています。
 古くて新しいというのは何なのかなと、よく考えます。古いものというのは、歴史上無数にあるわけですが、そのうちのどれが、何が未来において「新しい」ものとなるのか。
 そのあたりについては、またいつか書きます。今日はここまで。

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2018.02.04

『花すみれ』 貞明皇后作詞・信時潔作曲

Th_img_0996 の娘が大学入試10連ガチャ発動中です。今日は一晩だけ富士山に一時帰国。明日からまた旅に出ます。
 前半戦は女子大巡り。MARCHの問題より、ずっと難しい。ある意味ちゃんとした問題ばかりです。どういう学生がほしいかがよく分かります。教養ある女性を求めている感じですね。
 そんなわけで、東京に娘を迎えに行くついでに、久しぶりに多摩御陵(武蔵陵墓地)にお参りしました。
 いつもそうですが、一番すごいパワーを感じるのは貞明皇后陵です。貞明皇后との因縁(もちろん片思いですが)は、こちらこちらに書かせていただきました。
 今日もまた、貞明皇后陵の前に立った時、ポツポツと雨が降ってまいりました。いつものことです。不思議ですね。
 さて、今日は貞明皇后が作詞された歌を1曲。作曲はかの信時潔です。交響曲「海道東征」の作曲者ですね。
 実はこの曲、女子学習院のために作曲されたのですが、のちに信時自身が曲を書き換え、現在ひらがなの「はなすみれ」として歌い継がれています。また、のちに同歌詞を用いて山田耕筰が「花すみれの御歌」を作曲しています。そのへんの事情については、論文があるようですが、私は読んでいません。
 貞明皇后作詞と書きましたが、その詞は次のような和歌です。

うつふして
にほふ
はるのの
はなすみれ
ひとのこころに
うつしてしかな

 一番最初にできた「花すみれ」を小川明子さんの素晴らしい歌でお聴きください。小川さんは、信時作品など隠れた日本の名曲を多く歌われています。

 ひらがなの「はなすみれ」はこちらで聴くことができます。
 「花すみれ」の方が和風、「はなすみれ」の方がより洋風(モダン)になっていますね。いずれもいい曲です。

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2018.01.31

ブルー・ムーンとは?

Th_2018020100000007cnippou0000view しぶりの皆既月食。観測しやすい時間帯でもあり、天気もまあまあでした。ウチのあたりは何しろ寒いので、寝室の月見窓から鑑賞いたしました(そのうちに寝てしまった)。
 スーパー、ブルー、ブラッドという三つの条件が重なるのは、たしかに珍しい。しかし、ブルー・ムーンというのはよく分かりませんよね。なんでブルーなのかなと。
 と思ったら、なんと間違いなんですね!
 もともと、ブルー・ムーンとは、季節の中に4回満月がある時、その3つ目の満月の名称だったそうです。つまり、こういうことです。
 四季の一つの季節、すなわち3ヶ月の間に訪れる満月というのは、基本3回ですが、太陰暦の1ヶ月、すなわち月の公転(&自転)周期と、太陽暦の1ヶ月とはずれがあるために、たまに3ヶ月に4回満月が来る年があるんですね。
 通常の3回の満月には、1回目、2回め、最後のそれぞれに季節ごと固有の名前がつけられいますが、4回目はめったにないので、3回目の名称がなかったらしいのです。そこで、それを全季節まとめてブール・ムーンと呼んだらしい。
 それをですね、なんでも1946年に天文雑誌の老舗「Sky & Telescope」が間違えて「ひと月に2回満月がある時の両方の呼称」としてしまったというのです。それが今でも通説としてまかり通り、今回NASAまでものがスーパー・ブルー・ブラッド・ムーンと喧伝しているのです。
 まあ、たしかに珍しい現象ですし、それで多くの人々がお月見するというのも悪くありません。細かいことはどうでもいいのですが、本来の「ブルー・ムーン」は実は来年の2月19日です。2〜3年に1回の現象ですので、それ自体はそれほど珍しいことではありませんね。
 間違った説の方のブルー・ムーンも頻度としては正しい方と同じくらいですが、今年はなんと2回あるんですよね。それももうすぐ。3月2日と31日です。その次は、東京オリンピックが終わったあと、2020年10月1日と31日だそうです。
 それにしても、なんで「青」なのか、その理由は分からないままであります。いずれにせよ、ブルー・ムーンは天文現象とは言えません。人間の勝手な暦の中でのことですから。スーパー・ムーンやブラッド・ムーンとは違います。

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2018.01.30

文MON next 115号 「音」

Th__20180131_180434 文さんが送ってくれる冊子、いつも面白いし勉強になるのですが、今号は実にタイムリーな内容でした。
 昨日まで、さんざん「音」に関する記事を書いてきましたよね。そこにこの冊子が来た。テーマはまんま「音」。
 「人間の限りない可能性をみつめつづける人間探究誌」を標榜するこの冊子、いちおう定価300円となっていますが、一般の方は入手可能なのでしょうか。ネットでバックナンバーが読めるといいのですが、それも見当たりませんし、Amazonにもありません。
 内容をいちいち紹介できませんので、目次だけ掲載させてください。

 「自閉症児の優れた音楽資質とニューロダイバーシティ」…正高信男(霊長類額・認知科学者、京都大学教授)
 「静けさ、よい響きーコンサートホールのよい音」…池田覺(音響コンサルタント、株式会社永田音響設計代表取締役)
 「見えない相手に繋がろうとする」…林幸治郎(ちんどん屋、有限会社東西屋代表取締役)
 「カタリの力ー稗田阿礼の『誦習』」…北野達(国文学者、米沢女子短大教授、宮内熊野大社宮司)
 ◎わたしの転機◎「独立自尊の喜び」…鈴木孝夫(言語社会学者、慶應義塾大学名誉教授)
 読み聞かせでお母さんの脳もいきいきー絵本の読み聞かせのひみつ
 KUMONのあるところ◎ケニア
 言葉を覚えるには節をつけて歌に…公文公

 ね、面白うそうでしょ。それぞれいろいろ学びがありました。自分は自閉症児なので、コンサートホールを飛び出して、ちんどん屋になって、世界中を嘘ガタリして歩きたいなあと(笑)。
 そして、なんと言っても、我が心の師匠、鈴木孝夫先生がお元気に自己の人生を語ってくれているのがうれしい。
 そう、私のこの劇的な後半生のスタートは、実は鈴木孝夫先生と飲んだあの日に始まってたのです!あそこから、「会いたい人に会える」人生になっていきました。そういう意味でも師匠です。もちろん「日本語」「日本」についても大師匠ですが。91歳になられたんですね。もう一度お会いしたいです。

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2018.01.27

加藤登紀子 『ペルシャの子守歌〜わたしの花』 (山川啓介作詞)

Th_o0400030013991204357 う1曲、山川啓介さんの知られざる作品を紹介しましょう。
 この写真では、山川さん、「北風小僧の寒太郎」を持っていますね。そう、子ども向けの作品も多く手がけている山川さんです。戦隊もののテーマ曲なんか膨大に書いてます。
 もしかすると、この曲も子ども向けと言えるかもしれません。NHKの「みんなのうた」で放送された曲です。1984年ですから、私が二十歳の時。大学生か。なんとなく覚えていました。
 加藤登紀子さんが歌っています。イラン民謡ということですが、その元歌がなんなのか分かりません。
 ここでの山川さんの歌詞は、なんとも優しくファンタジーに溢れていますね。たしかにリラックスして眠くなります(笑)。
 加藤登紀子さんの歌唱も穏やかで美しい。アニメーションが芝山努さんというのもすごいですね。こういう絵も描くんだ。
 隠れた名曲だと思います。どうぞお聴き下さい。


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