カテゴリー「文学・言語」の1000件の記事

2021.09.20

BTS 『MIC Drop (Steve Aoki Remix)』

 

 BTSが国連総会で演説したというニュースがありましたね。純粋にすごいグループになったと思います。

 ということで、昨日のNCTに続き、今日はBTSの話をしましょう。 

 昨日の記事では「BTSは欧米音楽に魂を売った」と書きましたが、もちろん韓国の国策としての文化輸出の賜物であり、そういう目的を極めて行けば、「最も金になる市場」に合わせていくことは当然です。

 アーティストとして卓越した才能を持つ彼らは、ある意味では表現者としてのそのアーティスト性を捨てて行かねばならず、今、葛藤の中にあることでしょう。

 特に最近欧米市場でヒットした作品の多くが、本来のアジア性を捨ててしまっていることはたしかで、それは自他共に認めざるを得ないところでしょう。

Th_-20210921-71727 そんな中、かつての彼らの作品の再評価が始まっているのも面白い流れであり、たとえば近過去の楽曲「MIC Drop」のスティーヴ・アオキによるリミックスが10億回再生を達成したことも、記憶に新しいところです。

 スティーヴ・アオキは、アメリカ生まれのアメリカ育ちではありますが、両親は純粋な日本人であり、本人も日本人としてのDNAを強く意識していますよね。

 ある意味、私たち日本に閉じこもっている日本人よりも、日本を知ろうとしているかもしれません。

 そんな彼が、やはり母国を離れたBTSとコラボすることによって、欧米の反対側にあるアジアのスピリット、それも「メタ」なスピリットを世界に発信してくれているのは実に有り難いことだと思います。

 日韓友好という意味でも、このコラボは「メタ」ですよね。

 この時代、文化的鎖国を解いて、私たち日本人も「メタ」な日本、日本語、日本文化を操って世界に打って出る(即ち恩返しする)ことも必要ではないでしょうか。

 「メタ」と言えば、ママさん登場のアオキ・ヒロユキさんのこの動画、大好きです(笑)。

 

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2021.09.12

『若者のすべて』が教科書に!

 昨日、KANSASのライヴをおススメしましたが、そういえば10年前にKANSASとフジファブリック(志村正彦くん)の類似性について書きました。

 その記事を今見ると動画が消えてしまっているので再掲しますね。ちょっと長いのですが、今日のテーマにつながっていきますので。

(2011.02.21)

 地平線を越えて(Live at 両国国技館…これ行ったなあ…)

 日、「プログレ」の話が出ましたね。私の音楽のルーツの一つは間違いなくプログレです。そう言えば私、一時期「プログレッシヴ・バロック」という古楽バンドやってましたっけ。ま、それほどそういう世界が好きだということです。
 プログレというのは面白いもので、本来アンチクラシック音楽(近代西洋芸術音楽)、民俗音楽回帰というところから始まったはずのロックが、「芸術性」すなわち「複雑さ」「構築美」(最初の変換が「好乳首」になってしまった…爆笑)を求めるという、ものすごい自己矛盾の上に成り立っているんですよね。
 ま、一絡げには言えませんけれど、いろいろな国にそれぞれの民俗音楽と芸術音楽があって、それらをそれぞれの国のロック・ミュージシャンたちが、なんとか融合しようと頑張った時代があったわけです。
 その結果、だいたいがまた新しい矛盾に遭遇することになりました。それは「難解さ」が生む「非大衆性」です。本来大衆音楽であったはずのロックがどんどん難しくなっていって、一度聴いても分からないような方向に行ってしまった。
 日本のプログレもそうだったんです。それはそれでマニアックなジャンルとして魅力的でしたがね。しかし、なかなか商売にはならなかった。自己矛盾は自己矛盾のままだった。
 私も、自分自身がそういう音楽を求めていた時もありますから、この分野に関してはかなりうるさい方だと思いますが、上記のいろいろな事情を考慮した上でですね、フジファブリックの「地平線を越えて」はすごい曲だと思います。
 つまり、そうした自己矛盾を見事に昇華しているということです。8分の12の複合拍子を基本に、変拍子やポリリズムなどを含むことや、また、特殊な転調や先の読めない展開、メロディーではなくパッセージ(リフ)の積み重ねなど、いわゆるプログレの王道をしっかり押さえつつ、メロディー的には日本古来の四七抜きと西洋音階を巧みに混合し、加えて、日本語の譜割りが実にお見事。開音節構造から生まれる単調なシラブルを羅列することによって、音楽的なポリリズムを意図的に無意味化しているところがあります(なんて、いかにもプログレな分析、解説でしょ?)。
 私は、この曲を初めて聴いた時、この志村正彦という男はいったい何者だと思いましたよ。こんな若者がいるのか!これは天才だ。その時は、まさか彼が富士吉田の青年だとは思いもよりませんでした。
 そして、この曲を聴いて、音作り的にはイエスなども想起されましたが、なにより私の印象と重なったのは、アメリカン・プログレの雄、カンサスのこの曲です。「ポートレイト」。
 ELOと並んで、私にヴァイオリンを始めさせたバンドの一つが、このカンサスです。中一の時、こんなのを盛んに聴いていたんですからね、ずいぶんとませたガキでした。てか、みんなこういうの聴いてましたよ、あの時代は。

 

 

 さて、ここからどんな話になりますかと言うと、志村正彦作品「若者のすべて」が音楽の教科書に!という話です。

NHKのニュース

 「若者のすべて」。言うまでもなく志村正彦くんの代表作です。彼亡き後も含めてフジファブリックの代表作と言っていい。

 もちろん志村くんも喜んでいることでしょう。しかし、一方で「若者のすべて」を「代表作」とされることにはどうでしょうか。

 そう、KANSASですと、彼らが得意とする難解なプログレ作品ではなく、美しいバラード「Dust In The Wind(すべては風の中に)」が最も有名な作品となりました。

 

 

 そういうことってよくありますよね。一番売れた曲が「らしくない」ということ。

 フジファブリックの「若者のすべて」もそういう曲だと言えましょうか。

 もちろん、とんでもない名曲なわけですし、当時初めて聴いた時もちゃんと「志村正彦らしい!」と思ったのですが、たとえば最近の若者がこの曲からフジに入って、その他の「(いい意味で)変態的な曲」を聴いたら、ちょっとビックリするかもしれませんね。彼(彼ら)にしてはシンプルな楽曲ですし、歌詞も妙にピュアです。

 旧作から、志村くん最後のアルバムになった「クロニクル」まで変わらず底流する、志村くんらしい抒情性と表現することもできますし、アレンジのちょっとした「面白さ」も彼ららしいと言えますが、やはりどこか屹立した異彩を放っていることもたしかです。

 これって天才によくある「あれ」でしょうか。亡くなる直前も、あまりに「降りて」きすぎて、器たる彼は眠れなかったと。それを書き留めた付箋が壁中に貼ってあったと。

 あの頃の志村くんは、すっかり地平線も自我も越えてしまっていたということでしょうか。そして故郷に一度帰ってきて、そして永遠の旅に出てしまった。

 いずれにせよ、彼の「代表作」が、高校の音楽の教科書に掲載されることになりました。これは本当にすごいことです。

20210913-124625 教育芸術社のMOUSAに掲載されるポピュラー作品の一覧を見てみましょう。

 なかなかマニアックな選曲ですよね(笑)。

 「若者のすべて」は2000年代の代表作品として選ばれたとのこと。

 志村正彦が、服部良一、いずみたく、村井邦彦、山下達郎、織田哲郎らと肩を並べたというのは、純粋に嬉しいですし、とんでもないことだと思います。よく見れば、加藤和彦、甲本ヒロトもいるではないか!米津もたしかに新しいソングライター形ですかね。

 いろいろ小難しいこと書いてきましたが、とにかく、志村くん!おめでとう!ですね。

 なにしろ学校で教えられるのですから。バッハやモーツァルトや八橋検校と並んで!

 さあ、あらためてこの時代を飾る名曲を聴いてみましょう!

 

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2021.08.28

【討論】教育に日本の希望を!

 

 変忙しい中ではありますが、この討論を倍速で聴きました。非常に勉強になりました。

 ここ数年「(旧来の)学校をぶっ壊す!」と言いつつ、なかなか堅固な内なる防壁に妨げられて、やや戦意を喪失している私(苦笑)。

 一方で、この保守派の討論を聴くと、ぶっ壊すべき学校はどこにあるのか、もっと言えばどっちなのか、正直よく分らなくなってくる私もいます。

 また、国語の教員であり、日本語・日本文化研究家などと自称しながら、案外古典的な世界を簡単に捨てている私もいて、それもまた迷いの原因の一端になっています。

20210828-75334  特に竹本三保さんの、自衛隊と学校との比較からの考察は面白かった。私が排除しようとしていた学校の軍隊文化はとっくに駆逐されつつある…いや、もともとなっちゃって軍隊文化だったということでしょうか。

 また、孤立無援となっているかのような森口朗さんの言説にも、私は大いに共感します。やはり一番現場をよく知っていらっしゃるなと。

 私も、もう一度ふんどし締め直して戦ってみましょうかね。今、ちょっと現場から逃げているので。

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2021.08.05

『(CG版)ドグラ・マグラ』 奇志戒聖 監督作品

Th__ 日のNHK「ダークサイド・ミステリー」は「危険な奇書!?“ドグラ・マグラ”と夢野久作の迷宮世界」でした。

 私も大学生の時に「ドグラ・マグラ」にはハマりました。自分でも映画化したいなとか真剣に考えていました。

 その後、すぐに松本俊夫監督によって奇跡の映画化が実現してしまい、これはかなわないなと自分の夢を諦めて以来、すっかり夢Q世界から遠ざかっておりました。

 で、久々に松本版を見ようかと思ったら、ストリーミングにはないことがわかり、代わりにこのフルCG版を見てしまいました。

 これって逆説的になかなかいい作品になってますよ。けっこう厳しく評価されていますが、私はそれなりに楽しめた。

 2010年のCG、それも低予算の中ですので、ほとんどゲームのグラフィックになっていますが、それが逆に現実味を奪っていて妙味になっている。

 もともと原作が虚実皮膜の間を彷徨させるのを目的としているのですから、こうしてあえて中途半端に表現することもいいのではないでしょうか。

 もちろん、それが意図したものではなく、技術的、経済的な制約の中から期せずして生まれたものだとしても。

 ちょうど昨日、高山良策の「造形」の重みを紹介し、一昨日は「CGには重力がない」という話を書きましたね。この作品を見ると、その意味がよく分かるでしょう。

 そう、実は優れた絵画というのも「重力」を描ききっているのです。決して写実的ではない(と言われる)浮世絵も、実は重力に関しては写実的なのです。

 また、日本の名作アニメたちもそうです。製作者たちが意識しているかどうかは別として、日本のアニメはある意味写実的なのです。

 ところで、このCG版ドグラ・マグラ、時代は近未来だし、ストーリーもかなり端折っているけれど、どこか原作に「写実的」であるように感じるのは、作画的なことではなく、実は人間の心の「重力」をしっかり描いているからでしょう。

 そう考えると小説においても、「重力」の表現が重要であることが分かってきますね。

 特に「胎児の夢」と「脳髄論」については、現代においてもいろいろと考えさせられます。私の「モノ・コト論」にも深く重く関わってきます。

 というわけで、久しぶりに夢野久作を読んでみましょうかね。今は無料で読めますから。

Amazon 夢野久作

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2021.06.14

追悼 小林亜星さん…あなたとコンビに…

Th_unknown_20210615084301 曲家にして名俳優でもあった小林亜星さんがお亡くなりになったとの報が…。

 「北の宿から」という名曲を残してくれただけでも本当に素晴らしい作曲家でした。

 しかし、作曲家として特に評価すべきは、歌謡曲ではなくCMソングでしょう。いちいち挙げませんが、あれもこれもです。全て一瞬で印象に残るメロディーばかり。

 これってコピーライターの仕事と似ていますよね。短いパッセージをいかに印象的にするか。その商品の、特に映像印象とどう有機的に結びつけるか。

 そういう意味で、私が特に「すごいな」と思っていたのが、あのコンビニのテーマソングです。

 ファミリーマートというと、あの入店音「大盛況」が有名というか印象的ですが、実はこちらのテーマソング(サウンドロゴ)も耳になじんでいますね。Img_7780

 楽譜を見てください。たった12個の音符を並べただけですが、どこか温かみを感じる音印象になっていますよね(ちなみに入店音は11個の音符)。

 歌詞の「あなたとコンビに、ファミリーマート」はコピーライター仲畑貴志さんのお仕事です。

 最小限の情報で最大限の効果を上げるという意味では、日本人は俳句や短歌の歴史を持っていますよね。逆の言い方をすれば、行間、音間のイメージを大切にしているということ。

 いや、少ない情報どうしの関係性のクオリアに、モノの本質を感じるということです。関係性においては、実はコトという情報の数が少ない方が多様性や深さを担保できるんですよね。

 コトという不動点が増えると、その引力のベクトルによって、どんどん自由度が下がっていく。科学は基本、そういう方向性を指向し、西洋音楽もそちらに向って発達しました。

 日本の文化の本質は、コト(言語)ではなくモノ(非言語的印象)にあると、私は考えているので、こういうコピーやロゴに興味がありますし、自分も比較的そういうモノが得意なのです。

 このファミマのサウンドロゴは2017年に「音商標」として登録されました。小林亜星さんの偉大なるお仕事は永遠に語り継がれ、聞かれ継がれることでしょう。

 最後に、弔意と敬意を込めて、海上自衛隊による小林亜星オムニバスを紹介します。いかにすぐれた「モノガタリ」作家であるかが分かります。そして、ニセ亜星がいい味出してますね(笑)。

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2021.05.27

『実相寺昭雄 才気の伽藍』 樋口尚文 (アルファベータブックス)

Th_51ck6hlvbl 日、NHKのBSでウルトラセブンの名作「狙われた街」が放映されました。

 録画したものを、もう3回観てしまいました。何度観ても素晴らしいですね。

 こんな鬼才の作品を幼少期に観ちゃったから、こんな大人になってしまったんですよ(笑)。どうしてくれるんですか。

 有名なちゃぶ台シーンや夕景での対決シーンだけでなく、全体にわたって実相寺節満開ですよね。

 冒頭で小学生たちがみんなマスクしているのは、なんだか今の世の中からすると象徴的です。まあ、私も当時京浜工業地帯の際に住んでいまして、光化学スモッグで何度か倒れましたから、そう考えるとあの頃の方がもっとひどかった。

 公害だけでなく、交通事故、爆破事件、誘拐など、たしかに日常が異様にスリリングでした。だから、セブンの世界観は本当に現実と重なっていたのです。そして今に至ると。

 この本もまた、素晴らしいですよ。決定版ですね。「才気の伽藍」というタイトルの時点で、私はノックダウンでした。分かる!たしかに伽藍だ!

 総門から、山門、回路、仏殿、法堂、鐘楼、禅堂、そして「後餓鬼」、大庫裏。見事な構成です。そして、それぞれに配置された仏像や仏具、そして経文からに至るまで、まさに「実相寺」の全体像と細部を見事にまとめ上げてくれています。

 様々な「文化財」に触れながら、私たちは最終的にその「教え」に触れることができるのです。

 そして、その「教え」によって、今の私が生きていることを実感しました。

 また、私たちは「実相寺」での修行を終えて、そこから先に進むことができているのだろうか…そんなことも考えさせられてしまいました。

 映像、音楽、さらにはAVの世界まで、はたして彼を超える作品がその後生まれているのか。百年後、千年後にも語られる作品が、どれほどあるのか。

 仏教、音楽、宇宙人、地球防衛、虚実皮膜、日本文化、映画…今の私の充実した人生を創り出してくれた実相寺昭雄。こうして人の人生まで創り上げるのが、本当の芸術家、クリエイターなのでしょう。

 どうしてくれるんですか…と書きましたが、ここからは自分自身で始末をつけるしかありませんね。感謝を胸に頑張ります。

 

Amazon 実相寺昭雄 才気の伽藍

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2021.05.23

『姉妹坂』大林宣彦監督作品

Th_81iswhrohol_ac_ul320_ 「げ恥婚」が大ニュースになっております。まるでロイヤルウェディングのようですね。

 みくりのお母さん役、富田靖子さんのファンであるワタクシとしては、ワイドショーなどに富田さんが登場するかと思って楽しみにしていたのですが、残念ながら…。

 で、富田靖子さん、そして「逃げ恥」と同様に少女漫画原作の映画ということで、この作品を久々に鑑賞いたしました。

 大林宣彦監督の代表作でありながら、なぜか長いことDVD化もされず、あまり注目されていなかったこの作品。

 原作の昭和少女マンガのあの雰囲気と、大林監督の良い意味での嘘臭さが見事にマッチした名作だと思います。久々に鑑賞しましたが、なんか感動してしまいました。

 1985年の作品。美しい四姉妹の物語といえば、この映画の2年前に公開された「細雪」を思い出します。私もこの1983年版の細雪(市川崑監督)が好きです。

 「細雪」の四姉妹は、岸恵子、佐久間良子、吉永小百合、古手川祐子。うん、すごい。美しい。

 「姉妹坂」の四姉妹は、紺野美沙子、浅野温子、沢口靖子、富田靖子。うん、すごい。こっちも美しい。

 昭和の新旧対決という感じですよね。

 旧では、佐久間良子さん、新では浅野温子さんの演技が光りました。つまり「次女」。

Th_819h0j2rydl_ac_ul320_ 特に今回しみじみすごいなあと思ったのは、浅野温子さん。なるほどトレンディドラマの女王だったのも、こうした基本的な演技力に支えられてのことだったのですね。

 ストーリー的には、まさに昭和の少女マンガ的であり、恋愛のすれ違いと不治の病、そして…と、ハラハラ・ドキドキとなんとも煮え切らない感が、逆に新鮮だったりします。

 細雪ほどではありませんが、今どきの恋愛、たとえば「逃げ恥」とはかなり違った、ある種の「暗さ」があっていいですね。

 興味を持った方は、こちらでどうぞ。

Amazon 姉妹坂

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2021.05.20

『11.25自決の日 三島由紀夫と若者たち』 若松孝二監督作品

Th_915z3pmvkdl_ac_ul320_ しくて本を読んだり映画を観たりする時間がとれません。そこで、朝4時半に起きてその時間を確保することにしました。

 とりあえず録画してあったこの映画を鑑賞。朝から気分を悪くしました(苦笑)。

 私と三島はどうも相性が悪い。仲小路彰も三島には厳しかった。

 豊饒の海〜仲小路彰の三島由紀夫評

 仲小路は「三島には音楽がない」と語ったそうです。なるほど。

 さて、この映画の公開直後、何かの因縁か若松監督は不慮の事故で亡くなってしまいました。

 三島や森田必勝は、この映画が気に入らなかったのでしょう。

 井浦新の三島が軟弱すぎる(肉体的にも)と評されることが多いのですが、私には、三島の「弱さ」の表現、ある種の「かっこわるさ」の表現としては良かったと思います。

 つまり、若松監督は決して自決を美化しようとしていなかったということでしょう。

 『三島由紀夫 vs 東大全共闘 50年目の真実』についての記事でも、私はけっこう厳しいことを書いています。結局、楯の会も、自衛隊入隊も、討論も、そして自決の日も、茶番でしかなかったのかもしれません。

 結局、味方だと思った自衛隊に無視され、揶揄され、辱めを受けて死ぬしかなかった。それは戦前の二・二六事件と似た構図に見えるかもしれませんし、三島はたしかにそこに自分を重ねていたのでしょうが、やはり本質的に大きな違いがあるのです。舞台が違うのに、同じシナリオを演じてしまう滑稽さ。

 皮肉にもそんな「不甲斐ない」雰囲気が、若松監督によって見事に表現されてしまったということでしょうか。

 若松監督の方こそが、時代に殉じたのかもしれませんね。

Amazon 11.25自決の日

 

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2021.05.02

<鼎談> 「日本語の世界・日本語と世界」

 日の続きです。鈴木孝夫先生と、金谷武洋先生と、井上逸兵先生の鼎談動画です。

 金谷武洋さんについては、もう15年ほど前に、このブログでご著書を紹介していたんですが、驚いたことにそこに鈴木孝夫大明神の名前も出てきているんですね。やはり当時の私もお二人に似た波動を感じていたのでしょう。

『日本語文法の謎を解く−「ある」日本語と「する」英語』 金谷武洋 (ちくま新書)

 結果として、こうしてご一緒にお話されている動画を同じこのブログで紹介することになるのですから、なんとも不思議なものです。

 いきなりダジャレでエンジン全開の鈴木先生(笑)。素晴らしいですねえ。金谷先生のお話も面白い。

 最後の大明神の「遺言」が心にしみます。「世界、人類、宇宙という気宇壮大なプランの中での日本語の世界普及」…これはまさに仲小路彰の思想哲学そのものです。日本語と限定していますが、それはすなわち日本の文化、哲学、思想、行動様式そのものですから。

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2021.05.01

鈴木孝夫講演 「なぜ日本語を世界に広める必要があるのか」

 

 日、追悼記事を書きました、鈴木孝夫先生…やはり私にとっては鈴木孝夫大明神だなあ…の3年前のお元気なお姿。

 まさに大明神と呼ぶべき、偉大なる明るい神ですよ。本当に。お笑い芸人のようなトークですね。面白すぎます!

 笑いが絶えませんが、おっしゃっていることは非常に重い内容です。

 この変らぬ語り口というか喋り口に、サシでじっくり飲みながらお話を聴いた時のことを思い出しました。

 先月の追悼記事に書いたとおり、鈴木孝夫先生は井筒俊彦先生を通じて、間違いなく仲小路彰の影響を受けています。

 鈴木先生にお会いした時は、まだ私、仲小路彰のことを全く知りませんでした。いつか再会してその話をと思っていたのですが、残念ながらお亡くなりになってしまいました。残念です。

 ヨーロッパ文明の矛盾をつき、21世紀は日本(日本語)という特殊な文化が、この地球を救うと真剣に考えておられた鈴木先生。

 今、私も違った経路ですが、仲小路先生の言葉に触れ、その遺志の一部だけでも継ぐことができるよう頑張っています。鈴木先生の分まで、さらに頑張らねば。

 それにしても、たしかにこんな頭脳明晰かつ有言実行の方がいたら、老人ホームは大変ですね(笑)。

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