カテゴリー「教育」の1000件の記事

2025.04.29

『だっこがしたい足くん』 そうた (Clover出版)

81hwpcqvl_sl1500_ 京は築地でセミナー。今日も楽しくお話させていだきました。

 さて、昨日は絵本作家でもある大宮エリーさんの訃報を受けて記事を書きましたが、先日の宍粟市でのセミナーにとっても素敵な絵本作家がゲストに来てくれました。

 そうたくん。「だっこがしたい足くん」という、とってもピュアかつユーモラスな絵本の作者。小学生絵本作家さんなのです。

 世間でいう発達障害「だった」そうたくん。彼が大切にして世界に広げようとしているは「だっこ」。

20250506-144930 この日、初めての彼との交流は「ピアノ」でした。言葉ではなく音楽の即興演奏コラボですぐにお友だちになりました。音楽で「だっこ」したのです。

 「だっこ」は愛でしょう。そうたくんは、お母さんの愛をたくさん受けて、発達障害から絵本作家に変身しました。

 この作品は、ある意味昔のそうたくんなのかもしれません。いろいろな意味での「だっこ」をしたいけれど、してもらいたいけれど、うまく表現できなかった。

 そんな自らをユーモアもまじえて客観的に描けるのは、小学生としてはある意味「異能」です。それを世間では発達障害と言ったりするわけで、そうした「異能」が生かされない学校教育、あるいは社会全体に、私は強烈な違和感と危惧を抱くものです。

Img_0013 この日、そうたくんは学校をサボって私の講演会に来てくれました。そして、8時間にわたり、じっと私の話を聞いていてくれました。私もうれしかった。

 彼は5月25日に「サムライ講演会」の決勝戦に出ることが決まっており、そのリハーサルも休み時間にやってくれました。「だっこは地球を救う」「パンダフル」…私は涙が止まらず困ってしまいました。

 決勝戦当日は、オンライン投票もできるようなので、ぜひ皆さん、そうたくんを応援してください!

 サムライ講演会

Amazon だっこがしたい足くん

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2025.04.28

追悼 大宮エリーさん

Img_5210 梨で学校のお仕事の日。

 残念なニュースが。尊敬する大宮エリーさんがご病気でお亡くなりになったと…。若すぎる。惜しすぎる。

 最初にエリーさんを意識したのは、大好きな「サラリーマンNEO」でした。すごい脚本家がいるなと。

 写真は2019年、初めてお会いした時のもの。私主催の忘年会に来てくれた時です。本当にマルチなお仕事をされている方で、私にとっては本当に憧れの方。お手本となるような方でした。

 忘年会後も時々連絡を取り合って、私にアドバイスくれる時も、逆に私がアドバイスさせていただくこともありました。

 レベルは違えど、お互いマルチな宇宙人ということで、不思議な共鳴のある関係だったと思います。

 コロナ後は私も忙しく、なかなかお会いする機会がありませんでした。最近では私も縁のある妙心寺の塔頭で襖絵の展覧会をやっていました。行きたかったけれど行けなかった。

 ただただ残念です。僭越ながら、少しでも御遺志を継ぐことができればと思っています。

 御冥福をお祈りいたします。

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2025.04.25

国語便覧(第一学習社)

 阪市内で中級セミナー。

 今朝こんなネットニュースが。

国語便覧、突如SNSで注目 まさかの過去最速完売「情報量えげつない」「これぞ教養」「コスパ最強」の声

 やっと世間が気づいたか。私はこのブログでも20年近く前に「第一学習社」の「国語便覧」をおススメしていたんですよ!

 我ら国語教員にとっては、便覧は良き教材であり、どこの便覧が一番いいか、各社から送られてくる見本、献本をけっこう隅々まで見るのですよ。

 で、ワタクシ的には第一学習社が一番いいなと思って採用してきたのです(最近現場では使っているのか分かりませんが)。ちなみに次にいいなと思っていたのが「浜島書店」版。

Img_9878 今も仕事場の机の上に、いつでも開けるように置いてあります。こんなふうに。「2024年度用 審査用見本」とありますね。

 昔より高くなったとはいえ、この情報量と質で約1000円(税込み)はたしかに安すぎる! 大人の教養書としては最高ですね。

 何よりグラフィック的に楽しいので、ふとめくって、ふと眺めて、ふと読み始めるという使い方にぴったり。

 考えてみると、自分の高校時代、数学の時間とかに国語便覧を読み漁ってたっけな。読んだページに印をつけて、3年間で全部読み終わった記憶があります。

 教科書よりも早く時代に適応しているのも良い。各社競って、日本語や文学についての最新トピックを取り入れようとしますからね。

 かつてセールスの方に聞いたことがあるのですが、便覧に関しては(も)、各社がお互いのものをよく読んである意味真似るので結果として似たものになるとのこと。まあそうなんでしょうね。

あとは、教科書も全般に言えることなのですが、だんだん大型化している。そして、一部デジタル化している。この第一学習社版も、QRコードで専用ページに飛んで、動画などを参照することができるようになっています。

 というわけで、私からもあらためておススメいたします。

 ところで、なんで国語だけ「便覧」なのでしょうね。あとはだいたい「資料集」なのですが。

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2025.04.22

ホワイト社会?

20250427-94929 府にて新任教員研修の講師&司会。若い先生方、みんな真面目ですね。写真は午後のグループワーク。

 プロたるものテクニックも重要ですから、限られた時間の中ですが、それなりに技を伝授できたと思っております。みんなこれから頑張れ!

 ふだんは学校や学校の先生をディスる講演をしておりますが、それはもちろん愛に根ざしたものです。誇りもあります。だからこそ苦言を呈するのです。

 世の中、なかなか、そうした愛のムチや愛の叱責、苦言、そうしたものが認められなくなってきています。いわゆるホワイト社会化が進んで人間力が低下していると感じますね。

 一方、懐古的にいろいろ言っていても仕方ないことも理解します。現実に対応していかねば自分が損をする。避けられるリスクは避けたほうがいい場合ももちろんあります。

 尊敬する岡田斗司夫さんが提唱する「ホワイト社会」。これは良いことなのか、悪いことなのか。ブラックの反対がホワイトなのか。二元論的に語っていいのか。学校はホワイトであるべきなのか。非常に難しいですね。

 世の中がホワイトの方向に向かい、岡田さんが言うように特にパブリックがその傾向を強めるなら、パブリックな存在(「先生」と呼ばれる仕事全般)は現状に対処していかねばならないでしょうね。

 私は学校以外の現場では、あえてリスクをとってでも「愛」の形を模索していこうと思っています。そして、今のところそれがうまく行っているようです。「愛」はホワイトでもブラックでもなく、バラ色であり、虹色であるからです。

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2025.04.01

『アルプススタンドのはしの方』 城定秀夫 監督作品

320_20250406174001 津温泉でセミナー1日目。上野から特急草津・四万で移動。移動中、この映画を観ました。

 先日、横浜高校の優勝で幕を閉じたセンバツ高校野球。セミナーでよく話しますが、高校野球、特に「甲子園」はスポーツではありません(こちら参照)。

 あまりに独特な世界ですから、反対側からすると「気持ち悪い」ことになりますが、だからといってそれだけではすまされないモノ(なにか)がありますよね。

 私も批判的に語る時もあるにも関わらず、あの世界が大好きです。その一筋縄でいかない、不思議な「興奮」を実に上手に表現したのが、この「アルプススタンドのはしの方」でしょう。

 まさに反対側であるはずの「演劇部の女」や「優等生の女」や「野球部やめた男」が、いつの間にかその「興奮」の中で「興奮」していく様子を描いた戯曲。そう、高校演劇の名作の映画化がこの作品です。

 私の大好きな、そして尊敬する城定秀夫さん、さすがです!

 超低予算で、ここまで深く、感動的、ある意味煽情的な作品を撮ってしまうのですから。いやあ、これはある意味「禅的」な表現でもある。

 野球のシーンは皆無です。歓声や打球音といった「環境音」によって、世界を想像させつつ、そこに埋もれるはずの「会話」や「気持ち」を見事に掘り起こし、ドラマに仕立てる。

 もちろん、原作の脚本の素晴らしさもありますよ。しかしやっぱり城定監督の手腕だよなあ。さすが「どんなジャンルやお題でも傑作に仕上げる映画料理人的な職人監督」。

 これはおススメです。私も主人公たちと同じ気持ちで、批判、冷視から「興奮」に至ってしまいましたよ。

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2025.03.02

小林一三 『賢そうな馬鹿』

Ichizo_kobayashi_by_shigeru_tamura_cropp 西宮でセミナー。今日も皆さんのおかげで盛会となりました。

 大阪から西宮北口へ。阪急電車ですね。先日「鉄道は霊的なエネルギーを運ぶ」と書きましたが、そこにもあるように、大阪から神戸方面に向かう阪急、JR、阪神の並行した3路線は、まさに全く違うエネルギーを運んで来ていますね。

 そんな阪急電鉄を作ったのが、山梨出身の小林一三です。山梨県よりも阪神地域で有名な人物かもしれません。甲州財閥、鉄道王の一人とも言えますが、ローカルを超えた全国的な存在と言う方が正確でしょう。

 言うまでもなく、宝塚歌劇団、東宝グループの創始者でもありますし、東京の田園都市発展の立役者でもあります。私もお世話になった住宅ローンの発明者とも言えます。

 その影響力は渋沢栄一レベルと言ってもよく、そういう意味では大河ドラマの主人公になりうる、あるいはお札の肖像ともなりうる存在ではないでしょうか。

 そんな彼が書いた小文があります。「賢そうな馬鹿」。

 簡単に要約するなら、「すぐに『自分』を持ち出す、賢いことを売りにする馬鹿がたくさんいる」「そういう馬鹿は行動しないので出世しない」という話です。

 たしかにそうですね。一三はとにかく人を使うのがうまかった。自分が自分がという人ではなかった。自分の意見、考えを押し付けるのではなく、まるでそれが相手の考えであるかのように導いて人を動かしたのです。

 これは教師や講師にも必要な技術ですね。昨日の「プロ」の「超能力」の一つと言ってもよい。

 私は決して「賢そう」ではありませんが、まあせめて「馬鹿」にならないように、自分をあまり持ち出さないように生きて行こうと思います。

Amazon 賢そうな馬鹿

 

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2025.03.01

Mr.マリックの「超魔術」

 阪にてセミナー。今日もたっぷりお話しましたよ。自分で言うのもなんですが、さすがに教師を38年もやっておりますから、それなりの話術を身につけております。

 とは言え、ほとんどの教師は話術の勉強をしていないので、まあ逆に話が下手すぎる。まずはしゃべるプロでなければならないのに。そんなわけで、私は全国の先生方に話術の指導もするわけです。

 どの分野でも、他の分野の人からすると超能力的な技術を持っていないと、プロと称せないと考えています。私が7時間、ほとんど飽きることなく聴衆の意識を引き付けられるのは、少なくともそういう意識で仕事をしてきたからです…なんて言うとカッコいいですが、実際は無数の生徒のおかげです。なにしろ、彼らは「眠い、腹減った、早く帰りたい」人ばかりだったからです。強敵のおかげで必要以上に(笑)話術が身につきました。

 多くの先生は、そこを「ハラスメント」で乗り越えようとしてしまうのです。すなわち、体育教師にありがちな「威圧」とか。あるいは成績というものを振りかざして生徒をコントロールしようとするとか。これが教室の、学校の実態ですよ。

 と、一般読者にこんな愚痴を言ってもしかたないので、ここである分野の「プロ」の技、業を再確認してもらいましょう。

 Mr.マリックさんの「超魔術」。私も当時ものすごく影響受けました。教員としてのある種の「ハッタリ」の原点はここだと言ってもよい。けっこう生徒をビビらせるのに「トリック」を使いましたから(トンデモナイ先生ですね〜)。

 いや、今あらためて見ると、彼の「マジック」「トリック」の技術は並みではありませんね。「マリック」とはもちろんその両者のかけ合わせであって、つまり彼は人を騙していたわけではない。あくまで「超魔術」であって、超能力ではないということですね。

 単なる手品(奇術)を超えた「魔術」という言葉を用い、さらにそこに「超」を付すことによって、今までなかった世界を予感させるところから始まり、よく観察するとわかるとおり、彼の「言葉」の妙、そして動きや間の妙、すなわち演出力の高さにも驚かされます。

 これはやはり、ある意味での「超能力」と言えるでしょう。

 今やYouTubeによって、そのタネはどんどん明かされている「マジック」「トリック」の世界ですが、タネを知れば知るほど、その超人的なテクニックに驚かされるというパラドックスが起きていますね。やはり「超能力」がなければ「プロ」にはなれないのだと思います。

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2025.02.17

Nirvana(UK) 『Pentecost Hotel (1968)』

 

 校で仕事の日。一時間目は「涅槃会」でした。2/15はお釈迦様の命日ですね。

 成道会(12/8)でお悟りを開いたとはいえ、肉体を持つかぎりお釈迦様の苦悩は消えませんでした。そして、80歳の2/15にお亡くなりになって、本当の解脱を完成し、涅槃寂静に入ったと。

 涅槃、すなわちニルヴァーナですね。全てが消え去ったという意味です。

 ニルヴァーナと言えば、90年代のグランジロック、パックロックの雄、カート・コバーン率いるバンドを思い出しますよね。あの頃、私はどちらかというとガンズ・アンド・ローゼズ派でして、あまり積極的にニルヴァーナを聴いていませんでしたが、今耳にすると、思ったよりもポップだったりして、ああもっとリアルタイムで聴いていれば良かったと思ったりします。

 というか、ブリティッシュなポップ・ロックが好きだった私としては、「ニルヴァーナ」と言えばこちらなんですよね。サイケデリック・ロックというか、バロック・ロックというか。ビートルズのマジカル・ミステリー・ツアーから音楽に入った私は、やはりこういう感じが好きなのです。最終的にはELOに行き着き、そしてこういうバンドにありがちなストリングスを始めて今に至るというわけです。

 この本家ニルヴァーナの代表曲「ペンテコステ・ホテル」にもコテコテにストリングスが入っています。この映像でもなんちゃってチェロがフィーチャーされていますね。

 お聞きのとおり、音楽も下降音階低音を繰り返すコテコテ系ですが、メロディやアレンジの妙もあって、決して俗っぽくはなっていないかと。

 ほかの曲もなかなか良いので、ぜひこの機会に「本家」も聴いてみてください。

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2024.08.20

【戸塚宏】令和の今、体罰を語る

 日は山梨の私学研修で講師を務めさせていただきました。新時代の生徒指導ということで、20世紀的な軍隊教育からの脱却を前提にいろいろお話させていただきました。

 当然、体罰や暴言、恫喝や威圧、無視や差別などの精神的攻撃も否定しました。それは時代の流れとして当然のことではありますが、一方で前時代のあの教育手法が完全に間違っていたとか、意味がなかったとか、そんなふうには思っていません。

 時代によって解釈や価値観が変化するのは当たり前です。百年も経てば評価が180度変わることもがいくつもあることは、歴史を勉強していれば分かります。ものごとはそんなに単純ではありません。

 ある意味無垢な進歩史観から、まるで前時代の人間が愚かであったかのような言い方をする革新主義者もいますし、その反対に「今どきの若者は」に代表されるような間違った保守主義者もいます。

 かと思うと、今日も例としてお話しましたが、今やっている甲子園の抱える軍隊性についてはどちら派も看過してしまったり、まあ非常に人間の価値判断はいい加減なものであります。ノスタルジーなどの感情が論理を超えてしまうわけですね。

 さて、では皆さん。皆さんはこの炎上している動画を見て、どのようにお感じになりますか。私は一概に肯定も否定もできないのです。かなり複雑な感情になりつつ、冷静に分析するのですが、それでもやはり一つの結論にはたどり着けていません。

 人が複数死ぬ事件を起こした人が語っているという前提は一旦外してみてください。その上で、彼の語っていることをどう解釈、判断しますか。

 

 

 

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2024.08.19

いかりや長介と立川談志の対話

 

 日学校の先生方に対する研修の講師を務めます。そこでもある意味厳しく言うつもりですが、学校の先生たちって全然「しゃべりの勉強」をしないんですよ。しゃべりのプロであるべきなのに。まず自分のしゃべりを録音して反省したりすることもない。

 今はYouTubeの時代ですから、本当に簡単に良きサンプルから学ぶことができます。人気YouTuberの語り口も、予備校の先生の授業も、落語も漫才も演劇も、いくらでも勉強できる。

 というわけで、今日も勉強しましょう(笑)。

 昨日は九州人の洒脱な会話を楽しみましたが、今日は江戸っ子の二人の軽妙な会話です。いかりや長介さんと立川談志さん。二人の天才による贅沢な教材です。

 江戸っ子のテンポと間がよ〜く分かりますよね。早口でも間があれば聞き取りやすい。あと表情、手振り身振り。

 それにしてもこの二人の天才の会話、本当に貴重ですよね。今はお二人、向こうでこんな調子で話していることでしょう。若かりし爆笑問題も勉強になっただろうなあ。

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