カテゴリー「美術」の198件の記事

2019.11.23

『法然上人絵伝』 (山梨県立博物館)

親鸞が追い求めた師の姿

Th_hounenbannar 梨市に用事があり、その帰りにふと立ち寄ってみたのですが、これが想像をはるか上回る素晴らしさでした。

 私は教員なので、博物館はいつ何度行っても無料。無料だから行くというのも正直ありますよね。この展覧会は通常1000円ですから、ちょっと二の足を踏んでしまうかもしれません。

 たしかに1000円払っても納得の、いやそれ以上の展示内容でした。

 基本は、このたび修復が完了した、山梨県甲州市勝沼の古刹万福寺旧蔵の法然上人絵伝掛図を初公開という内容なのですが、それ以外の掛図等の展示が充実しすぎていて、びっくりしました。

 出品資料一覧

 国宝や重文も全国の名刹から集められており、またそれらと肩を並べて、地元富士吉田の新倉三ヶ寺や忍野の安養軒に秘蔵されてきた名品も多く出品されていて感動しました。

 つまり、現代の私たちが勝手につけたランキングとは関係なく、純粋なる信仰心は平等だなあと。

 それからやはり、絵図(掛図)の特徴として、「時空を超える」というのがありますよね。日本絵画では当たり前ですが、一つの画面に、たとえば法然上人の一生が描かれている。複数の時間と空間が自然に一同に会している。つまり、人間の記憶や夢のような、「脳内リアリズム」ですよね。西洋絵画のリアリズムとは違う。

 そこにもある種の「平等性」を感じ取りました。なるほど、仏教の世界、極楽浄土とはそういうところなのだあと。

 25日まで。ギリギリ行ってよかった。

山梨県立博物館かいじあむ公式

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2019.10.23

『アートになった猫たち展』 (南アルプス市立美術館)

今も昔も猫が好き

Th_588241301077a6d56b7311024d0991e01 位礼正殿の儀の日、入場無料だというので家内と行ってきました。

 めちゃくちゃ癒やされましたよ。猫狂いの家内は「かわいい〜」しか言っていませんでした(笑)。

 山梨県立博物館のねこ展も良かったけれど、こっちの方がより「かわいい〜」だったかも。

 猫はすでにアートなわけですが、それをさらにアートにするとなると、これはある意味パロディーになるわけで、だから思わず笑顔になるんだなと思いました。

 特にアートの擬人化作品は楽しい。浮世絵にたくさんありますよね。猫が歌舞伎役者になったりします。何層にもアートが重なっていて、それはそれは楽しいことになります。

 本当は、猫がアートである理由を考えなければならないのでしょうけれども、それは神がなぜ神なのかを語ることと一緒になってしまうので、やっぱり無理です。

 少し前に、まじめに「戦争の反対語は芸術」と書きましたが、そうしますと「戦争の反対語は猫」とも言えるわけですね。これはなんとなく納得できます(笑)。

 寿ぎの日に、そんなアートたちに出会えたこと、とてもうれしく思いました。

南アルプス市立美術館公式

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2019.10.19

【討論】クールジャパンの空虚と日本文化の現在

 日の「東京ブラックホール」で素晴らしい演技を見せてくれた山田孝之さんを、皆さん高く評価されていますね。「全裸監督」、早く観なければ。Netflixかあ。

 ちょっと変な話になりますが、「クールジャパン」は「お寒い日本」になってしまう可能性がありますが、あの時代のアダルトビデオはまさに「ホットジャパン」。今でも、世界で高く評価されています(最近の作品よりも)。水島社長の言う「色ごと」文化ですね。

 さて、今回のチャンネル桜の討論も面白かった。なんといってもカリスマ的なアニメーターである平松禎史さんが参加しているのがすごいですね。その世界に収まらない、まさにメタな視点でのご意見に感動しました。

 特に最後のお言葉。河合隼雄さんの「中空構造」のお話は、一昨日の「ブロックチェーン」の構造ともつながりますね。

 まあ日本文化については、本当にいろいろ言いたいことがありますし、この討論の皆さんの意見に反論したい部分もありますが、とりあえず宇宙人日本人(笑)から、これだけは申しておきます。あいちトリエンナーレもこういう視点で語りたいワタクシです。

 出口王仁三郎は「芸術は宗教の母」と言いました。これはすごい言葉です。そして真理だと思います。

 そこを起点に私の考えを発展させますと、「芸術は政治の母」とも言えます。ですから、ピカソのゲルニカは政治性を帯びても、それ以上に芸術なのです。

 そういう意味では、やはりこの討論で出ていた「土俗性」もまた、芸術の下位概念です。土俗性、地方性、民俗性がなくても、当然芸術は存在できます。

 もっと言えば、「芸術は経済の母」でもあります。また「芸術は科学の母」でもある。究極を言うと、「芸術は戦争以外の全ての母である」となります。

 違う言い方をすれば、「戦争の対義語は(平和ではなく)芸術である」ということです。宇宙的な視点での真理です。これってとても重要です。いずれ詳しく書きますね。

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2019.10.05

【討論】安倍総理『器』論とは真実か?

Th_egggiuyaeslpk にタイムリーな討論。タイムリーすぎて笑っちゃいました。

 今、東京国立博物館の応挙館にて出口王仁三郎の耀わん展が開かれております。器です。

 この展覧会が最高に素晴らしい。ガラスケースに入っていない、普通に触ることができる(触る方はいませんが)展示方法で、まさに耀く星々のような、まさに玉のようなお作品約20個が揃い、そう本当にその場が宇宙の銀河のような空間と時間になっているのです。

 私は、我が家でお預かりしている「十和田」を持参して行って参りました。十和田も旧友たちとの、おそらくは75年ぶりくらいの再会に悦んでおりました。

 また、応挙は王仁三郎の先祖にあたります(上田家)。そういう意味でも感動的な展示となっています。お隣の九条館での講演や能楽、呈茶も素晴らしい。ぜひ皆さんも行ってみてください。

 さて、そこでいろいろな方といろいろなお話をしたのですが、そこに安倍総理と器の話もあったのです。全く意図せずですが。

 で、今日のチャンネル桜の討論がこれ。もちろんこの討論では、「器」は悪い意味で論及されることが多かったわけですが、私の宇宙人的思想からしますと、実は安倍総理に限らず、我々は皆「器」になるべきなのです。

 しかし、その器のレベルが重要であって、また難しいところ。実際の道具、美術品としての器がそうであるように。

 この耀わんは、そういう意味では最高の良き見本だと思います。自由にして謙虚、しかし意思がある。全て呑み込むが出すものは選別されている。また、今回の展覧会で再確認しましたが、それぞれが多様であり、そのそれぞれの関係性もまた非常に多様というか無限。まさに宇宙全体が器であることを表現しているかのようです。

 と、そんなことを考えながら、この興味深い討論を聴きますと、人間の性と言いましょうか、いかに皆、自我にとらわれて生きているかがわかります。上から目線ですみません(笑)。今日はたまたまそういう日なので。

 しかし、いいことに気づきましたね。安倍総理が器という解釈。

 次元の低い言い方をしますと、安倍さんを器にたとえることによって、結果として安倍さん自身を批判から救い、またまた目に見えない「敵」のせいにしてしまうという、右にも左にもよくある傾向に陥っているとも言えますよね。

 ですから、この保守派の皆さんの舌鋒がいかに鋭くとも、どこかピントがずれているように見えたり、ある種の諦めがあるかのように見えたり、あるいは皆さんそれらしいけれど、実はそれも自己満足なのではと思えたりしてしまうのです。

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2019.10.04

細野晴臣デビュー50周年記念展「細野観光1969 – 2019」

Th_img_4773 日は東京に出張。いろいろなところへ奔走しまして2万歩も歩いてしまいました。

 何度か書いているとおり、「歩く」という意味でも「迷う」という意味でも、また「多様性」という意味でも東京は、たとえば私の住んでいる富士山以上に「自然」に近いと思うのであります。

 そんな「歩く」「迷う」「多様性」の象徴かもしれません。今日の最後の訪問先(観光先)は、六本木ヒルズの展望台「東京シティビュー・スカイギャラリー」でした。

 そう、今日から「細野観光」が始まったのです。初日に探検というわけです。

 ただ、今日はいくつかの仕事を終えてからの探訪でしたので、正直ゆっくり楽しむことができませんでした。

 本当にざっと眺めただけ。というわけで、少なくとももう1回は行かないといけません。

 たしかに富士の樹海に匹敵するほど、深く豊かでありました。それだけはよ〜くわかった。

Th_img_4780

 ちょうど時間帯が日没のあたりでしたので、東京という大自然越しに富士山のシルエットを見ることができました。

 細野さんにとっても、富士山は格別な存在です。先日、知り合いを通じて「山中湖の先生…仲小路彰」のことを細野さんに思い出していただきました。さすが細野さん、「なかしょうじ」じゃなくて「なかこうじ」でしょう、とおっしゃったとのこと。そのとおりです。

 今日は超特急での観光でしたが、細野さんの50年の時系列の中に、間違いなく「仲小路彰」「未来学原論」があることは間違いないなと予感しました。直接の展示、紹介はなかったと思いますが。

 とにかく再訪いたします。ゆっくりゆっくり都会の樹海を堪能したいと思います。

公式サイト

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2019.09.26

「表現の不自由展」大成功!?(その2)

Th_lif1909260023p1 いちトリエンナーレに対する補助金はなし、とのニュースが。

 8月のはじめに「表現の不自由展」大成功!?という記事を書きました。おバカな私は、今でもそこに書いたとおりのことを信じておりますので、今回の菅官房長官の発表、萩生田文科大臣の発言も納得というか、そりゃそうだよなと思いました。

 いや、もちろん、その結論や発言が論理的に正しいと言っているのではありませんよ。「表現の不自由」という文脈における一つの「表現」として正しいと言っているのです。

 あくまでも「表現の不自由」の「展覧会」ですから、究極の不自由を見せなければ自己矛盾を起こしてしまう。つまり、「表現の不自由展」が自由に表現されるのはおかしいということです。

 いよいよ国として政府として「ダメ!」と言ったのですから、まさに戦前戦中の検閲のごとき「表現の不自由さ」が展示されということになります。

 つまり、「表現の不自由展」も大成功に向けて佳境に入ってきたということですね…なんて、意外にもこのような見方をする人が少なくて、すなわち妙な常識や良識、正義感やイデオロギーに縛られて自由な発想をすることができないところも、ある意味「表現の不自由」なのだなと思いつつ、私はぬるく世の中を眺めております。

 はたして、この素晴らしい展覧会の本当のプロデューサーは誰なのでしょうか。私だったりして(笑)。

 

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2019.08.04

月刊 たくさんのふしぎ『一郎くんの写真 日章旗の持ち主をさがして』 (福音館書店)

Th_5145gtjtmfl_sx376_bo1204203200_  日は実は10日です。ようやく時間ができました。たまった記事をさっさと書いていきます。

 8月3日に発売になったこの本。月刊たくさんのふしぎの最新刊。「一郎くんの写真…日章旗の持ち主をさがして」です。

 実はこの絵本に、私の父が実名で登場しています。

 もう最近では、父はすっかりボケてしまって、この本に自分が登場することになった経緯も覚えていません。

 記者さんの取材を受けたのは今から5年ほど前。その直後からアルツハイマーが進行し、過去の記憶は(1分前も含めて)ほとんど消えてしまいました。

 もしかすると、この感動的な物語を、この時代に完成させるために、自らの記憶を全て絞り出したのかもしれません。

 「物語」…そうです、「モノの語り」です。意識の奥に眠っていた「無意識=モノ」が語り始めた。モノは「波動」ですから、時や空間を超えます。

 特にこの時代になって、70年、80年前の「モノ」が語り始めています。ちょうど父が記憶を失うのと並行して、私と家内もとんでもない「モノ」の語りに巻き込まれていきました。そう、このプログではあまり詳しく書いていませんが、「二・二六事件」に関わる奇跡的な偶然(必然)の出会いがありました。

 そのアナザー・ストーリーもこの令和を迎える時になって一つの結末を迎えました(こちら参照)。そう考えますと、我が家はどうもそういう運命のもとにあるようです。そのような天命を感じます。まあ、二・二六事件に関する不思議すぎる物語は、絵本にするにはあまりにオカルトめいていますが。

 この「一郎くんの写真」、ぜひお読みいただきたい。本当に不思議な実話です。そして、「一郎くん」がこの時代、この世に、言葉を超えたメッセージを送ってくれています。私の父が記憶していた、一郎くんの行動と表情は、何を物語っているのか。私もしっかり受け止めていきたいと思います。

 正直、仕事以外、あまり世のため人のためにならなかった父。晩年に素晴らしいモノを残してくれたと思います。GJ!おやじ。

 

Amazon 一郎くんの写真 日章旗の持ち主をさがして

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2019.08.03

「表現の不自由展」大成功!?

Th_subbuzz260715648113561  んだか、大変な騒ぎになっていますが、どうしてでしょうか。

 私からしますと、その騒ぎも、また実際に中止になってしまったという結末も含めて、一つの作品なのではないかと思うのですが。

 言うまでもありませんが…結果、最高の形で「表現の不自由」が「表現」されたわけでしょう。してやったりなのではないですか?

 あれ?津田さん、それを想定していたんじゃないんですか?てっきりそうだと思っていました。

Th_pk2019080202100280_size0  だから、あの苦悩に満ちた記者会見も見事なシナリオと演技だと、私は真剣に思っていた(思っている)のです。

 また、彼への批判や、主催者側の反論など、めちゃくちゃたくさんの「表現者」が参加して、それも錚々たるメンバーが参加しての、一大アートなのではないですか?

 つまり、「表現の不自由展」は大成功なのです。ただそれだけ。あれ?私がおかしいでしょうか。ネタばらししてしまった野暮な人なのでしょうか?

 だれか教えて下さい(笑)。

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2019.07.02

パッヘルベルのカノン(の視覚化)

 レビでご覧になった方もいらっしゃるでしょう。名曲アルバム+の「カノン」。お見事です。

 カノンやフーガというのは、もともとが「絵画的」「デザイン的」ではありますが、実際にそれを視覚化するとなると、そこには「センス」が問われます。

 私たちのように、普段この曲をよく演奏している者は、たしかにこれに近いイメージをもっているかもしれません。アンサンブルのしかたとしては、こういうふうに視覚化して、細かいところを合わせている、あるいは全体像を作っているところがあります。

 そういう意味でも、この「視覚化」は素晴らしいと思います。大西景太さんGJすぎます。もともと音楽の視覚化に挑戦されている方ですし、ご自身も演奏する方ですからね。御本人による解説が実に興味深い。

 途中までですが、YouTubeで観られます。もともと短縮バージョンでしたので、できればいつか全編観てみたいですね。バッハのフーガなんかもぜひ!

 

 

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2019.05.22

『なぜ富士山は世界遺産になったのか』 小田全宏 (PHP研究所)

Th_51twhuoeazl  年のゴールデンウィークはエキサイティングな出会いがありました。そのうちのお一人、富士山を世界遺産にした男、小田全宏さん。

 2013年、6月22日。富士山が世界文化遺産になった日、私はこちらに書いたように、富士山は富士山でも違う富士山に登っていました。懐かしく思い出されます。

 まさか、その悲願成就の立役者、スーパー主人公の方と、こういうタイミングでご縁ができるとは思ってもみませんでしたね。ご紹介くださった総理夫人に大感謝です。

 さて、その時プレゼントとしていただいたのがこの本です。その「絶対無理」と言われた悲願を現実化した過程が書かれている本です。

 なにより、小田さんの実現力、体現力のすごさに驚きました。そして直観力。実際、初めてお会いしたわけですが、すぐに小田さんの並外れた能力を実感しました。ああ、こういう人が世界を変えるんだと。

 私も本当に見習いたい。ご自身が提唱し普及させようとしている「脳の使い方」を、当たり前ですが、まずご自身で実行し、その成果をしっかり見せてくれている。すごい前向きなエネルギーです。

 私も多少そういうところがあると自負していましたが、まあ全然レベルが違いました(当たり前か)。

 そんな尊敬すべき小田さん(&奥様)と、全く初対面ながら、本当に不思議と意気投合させていただき、早くも富士山に関する次の大きな夢の実現に向け、一緒に第一歩を踏み出させていただきました。ありがとうございます。これからの展開が楽しみすぎます!

 さて、この本ですが、後半は、「文化遺産」たる所以である、富士山を巡る宗教、美術、文学などが上手にまとめられています。大変わかりやすく勉強になりますので、そういう目的でもぜひお読みください。

Amazon なぜ富士山は世界遺産になったのか

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