カテゴリー「書籍・雑誌」の1000件の記事

2024.07.31

南部と津軽と甲州と…

19720ef2973aa8bfe2afa2b66554ca16 前中に合宿が終わってすぐに青森市に移動してセミナー。さすがに疲れたかも。

 それでも奇跡的に集まった皆さんと「ねぶた前夜」を楽しませていただきました。街が独特のムードになってました。

 青森も面白いところですね。南部と津軽ではかなり雰囲気が違います(下北は行ったことがない。下北沢はあるけど)。

 昨日の八戸、そして今日の午前中の十和田は南部文化圏。ここ青森は津軽文化圏ですね。

 途中八甲田のあたりを通ってきましたが、そのあたりがちょうど境界線なんでしょうか。

 思えば、「南部」とは、山梨(甲斐の国)の南部がルーツですよね。案外、青森の人も岩手の人も、そして山梨の人も知らなかったりする。

 十和田神社にもしっかりこういう張り紙がありましたよ。「甲州南部氏が甲斐の国から白鳥の宮の祭神日本武尊の神霊をうつしまつり」と書いてある。

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 ちなみに甲州の「白鳥の宮」とはこちらのことです。

 白鳥神社が存在した!?

 日本にとってとても重要な十和田神社のルーツや、南部鉄器、南部煎餅、南部杜氏など、甲斐の国がルーツだと知っている山梨県人がどれほどいるのでしょうか。

91pfh6ipetl_sl1500_ 一方の津軽は南部氏の、つまり甲斐の影響は受けていないわけですが、面白いのは、太宰治が津軽から甲州に赴いたり、津軽選挙と甲州選挙が似ているところですね。

 こんな本も出てるんですよ。「民俗選挙のゆくえ 津軽選挙vs甲州選挙」。これけっこう面白かった。母校の大学の先生が書いた本です。

Amazon 民俗選挙のゆくえ

 

 

 

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2024.07.18

死なない力

41rwzekvy8l_sy522_ 日は山梨で中堅の先生方に対する研修会。司会と指導員を担当いたしました。

 講演はスクールロイヤーの方の貴重なお話。私も大変お世話になった弁護士さんです。いつも目からウロコの視点を与えてくれます。左の本の著者でもあります。

 今回もいろいろ心に残る話があったのですが、特に印象に残ったのは高知のプール事故に関わること。今後のプールの開放を中止するという教育委員会の通達について、弁護士さんは「危険の先送り」「小さな危険と大きな安全」「学校内の無事故と子どもの危機回避能力向上どちらが大事か」という言葉を使って疑義を提示しました。

 完全に同意です。学校の機能として、ある種の「失敗」を体験させるというものがあると思います。見守りの中で失敗しておくことは、大人になる前に体験しておくべきことです。

 私はいろいろな研修で、「教育の目的は『死なない力』を育てることである」と力説してきました。今回のお話はそれに通ずるものでしたね。

 「死なない力」については、今まで何回か言及してきました。

 生きる力=死なない力

 生きる力=死なない力(その2)

 積極的にリスクを負う

 一部引用します。皆さんも「死なない力」の実例をいろいろ考えてみてください。

 「死なない力」って絶対必要ですよ。一ヶ月くらい飯を食わなくても死なない。富士山が噴火しても死なない。病気になっても死なない。いじめられても自殺しない。戦争になっても死なない。経済危機が来ても死なない。「生きる力」ではなくて「死なない力」ですよ。

Amazon 3訂 教職員のための学校の危機管理とクレーム対応―いじめ防止対策推進法といじめ対応を中心に―

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2024.07.17

『今永昇太のピッチングバイブル』 (ベースボール・マガジン社)

6120av7xlnl1_sl1240_ 日のMLBオールスターゲームは大興奮でしたね!

 大谷のホームランはもちろん、今永先生の素晴らしい投球にも魅せられました。

 感動のあまり、5月に買ったこの本を改めて開いてみました。いやあ、この本、ホント最高ですよ。「投げる哲学者」の本領発揮。

 感覚の世界を見事に言語化しています。しかし感覚も大切。意識と無意識のバランスが絶妙なのですね。これっていろいろな分野に通ずることです。

 いい時代ですよね。現役の超一流選手から、細かい投球術、トレーニング方法、メンタルの保ち方まで、ここまで細かく教えてもらえるなんて。

 というか、これってプロの選手たちも読んでいるらしいですね。それはそうですよね。今や世界で活躍する先生の技術のほとんど全てを知ることができるのですから。

 かつては自分の技術は門外不出の秘密でした。敵に研究されるからということよりも、おそらく秘匿、独占、吝嗇といった心理から来るものだったのでしょう。

 最近の若者たちは、そのあたりとてもオープンであり、シェアすることで自他ともに進化することを選択しているように見えます。これは進化ですね。

 息子のような年齢の今永選手ではありますが、昔少年野球でピッチャーをやっていた者として、やはり「先生」と呼びたいと思います。これからの先生の活躍に期待します。

Amazon 今永昇太のピッチングバイブル

 

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2024.06.03

ハイデガーVS道元…哲学と仏教の交差するところに、はじめて立ち現れてきた「真理」とは?

20240608-95037 の日は学校勤務。朝イチで全校生徒に仏教の授業、午後はあるクラスに「接心」という座禅を中心とした体験授業。

 セミナーでも申し上げておりますが、私にとって最も尊敬する人類(宇宙人?)の先輩はお釈迦様であります。本当の天才。2500年以上前に全てを悟っておられた。

 恐れ多いことですが、そのお釈迦様の教えを現代流に解釈する、いや逆に原点に戻すのが私の目標であり天命の一つです。

 もちろん今までも多くの賢人がその時代ごとにそこに挑戦してきました。その代表格が日本では道元でしょう。

 そんな道元とドイツ近代哲学の雄ハイデガーが出会うとどうなるのか。それぞれの研究者である僧侶南直哉さんと防衛大学教授の轟孝夫さんの代替対談がとても面白かった。

第1回 存在とは縁起である その1

第1回 存在とは縁起である その2

第2回 言語の本質 その1

第2回 言語の本質 その2

 なんとなく道元の方が強い感じがするのは、南老師のキャラのなせるわざでしょう(笑)。

 私からすると、道元こそ言語にこだわってしまった、つまりお釈迦様の教えから遠ざかって苦悩した方だと思うのですが、南さんはもっと言語の力に頼っているように感じる(もちろん私は彼のことを言語を通してしか知らないが)。

 性起を縁起だと言い続けるところとか(笑)。いや、轟さんは不利というか、いや有利なんですよ。ドイツ語を日本語にしなければならない時点で、ある意味言語の完全性を諦めている。

 そう考えると道元さんが、漢語から和語に移っていったことにも意味を見いだせますね。

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2024.06.01

日本語はどこから来た?

81obt1fonl_sl1500_ 宿二日目。日本語についての私論も述べる機会がありました。

 日本語の特殊性の一つに系統が明らかでないということがあります。つまり世界の中で、親兄弟がはっきりしない孤立した言語であるということ。

 たしかに数十年前まではそのように言われていましたが、最近は研究(の手法)が発展し、ぼんやりとその系統が見えるようになってきました。

 その一つのアプローチ方法が「歴史比較言語学」。ちょうどこちらに面白い記事が出ていました。

パリ在住フランス人研究者が「日本語の起源」を追究する理由。文字なき時代の古(いにしえ)の姿はここまでわかった!

 日本語と琉球諸語を比較することによって系統樹を描き、日本語と琉球語の共通する祖語が中国大陸南部の稲作地方から渡来したという説です。

 これは非常に興味深い。そう、徐福伝説と重なるからです。

 宮下文書にも深く関わる徐福がもたらしたものとして、稲作、養蚕と絹などのほかに言語があったというわけです。これは当然あり得ることだと思います。

 今ではトンデモ説となっている大野晋先生の「日本語タミール語同祖論」も、この説を中心に東西に広がったと考えると自然です。

 徐福が実在したかどうかは問題ではありません。「徐福」が象徴するハイテク渡来人集団の存在はおそらく間違いないのだと感じています。

 その証明は専門家(学者さん)に譲るとして、彼らがもたらした様々な文物や文化(特に芸能には注目しています)を探ることは、案外私たちの未来を見つめる作業ともなりそうです。

 文字がなかった時代の日本語についての研究は難しいですよね。そう、今日も合宿で申しましたが、縄文時代には文字はありませんでした。彼らは文字を持たないという「戦略」を選択したのです。その結果、縄文時代は2万年以上続きました。衝突、戦乱がなかったのです。

 カタカムナなどの後世制作された「神代文字」を縄文人が使っていたなどというトンデモ説に惑わされないように。縄文人もお怒りですよ。「オレたちはあえて文字を持たなかったのに勝手に持ってたことにするなよ!」と(笑)。

Amazon 日本語・琉球諸語による 歴史比較言語学

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2024.05.22

『にほんのうた 音曲と楽器と芸能にまつわる邦楽通史』 みの (KADOKAWA)

61gcnuxprol_sl1500_ 日の記事、イエモンライブのレポをしてくれた「みの」さんの名著。

 いや、ホントこれを批判する人ってなんなの?って感じですよ。すごい偉業を成し遂げましたよ。

 細かいツッコミどころなんて誰が書いてもあるでしょう。なぜなら、対象が音楽、それも大衆音楽なのですから。理屈ではなく感性で続いてきた分野です。

 それにしてもよくぞやってくれました。正直、これって私がやるべきだった仕事です(笑)。

 それこそ縄文の音から純邦楽、昭和歌謡、そして最新のボカロまで満遍なく聴いている、そして演奏しているという自負がありますから。

 そしてその経験から感じてきた「生命」、すなわち連綿と続いてきた「にほんのうた」の世界が、見事にこの本には表現されていると感じました。

 「にほんのうた」の現在進行形の人生というか、様々な成長、出会い、苦難、過去や未来への憧憬、そういう生きた歴史の流れを感じることができるのです。

 もちろん洋楽にも通じたみのさんだからこその視点も多々ありました。単純に西洋と比較して相対化することが良いとは言えませんが、やはり日本文化の特長である受容と融合、そして止揚を再確認するためには、そういう視点も必要でしょう。

 本当に素晴らしい仕事をしてくれました。いずれ増補版、あるは続編が出るでしょうね。「にほんのうた」は生き続けますから。

Amazon にほんのうた 音曲と楽器と芸能にまつわる邦楽通史

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2024.04.19

RYUSENKEI 『スーパー・ジェネレイション』

 しくてだいぶ溜め込んでしまいました。今日は25日です。旅先の岡崎で書いております。

 この日は新横浜で初めてお会いする方と飲みました。不思議なご縁を感じました。音楽や歴史の話が主だったのですが、仲小路彰関連でアルファレコードの話も出ました。

 アルファ・ミュージックは創立55周年ですが、それを機に様々な動きがあるようです。その一つがレコード・レーベルとしての活動再開です。

 その第1弾がRYUSENKEIの『スーパー・ジェネレイション』です。

 

 シティポップの伝道師クニモンド瀧口さんが20年以上続けてきたソロユニット「流線形」が、このたびシンガーソングライターのSincereさんを迎えて改めて発進した「RYUSENKEI」。

 アルファレコードを象徴するシティポップが、いかに未来的であったかといことを感じさせますね。

 昨年、アルファの創設者の一人である川添象郎さんに「キャンティ」でお会いすることができましたが、そこでもお聞きしたように、彼らのセンスには仲小路彰の未来観が通底しています。

 50年以上前、あの時代に若者たちが読んだ仲小路彰の「未来学原論」が、ここへ来て再び注目を浴びることになるのは偶然ではありません。今私は「未来学原論」のデジタル出版に向け、すべてのデジタルテキスト化を終え、最終校正に入っているところです。

 「RYUSENKEI」のネーミングは言うまでもなくユーミンの「流線形'80」に由来します。ユーミンも14歳の時に未来学原論に出会っているのです。

 ようやく時代が追いついたのかもしれません。新生ALFA、そしてRYUSENKEI が聞かせてくれる未来にも期待しましょう。

 

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2024.04.17

『日本の鉄道車両 完全図鑑 2024ー2025年』 (GAKKEN MOOK)

71fjgd6cz0l_sl1200_ 日に続き鉄道ネタです。決して鉄道マニアとか鉄ヲタではありませんが、幼少の頃は本当に鉄道というか電車が大好きでした(まあ一般的な男の子の傾向ではありますが)。

 幼稚園に入る前は品川区の大井(最寄り駅は大森)に住んでおり、そこが東海道線等の線路のすぐ脇だったこともあって、毎日のように母にせがんでは金網にしがみついて電車を眺めておりました。

 その後、学校に忙しく通ったり勤めたりしているうちに、そしてどんどん田舎へ都落ちしていく中で、電車よりも自動車文化の中で生活するようになってしまいました。

 それが還暦を迎えようかという最近、子ども返りというかなんというか、あんなに好きだった車の運転が急に億劫になってきて、電車を利用する機会がずいぶんと増えつつあるのです。

 もちろん、全国を旅する仕事をするようになったこともありますよ。全く縁がなかった地方の鉄道に乗ると、車窓から見える風景とともに、駅構内や車両内の文化や歴史のようなものに興味を持つようになったのです。

 思えば、半世紀前にはあれほど覚えていた鉄道車両の種類も、今や全くわからなくなっております。もちろん新型車両がどんどん出てくるわけですから、当時の知識がほとんど通用しないのは当然としても、これほど実際に乗るようになったのに、何もわからないのはどうも子どもの自分に負けているような気がする…。

 そう、にわかにもう一度「見ただけで◯◯系」と言えるようになりたい!という衝動というか欲望にかられるようになってきたのであります(笑)。

 というわけで、さっそくテキストを購入いたしました。1336形式、1798車両!う〜む、サラッとページを繰ってみましたが、これは楽しいぞ!もちろん試験のための勉強ではありませんから、好きなもの、乗ったものから順に覚えていけばよい。

 こうして「学研」さんにお世話になることもまた懐かしかったりする。学校で「学研のおばちゃん」から「科学」と「学習」を買ってたっけな。
小学生時代は学研本社の近くに住んでいたこともあって、けっこう編集部に乱入したりしてましたから(笑)。

 はい、そんなわけで、上野桜木の次女のところに行った時には、このテキストを片手に日暮里の「トレインミュージアム」へ行って半日くらいじっくり勉強してまいります。

Amazon 日本の鉄道車両 完全図鑑 2024ー2025年

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2024.04.09

『anemone(アネモネ)〜2024年5月号』(ビオ・マガジン)

81eifth0g2l_sl1500_ ネモネさんに私の説を紹介してもらいました。

 正直いわゆる(なんちゃって・勘違い・金儲け)スピ業界はあまり好きではないのですが(笑)、こちらは老舗の雑誌ですし、私の尊敬する人も連載しているので、今回はご縁と神機を大切にし取材を受けることとしました。

 「宇宙の中心・富士山で再会した大国主の分魂と縄文高天原の復活」というタイトルをつけていただきましたが、まさにそのとおり。

_01  40年以上に及ぶ、私の富士山生活、そして宮下文書研究、さらには出口王仁三郎研究から到達した、一つの直観的な持論です。

 他の記事も読ませていただきましたが、私の説はちょっと次元が低いかもしれません(他が高すぎて理解不能でした…笑)。あの中だと、ちょっとアカデミックな感じさえするかも。

 まあ、私のお役目はそこにあると自負して、宮下文書、出口王仁三郎、そして仲小路彰を研究してきましたから、それはそれで満足です。ある意味中途半端なので、なかなか紹介してもらえないんですよ、私のフィールドというかレイヤーは。

_02 今回感動感心したのは、短時間のインタビューでこれだけの記事にまとめてくださった、編集長さんはじめライターやスタッフの皆さんの力量と度量の豊かさです。ありがとうございました。イラストも素敵。

 この記事を読んでいただき、富士山と出雲の関係、荒魂と和魂の関係、縄文と弥生の関係、そして宮下文書と出口王仁三郎の関係などに興味を持っていただければ幸いです。

 あっそうそう、最後に「グレート・ニコニコ・スピリッツ」の話も出てきます。それが発信できたのも幸いでした。

 書店もしくはネットでお買い求めくださいませ。

Amazon アネモネ 2024年5月号

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2024.04.05

『無礼語辞典』 関根健一 (大修館書店)

61e76ukdxil_sl1200_ ういう辞典がほしかった!

 この前ゆる言語学ラジオでも紹介されてましたね。

 私はデジタル版をiPhoneとMacBookで使っております。読み物としても面白いので、iPhoneで持ち歩けるのはありがたい。

 「無礼語」という言葉があるのは知りませんでしたが、たしかに使っていて「これはもしかして失礼?」と思う表現がけっこうあり、気になってはいました。

 それをこのような形で明確に説明し、そして言い換えまで教示してくれるというのは、本当に画期的です。20種類の無礼ラベル、そして無礼マップもわかりやすい。

20240408-103851 今までなんとなく違和感のあった表現が出ていて納得したこともありましたし、えっ?これ、普通に使ってたという発見もたくさん。

 もちろん、言葉は生き物であり、新語やユーモアや敬意の逓減を考慮に入れると、他の辞書と同様に頻繁に改訂版を出すべきものかもしれませんね。

 いずれにせよ、いちおう日本語の専門家であると自己紹介している自分としては、大変価値のあるバイブルとなりそうです。

Amazon 無礼語辞典

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