カテゴリー「芸能・アイドル」の345件の記事

2020.07.04

藤圭子 『カスバの女』

Th_21497319 中湖村で三浦環の写真が大量に見つかったとのニュースを見て、さっそく「徳富蘇峰館」に行ってきました。発見された一部の写真が展示されていましたが、山中湖で撮られたものはほとんどないとのことで、私の興味のある仲小路彰や原智恵子との写真はありませんでした。

 正直、それよりも企画展の三島由紀夫の「詩」が面白すぎた。三島のフィクションの世界が現実に侵食していく感じがなんとも言えない。徳富蘇峰とは対照的ですね。

 さて、その当時の山中湖人脈についていろいろ書きたいことはありますが、今日はちょっとずれた記事にしてみます。

 夜、BSで藤圭子の秘蔵映像の番組がありまして、演歌マニアの家内と観て(聴いて)いたんですが、特に二人の印象に残った曲は、この「カスバの女」です。私は知らなかった。すごい歌詞ですなあ。

藤圭子

 

 めちゃくちゃ異国情緒ありますが、聴いた感じは「新宿の女」と変わらないところがすごい(笑)。「カスバ」とは、アルジェリアの要塞都市のこと。今では世界遺産になっています。

 映画「望郷」の舞台として日本でも知られていましたが、1955年に久我山明の曲に作詞家大高ひさをが詩を乗せて作られたこの曲、エト邦枝さんが歌って発売されましたが、ほとんど売れなかったと言います。

エト邦枝

 

 実はエト邦枝さんの師匠はオペラ界の重鎮、原信子さん。原信子さんの師匠は三浦環です。朝ドラ「エール」でも分かるとおり、三浦環もクラシックから歌謡曲まで幅広いジャンルの歌を歌いました。昔は今より自由だったんですよね。

 さて、このとってもグローバルな演歌「カスバの女」は、のちに緑川アコさんの歌唱で人気が出てから、本当にいろいろな方が歌っています。

 皆さんそれぞれ素晴らしいのですが、今日はあと二人だけ紹介します。

ちあきなおみ

 

八代亜紀

 

 やはりエト邦枝さんの声はきれいすぎたんでしょうね。上掲3人のほかも、青江三奈さんとか沢たまきさんとか、のちの人たちはみんなハスキーボイス。つまり非和声的な倍音の多い方々です。それがなんとも「場末」の「哀愁」を感じさせるわけですね。

 ウチのカミさんの声は、そういう意味では倍音が少ない、いわゆる「きれい」な声なので、どうもこういう味は出せないとのこと。その点、美空ひばりはすごいよなあ。

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2020.06.20

『HOUSE ハウス』 大林宣彦監督作品

Th_71sg6lu0kl_ac_sy445_ 日は、珍しくテレビ(トゥエルビ)で「さびしんぼう」が放映されました。

 「き○たま」を連発するから地上波では流しにくいのか。この名作がなかなか一般の人たちに鑑賞してもらえないのは、なんとも歯がゆかったのですね。プライムでも無料で観られないし。

 そういう意味では、この大林監督の劇場映画デビュー作品も、そうそう地上波では放送できませんね。それほどの衝撃作です。

 そして、一度観るとハマってしまう不思議な魅力のある作品。「夢」のリアルを表現しようとした大林宣彦監督の真髄が、早くも全て収まっている作品です。

 もう説明のしようがないのですが(笑)、とにかく「ぶっ飛び」ぶりが尋常ではありません。実験的すぎるとも言えますが、堂々と書割を使ってしまうあたり、やはり「脳内リアリズム」の表現であって、監督にとってはごく自然なことだったのかもしれません。

 どちらかというと、寺山修司の世界に近いのだと、今頃になって気づきました。それは、最近の作品「花筐 HANAGATAMI」を観ての再発見。そう、この「HOUSE」と「花筐」は直接つながっているような気がしますね。表現もテーマも。

 池上季実子さんの体当たりの演技もすごいけれど、鰐淵晴子さんの時代を超えた妖艶さや、大場久美子さんの可愛さにも注目ですよね。

 とにかくホラーなのに、ポップでリズミカル、どこまでも明るい。こんな不思議な映画、世界中探してもそうそうないですよ。海外で人気というのもわかります。

 遺作も早く観たいですね。本当に稀有な才能と哲学を持った監督さんでした。あらためて感謝したいと思います。人生を豊かにしてくれてありがとうございました。

 映画にも出演しているゴダイゴの音楽に乗せて、その雰囲気を味わってみてください。いやあ、すごいわ。

 

 

Amazon HOUSE

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2020.05.23

追悼 木村花選手

 しすぎる。最も注目していた女子プロレスラーの一人、木村花選手がお亡くなりになりました。まだ22歳。悲しすぎる。

 お母さんの木村響子さんの現役時代から、花さんの存在は知っていました。彼女が本格デビューして、その「花」のあるキャラクターと確かなプロレス技術を高く評価していました。

 特に昨年始まったジュリア選手との抗争は、本当に久々に世界に通用する魅力的なコンテンツだと感じていただけに、本当に残念です。

 恋愛リアリティショーは見たことがありません。それはリアルといいながらフィクションだったと言います。それはプロレスも同じです。しかし、その楽しみ方が違いすぎます。プロレスはヒールに対しても愛をもって接します(昔は違いましたが)。

 それはその業界、運営側の次元が違うということです。「今だけ、金だけ、自分だけ」なのか、長期的に役者、選手、タレントを活かそうとするのか。

 もちろん、死んだらダメ!とも言いたい…いや、学校でのいじめ問題と一緒で、そう言っても絶対に解決しない。「いじめられている人の気持ちになってみろ」もダメ。なぜなら、相手の気持ちがわかるから、つまり相手が傷ついているからこそいじめるわけでしょう。

 私も「いじめる種」「いじめられる種」を持っているので、とても他人事としては語れません。そういう意識があるからこそ、誰かを批判したい

時、誰かを変えたい時は、必ずその人と仲良くなるようにしています。極端な話に聞こえると思いますが、総理にも言いたいことがたくさんあるので、だから近づいて仲良くしているのです。聞く耳を持ってもらうためです。

 花選手の命と引き換えに、私たちの心の次元が上がり、SNSに象徴される「むき出しの野性」世界が変わることを祈ります。私はそういう人たちにこそ、彼女のプロレスと、そして彼女のライバルたち、それらを包むファンのあり方を見てもらいたいと思います。

 昨年末の、花選手とジュリア選手の「愛と敬意の溢れる」試合をご覧ください。心よりご冥福をお祈りします。

 

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2020.04.15

『BU・SU』 市川準監督・富田靖子主演作品

 しぶりに鑑賞し、感動に打たれて眠れなくなってしまいました。まじで。自分でもびっくり。

 公開の翌年でしたか、テレビで放映されたの観まして、その頃はけっこう日本映画を観まくっていた時期なのですが、どういうわけかあまりピンとこなかったんですね。

 

 

 それが、どういうわけでしょう、30年以上経ってこの歳になって観たら、ドはまりしてしまった…。

 その後の市川作品を観て、市川ワールドを満喫したからでしょうか。それとも私自身の変化なのか。もう冒頭の東京へ出てくる流れだけで、ガーンと頭をひっぱたかれてしまいました。

 そうか、これって映画というより「能」みたいな感じ?ワンカットごとに、たとえば多用されているスローモーションやストップモーション、望遠効果など、西洋的なリアリズムを超えた脳内リアリズムの表現だと思えば非常に自然です。

 当時はリアルタイムの東京の風景だったはずです。実は未来の記憶、思い出の東京だったのですね。時間も空間も自由に伸縮し美化され誇大になっている。これこそ映画的リアリズムでしょう。ノスタルジーではない、もっと普遍的な「切なさ」に満ちあふれています。人生も青春も大いに切ない。大切なものなのです。

 そういう意味では実験映画だったのかもしれません。若かりしワタクシにはそういう観点がなかったのでしょう。

 それにしても、この富田靖子の美しさはなんでしょう。「BU・SU」な性格までが美しい。思い通りにならないストーリーまでもが美しい。これぞ「もののあはれ」。

 当時は売れっ子CMディレクターが映画を撮ったと評されましたが、その後の映画監督としての活躍を考えれば、そういう見方は間違っていたということでしょう。ご本人の弁が興味深い。

 

 

 本当に全てのカットが印象的でした。計算され尽くしているとも言えるけれども、とっても感覚的とも言える。感覚に計算させているというか。

 やっぱり内館牧子さんの脚本もうまいのかなあ。語りすぎず。

 そして、そういうシーンがどんどん堆積していって、あのエンディングだからなあ。笑顔もセリフもほとんどない展開からのこれは反則でしょう。オリジナルの原由子の歌もとってもいいのですが、最近ショパンが続いているので、この動画もいいなあ。泣ける。やばい。この映画に再会できたことに感謝。毎日でも観たい。

 

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2020.04.02

ラッシャー木村のマイクパフォーマンス(vs 志村けん・たけし・さんま)

 年度になって、コロナさんのおかげでとっても忙しく、しかしある意味充実した日々を送っています。

 そんな中、志村けんさんに救われまくっています。今日もまた志村けんさんネタ。

 昨日も、昭和のプロレスラーのことがちょっと出てきましたが、志村さんとプロレスラーと言えばこれを思い出します。

 なんだかんだ、昭和から平成、令和の天才お笑い芸人さん3人を笑わせちゃったこの人はすごすぎました。

 ラッシャー木村さんです。

 プロレス大好きだった志村さんとラッシャーの素晴らしい交流シーン。

 

 

 そんなラッシャー木村さんは、たけし、さんまをも笑い倒していました。最強ですよね。

 

 

 志村けんさん、今頃、ラッシャーさんや馬場さんとも再会しているのでしょう。楽しいお酒と会話のシーンが目に浮かびますね。

 

 

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2020.04.01

カトちゃんの弔辞

 

 の素晴らしい弔辞が全てを物語ってくれていますね。加藤茶さんも素晴らしいけれど、やはりこの弔辞を読ませてしまう志村けんさんはすごい。

 ちゃんと最後まで笑い取っちゃうんだから。悲しみと怒りと笑いが共存するって、なかなかない。

 全てのコントの集大成がここにあったような気がします。本当に残念でしたが…しかし、最高の人生でしたねとも言ってあげたい。お疲れ様。もちろん、ありがとうとも。

 なんだか、本当にあの世は楽しそうだなあと思うのですよ。憧れの昭和の歌手、コメディアン、プロレスラー、みんないるんですから。

 いや歴史上の人物、みんないるわけでしょ。コロナ禍の渦中のこの世より、ずっと平和で楽しいでしょう。

 そう考えると、死ぬこともそんなに悪いことではないですね。死は怖いけれども、死後の世界は楽しみです。

 私もこんな弔辞を読んでもらえるように、人のために生きたいと思います。

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2020.03.31

ザ・ドリフターズ 『(コント)四季の歌』

 

 村けんさんの笑いのセンスとともに音楽的センスがうかがえる動画です。

 もともとビートルズの来日公演の前座をやるほどのバンドであったドリフ。ここでもそのテクニックとセンスを存分に聞かせて(見せて)くれます。

 特に冒頭、志村さんのワウ・カッティングは、もろにファンクですよね。いやあ、子供の時には全くそんなこと分からなかったけれど、今になってみると、このコントはホントすごいですねえ。

 コーラスワークも見事ですし、長さんの語りはいつも絶品。アドリブなんですよね、ほとんど。

 こういう多才かつ多彩なタレントさん、お笑い芸人さんは、今ではすっかり減ってしまいました。

 つくづく私はいいものを観て、聴いて育ったと思います。楽器を自然に始めたのも、今でもバンドをやっているのも、ドリフがきっかけなのでした。ちなみにウチの娘たちも、ほとんどドリフとバカボンだけ観て育ちましたので、あんなふうになってしまいました(笑)。

 あらためて、志村けんさん、ありがとう。

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2020.03.30

追悼 志村けんさん

Th_ref_l 当に残念でしかたありません。今日は、志村さんがザ・ドリフターズに正式加入して、ちょうど46年の日でした。

 全ての世代に説得力のある死でした。それはまるで私たちに警告を発しているかのようでした。

 最期まで、自分のことより世の中の人のことを考えていたのでしょう。本人も無念だったと思いますが、しかし、このような形で、私たちにメッセージを伝えてくれたことには、素直に感謝しなければなりません。

 訃報に触れた時、私はこんなツイートをしました。

 

志村けんさん、今まで本当にありがとう。

キリストの時もそうですが、我々人類はいろいろと気づくのが遅いのです。

さあ、気づきましょう。

 

 多くの方が、なぜか「怒り」を覚えたようです。私もそうです。娘たちもそうでした。

 キリスト教の物語の中での「怒り」や、戦争における「怒り」の表現が決して正しかったとは言いません。しかし、今回は相手がウイルスです。ウイルスは「意識」によって増殖もし、死滅もします。これは事実です。私たちがいかに一丸となって戦いに挑むのか。

 最終的には志村けんさんが日本を救ったということになってほしい。まさに万人に愛され、感謝され、そして命を賭して世を救った「神の子」として語り継がれることを望みます。

 そのためには、本当に一人ひとりの「意識」を変え、そしてそれを集めることです。

 ご冥福をお祈りしつつ、決意を新たにしているところです。

 最後に、ファンクの伝道師としての志村さんを偲ぶ動画を一つ。日本の音楽界への影響も多大なものがありました。

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2020.03.20

川添象郎 『昭和の天才・仲小路彰との出会い』

Th_41ax4tovajl_bo1204203200_ 日はタモリ本を紹介しました。今日は団塊の世代向けの本から。タモリは正確にいうと団塊の世代ではないのかもしれません。終戦の日の1週間後に生まれていますから。

 この「団塊パンチ」、団塊の世代向けと書きましたが、実際購入していたのは、おそらく私のような「団塊の世代に憧れる次の世代」ではないでしょうか。

 この団塊パンチに、川添象郎さんの「回想録・象の記憶」という実に興味深い連載があります。川添象郎さんについては、このパンチの中ではこのように紹介されています。

 川添象郎

1946(昭和16)年東京麻布生まれ。クリエイティブ・プロデューサー。旧華族で戦後の国際文化交流に広く貢献した川添浩史、国際的なコンサートピアニスト・原智恵子の間に長男として生まれる。曾祖父は後藤象二郎。高校卒業後、1964(昭和39)年渡米。帰国後、ミュージカル「ヘアー」プロデュースほか、音楽や演劇を中心に数々のプロデュース、プロモートをおこなう。村井邦彦らとアルファ・レコードをつくり、「ニューミュージック」という新しいマーケットを開拓、約1500万枚のレコードを売る。荒井(松任谷)由実、YMO(イエロー・マジック・オーケストラ)の育ての親。現在、ヒップホップの大物新人「SOULJA」プロジェクトを07年春に向けて進行中。

  う〜む、すごい。ニューミュージックとしてはサーカス、そして、まさに今「未来的音楽」として本国アメリカで大人気の「シティー・ポップ」(山下達郎や竹内まりや)、その後で言うなら、尾崎豊、青山テルマなどを世に出した人です。あっそうそう、昨日の「タモリ」もアルファからレコード出したんですよね。あと、フュージョンのカシオペアとか。もうすごすぎて…。

 ちなみに SoulJa と言えば、今のK-POPの世界的隆盛にもかなり噛んでいるんですよね。いち早く韓国の音楽シーンの先進性に気づき、日本の芸能界しっかりしろ!みたいなことをもう10年以上も前から言っていました。

 さて、そんな天才(鬼才)川添象郎さんのお父さんが、仲小路彰の右腕的存在だった川添浩史(紫郎)なのです。あの「キャンティ」の創始者。

 というわけで、仲小路彰に関する、象郎さんの貴重な証言がこの「団塊パンチ3」の「象の記憶」に書かれているので、該当部分を紹介したいと思います。なかなか実体のつかみにくい仲小路彰(象郎さんは「なかこおじあきら」とルビを振っています)を、実に的確に表現している文章だと思います。

 今もお元気な(腕白な?)象郎さんにもお会いしないとなあ…。では、どうぞ。

 

 昭和の天才・仲小路彰との出会い

 親父は戦前に、仲小路彰という在野の学者と知遇を得て、その思想に傾倒した。
 そして親父は、ヨーロッパにおけるファシズムの台頭に戦争の始まりを予感し、大戦勃発の寸前に、パリでの遊学を切り上げ、母と共に帰国。知遇を得た仲小路先生の推挙で、高松宮殿下の国際関係特別秘書官に任じられたらしい。

 仲小路先生は、なんと、全世界がナショナリズムの真っ只中の時代に、すでに地球時代(今で言うグローバリズム)の到来が人類の未来の必然であることを提唱し、研究をしていた。おそらく世界で最初のグローバリズムの概念を掲げた未来学者といえる人物ではないだろうか。
 僕は子供時分に親父に連れられて仲小路先生にお会いし、まるで神話に出てくる仙人のごとき風貌と、厚いレンズの眼鏡の奥からのぞく、先生の限りない慈愛に満ちた眼差しを忘れることが出来ない。
 その後、僕の人生の転機に、親父はいつもなにか用事を作って、僕を仲小路先生の研究所に使いに出した。先生のお宅に着くと、まず、かならず食事をお手伝いの方が用意してくれていた。
 食事が済むと、ニコニコしながら先生が現われ、
「象郎さんは、元気ですね…最近は、どうしていますか? お話ししましょうね」
 と、いろいろなことを尋ねてくださる。

Th_-20200320-224157 「人にとって、対話ほど大事なことはありません。人と人との対話、国と国との対話、人と自然との対話、そして、地球との対話……まず、相手のお話をよーく聞いてください……そうしたら、自分も心よりお話することが出来ます」
「対立は破壊を生み出します。宗教も、思想も、哲学も、人種概念も、経済も、対話の心を持たなければ対立を作ってしまいます。
 人類の文明は、これまでは、ホモ・サピエンス(思考する人間)の時代でした。
 二一世紀からは、ホモ・ファーベル(創造する人間)として、国の概念や、民族的こだわりを超えて、地球文明時代をかたち創らねばなりません。
 宇宙から見える地球には、世界地図にある、国を分ける線は見えません。
 人間が、勝手に線引きをしている時代は、もう終わりました」

 一九六八年に伺ったときには、
「象郎さん……共産主義社会は、その原理自体が内包している経済的矛盾により、今世紀中に必ず、崩壊します」
 と、予言のごとく言明されたことを鮮明に記憶している。
 そして、そのとおりに、ベルリンの壁は、約十数年後に消失した。

 一神教的文明時代の限界も、これを超えなければ人類の未来は創り出せないことを情熱的にお話ししていただいたことも、僕は決して忘れない。

 旧制五高の同窓生であった、戦後最長の内閣総理大臣・佐藤栄作も、在野にありながら聡明で純粋な仲小路先生を畏敬し、「日本のあるべき未来像」に関してのアドバイスを受けに、先生が居住し、研究所としていた山中湖まで何度も訪れている。

 一九六九年に、僕が「ヘアー」というロック・ミュージカルをプロデュースしていたとき、のちに世界的に活躍したテクノポップバンド・YMOのリーダーである細野晴臣君を、仲小路先生に紹介したことがある。
 彼は、一度の出会いで、先生の精神的気高さに打たれ、「生涯で最も影響を受けた人」と述懐している。

 仲小路先生は、東大の学生時代、すでに英語、ドイツ語、ラテン語、フランス語、アラビア語、ロシア語に精通し、哲学書・歴史書・地理学・民族学・科学・芸術書などを原語で読破、各民族の特性を研究した上で、日本人とその歴史を客観的に把握し、独自の地球未来学と日本人の果たすべき役割を説いていた。
 驚くべきことに、戦前、すでに現在の地球環境問題、サイバネティクス社会までも視野に入れた、時代をはるかに超えた研究をしている。

 仲小路彰先生の著作は、膨大な数である。全42巻のシリーズ『正解興廃大戦史』ほか、一人の人間が著作したものとは到底思えない。
 生涯で六〇〇から七〇〇近い作曲をしたといわれるモーツァルトのようである。
 仲小路彰先生の未来への視点がダイジェスト的にまとめられた『未来学原論ー21世紀の地球との対話』という著作は、僕の人生のバイブル、僕の「核」となっている。

 

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2020.03.19

『タモリと戦後ニッポン』 近藤正高 (講談社現代新書)

Th_41by7wjviil_sy346_ 日書いたオーディオブックで「聴いた」本。

 最近、特に感じること。世の70代が元気だということ。

 戦中や戦後すぐに生まれた、実質的には「戦争を知らいない」世代、違う言い方をするなら、戦後ニッポンをゼロから作り上げてきた世代。

 その代表格がタモリさんでしょう。この本で示されているように、たしかにタモリとは「日本の戦後」そのものだった!と言えるかもしれません。

 というのは、この本を読んで、タモリさんが他者の意見を素直に取り入れたり、社会の風潮に上手に流されたり、案外自我が強くない人だとわかったんですね。

 なるほど、だから一見ブレているように見えるけれど、実は自我にこだわらないという点においては、全くブレていないのです。その結果、見事に時代を映す鏡になったと。

 この本の特徴の一つとして、いろいろな一次資料から引用していることが挙げられるわけですが、それもまた、その時代時代の空気を反映していて面白かった。

 リアルタイムのインタビューもあれば、回想録もあって、それらが「歴史」を作ることになっている。サブカルチャー側から見たニッポンの戦後史が露わになっていて、一庶民として同時代を生きてきた者として、腑に落ちるところが多かった。

 メディアが発達した現代になって初めて、こうして庶民の感覚や視線というものが歴史として記録され語られるようになるのですね。

 それにしても、昭和を力強く生きた諸先輩方の才能とパワーは本当にすごい。70代になった皆さん、今でもとってもパワフルです。高齢者とか老人とか言うのはおこがましい。まだまだ世の中をリードしていってほしい。本気でそう思います。

 そして、60代、50代、40代…若造たちは負けないように頑張らねば。いくら合理性が重視される世の中になっても、いやそうだからこそ、理不尽やナンセンスに命をかける「根性」みたいなモノが必要なような気がします。

 個人的には「全日本冷やし中華愛好会(全冷中)」みたいなノリが好きだなあ。まじめなユーモアというか(笑)。おバカな文化人というか(笑)。

 たくさんの「子供みたいな大人」が登場しますが、やっぱり赤塚不二夫さんの存在は大きいなあ。

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