カテゴリー「音楽」の1000件の記事

2024.08.12

ラモー 『優雅なインドの国々より未開人の踊り』

Meets 々に富士山の家に帰ってきましたよ。と言っても、秋田から甥っ子、姪っ子たちが来訪し、それなりに忙しくしております。

 さて、パリオリンピックが終わりましたね。フランスだけではありませんが、ヨーロッパの国々は黒人の選手が多かった。もちろん歴史的なことを考えればそれはしかたないことです。

 18世紀のフランスが「未開な国々」をどう見ていたかがわかるオペラ・バレエがあります。ラモーの「優雅なインドの国々」です。当時のフランス人の感覚については、世界史的な勉強が不足しているので、あまり正確なことは言えませんが、少なくとも「インド」という言葉が、今のインドではなく、アジア、アメリカ大陸やアフリカ大陸まで含めた「ヨーロッパ以外」を指していたことはわかります。

 バレエに登場するのは、トルコ人、インカ人、ペルシャ人、そしてアメリカ・インディアン。それぞれ決して見下したり、バカにしたりするわけではなく、まさに異国情緒の対象として、異文化として描いているように感じます。特にトルコ人には忖度しているような(笑)。

 さて、この大作の中でも特に有名なのが、アメリカ・インディアンを描いた第4幕「未開人たち」の中の「未開人の踊り」でしょう。

 これを見事に現代的に表現した動画があります。演奏はバロック様式ですが、踊りはヒップホップなどのストリート・ダンスです。これがなかなか素晴らしい。今や「未開人たち」はヨーロッパにとって憧れの対象にすらなっているわけですから、時代は変わったものです。

 

 

 あと、この名曲を現代に蘇らせたといえば、このドミトリー・イヴァンチェイのロックな演奏でしょう。全パート自分で演奏、歌唱しています。

 もともとはヴァイオリンで音楽大学に行っていましたが、今はオペラの歌手として活躍しています。すごいですね。ユーモアも抜群です(笑)。いろいろなヅラをかぶって頑張っています。エレキ・ヴァイオリンもかっこいい!

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2024.07.23

ロベルタ・マメーリ『ラウンドМ〜モンテヴェルディ・ミーツ・ジャズ』

20240725-210433 岡での新任教員の研修指導が終わり、山梨に戻ってすぐに東京へ。明日から東北・北海道ツアーです。

 東京へは大月から特急かいじを利用します。かつては特急料金をケチって普通列車で行き来していましたが、今はチケットレス割引も充実しているので、あの快適さと早さとのコスパを考えて特急に乗るようになりました。

 その特急かいじの中で聴いたアルバムがこれ。いや、これいいわ!

 イタリアを代表するソプラノ歌手、ロベルタ・マメーリさんのジャズ・アルバム(?)。得意のモンテヴェルディを中心に、初期イタリア・バロックの歌曲をまさかのジャズ・アレンジで歌っています。

 とはいえ、歌はほとんど楽譜どおり。演奏がジャズ・ミュージシャンによるジャズ・スタイルなのですが、これが妙にマッチしている。バッハをジャズにするような取り組みは昔からたくさんあり、それはそれで一つのジャンルと言ってもいいくらい洗練されてきましたよ。

 しかし、まさかモンテヴェルディがこんなにジャズしているとは!

 もともと即興性が高く、またメリスマも効いているイタリア・バロック歌曲でありますから、たしかにジャズとの親和性は高いはずですよね。それにしてもここまでしっくりくるとは。

 2010年の録音ですか。ちょうどこの頃、私マメーリさんといろいろ遊んでいた時期だ。演歌を歌わせたりしてたっけ(笑)。そう、都留音楽祭の講師として何年か来日していて、宴会芸などで遊んでいたのです。

 もしかしてその時の経験が…まあ、それはないかもしれませんが、とにかく型にはまらない素晴らしいアーティストであったことはたしかです。

 その後の活躍も言うまでもありません。考えてみるとすごい人たちと遊んでたなあ、あの頃は。

 いやそれにしても、妙にいいぞ。このアルバム。

'Round M - Monteverdi meets jazz |Roberta Mameli, soprano
La Venexiana|Claudio Cavina

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2024.07.21

まなびの杜(富士河口湖町)

Img_6580 士河口湖町にある「まなびの杜」にてイベントに参加しました。

 尊敬する木工作家吉野崇裕さんが展開している「森と木から学ぶ」事業の中心基地「まなびの杜」。4000坪の山林を買い取り、築100年近い古民家を埼玉から移築して始めたこの取り組み、日本のみならず世界中の多くの人たちから賛同を得て、着実に「まなび」を受容、発信しています。

 なにより吉野さんの哲学が素晴らしい。御本人も自分の意思というより、なにものかに動かされているとおっしゃっていましたが、たしかにこれは「神仕事」ですね。

 今日はそのまなびの杜のツアーとコンサート、そしておいしいケーキと飲み物を同時に楽しめるという贅沢な企画でした。

 コンサートは友人もあり不思議なご縁でつながっている伊藤愛子さんのピアノ演奏。久しぶりにモダン・ピアノのコンサートを聴きましたが、とにかく古民家自体がよく鳴っていてびっくりしました。

 小型のグランドピアノでしたが、建物が一つのグランドな共鳴体となっていて、ああなるほど楽器とはまさに空間との融合体なのだなと思いました。

 バッハからドビュッシーまで、選曲も演奏も実に私好みであり、また山や森や月も含めた空間の素晴らしさも相まって、本当に久しぶりに音楽で小旅行を楽しめたひとときとなりました。

Img_6574 ツアーでは世界一と言って良い椅子のコレクションである「椅子の学び舎」も吉野さんの解説つきで見学。いやあ、実に面白かった!椅子という古典的な家具、道具が、材質の発明と進化を経て、人間の創造力や想像力をかきたて、そして生活を変えてきたことを実感できました。これぞ「デザイン」ですよね。

 仲小路彰の弟子の一人であった建築家の坂倉準三の作品もありました。そして坂倉さんの師匠であるコルビュジエの名作も!

 建築家がこぞって椅子に挑戦するのも面白い現象ですよね。

 またゆっくり訪問して、いろいろ学びたいと思っています。よろしかったら皆様もご一緒にぜひ。

 詳細はHPをご覧ください。

 まなびの杜 公式

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2024.07.20

リンダ・キャリエール 『リンダ・キャリエール』

Jacketjpg 宿も無事終了いたしました。今回も皆さん素晴らしい方々で、私も皆様の笑顔に元気をいただきました。ありがとうございました。

 今回はあまり仲小路彰について語る時間がありませんでした。仲小路の残した文化の一つに音楽がありますが、最近あの時代の素晴らしいアルバムが発売されましたので紹介します。

 間接的というか、ほとんど直接的に仲小路の影響を受けている川添象郎さんや村井邦彦さんが創始したアルファレコードから発売されるはずだった、リンダ・キャリエールの幻のデビュー・アルバム。これまた仲小路からの影響を受けた細野晴臣さんがプロデュース。

 収録曲を見てください。この作家陣!!

 【収録曲】
01. Up On His Luck(作詞:ジェームス・レイガン 作曲:山下達郎)
02. Loving Makes It So(作詞:ジェームス・レイガン 作曲:吉田美奈子)
03. Sunday Girl(作詞:ジェームス・レイガン 作曲:細野晴臣)
04. All That Bad(作詞:ジェームス・レイガン 作曲:細野晴臣)
05. Proud Soul(作詞:ジェームス・レイガン 作曲:吉田美奈子)
06. Laid Back Mad Or Mellow(作詞:ジェームス・レイガン 作曲:矢野顕子)
07. Child On An Angel's Arm(作詞:ジェームス・レイガン 作曲:細野晴臣)
08. Vertigo(作詞:ジェームス・レイガン 作曲:佐藤博)
09. Love Celebration(作詞:ジェームス・レイガン 作曲:山下達郎)
10. Socrates(作詞:ジェームス・レイガン 作曲:細野晴臣)

 いろいろあってお蔵入りになっていたわけですが、あえて47年後に封印を解かれるように仕組まれていたのかもしれませんね。

 今こそ「新しく」聞こえる音世界です。やばい。歌もすごいけれど、やっぱり演奏が…すごすぎる。生々しい。これは本当に「新しい」。

 アナログ盤も買おうかな。う〜ん、レコードで聴きたい。

 

 YouTubeで聴けるのは2曲。作曲・アレンジ細野晴臣さん。
 次は作曲吉田美奈子さん、アレンジ山下達郎さん。

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2024.07.19

グラウプナーのシャコンヌニ長調

 日明日と富士山合宿。今回も全国から多くの方が参加してくださっています。

 というわけで、とっても忙しくしておりますので、今日も音楽を紹介いたします。

 最近はまっているバロック時代の作曲家グラウプナーのシャコンヌです。彼はテレマン並みに多作家であり、シャコンヌもたくさん作っているのですが、今朝聴いたこの曲はとてもキャッチーでいい曲ですよ。

 コテコテと言えばコテコテですが、それがいいのです。コテコテは時代を超えます。

 楽譜はこちらの65ページです。45小節のラの#がナウい(笑)。終わり方もあっさりでいいですね。

 

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2024.07.12

ジョン・ラター指揮 『フォーレ レクイエム』

20240713-85448 日は横浜でセミナーでした。因縁の地(?)横浜での開催ということで気合いが入りすぎ、時間が足りませんでした。

 横浜の大学に見事に落ちシティ・ボーイになれず、山梨のカントリー・ボーイになった私ですが、そこで出会った様々なモノたちが今のワタクシを作り上げております。そういう話も最後にいたしました。

 そんなモノの中の一つが音楽。まさかの山梨の地で古楽祭の中心人物になっていくとは。信じられませんね。そこからの素晴らしいご縁のおかげで今の音楽活動があります。

 古楽の流れの中で出会ったオリジナル主義と少人数主義、純正調へのアプローチ、ノンビブラート演奏などは、古典派以降の音楽にも応用されていきます。

 この純粋なフォーレのレクイエムについても、20年前(!)にこのブログで紹介しています(こちら)。

 昨日のビートルズ協奏曲の作曲家、ラターが指揮したこの演奏は今でもベスト盤です。古楽演奏の影響を受けた清澄な響き。美しい。自分の葬式にもこれをかけてもらいます。

 

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2024.07.11

John Rutter 『Beatles Concerto for two pianos and orchestra』

20240713-84635 日も東京でセミナー。90人の方の前で熱弁いたしました。盛り上がる盛り上がる。若い人たちに話しを聴いてもらえて幸せです。

 さて、忙しいので音楽ネタが多くなります。移動中や作業中に音楽を聴くことが多くなるからとも言えますね。

 一昨日、昨日とビートルズからのジョシュア・リフキンの音楽を紹介しました。今日もビートルズからクラシックの作曲家・指揮者・研究者のネタに行きます。

 イギリスを代表する合唱音楽の巨匠ジョン・ラターが作曲した「2台のピアノとオーケストラのためのビートルズ協奏曲」です。これもまた良い曲なのです。こちらは王道と言えば王道ですね。

 合唱音楽の巨匠もきっと母国が誇るビートルズの「歌」を認めているのでしょう。その美しい旋律を見事に生かしたアレンジというか作曲術を聴かせてくれます。

 こうして聴きますと、やはりビートルズが英国のフォークソング(歴史的に見て多様性に満ちている)と、のちのヨーロッパ古典音楽の作法、そしてロックという当時最先端の音楽が融合した産物であることがよくわかりますね。

 もうこういうバンド、音楽家集団は現れないでしょう。

 

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2024.07.10

ジョシュア・リフキン指揮 『バッハ ロ短調ミサ曲』

603497120567 の日も東京でセミナーでした。最近ようやく東京が増えてきました。

 さて、昨日は若きリフキンのビートルズを紹介しました。リフキンは大変面白い音楽家、研究者で、スコット・ジョプリンのピアノ演奏でも有名です。まさに硬軟聖俗にまたがる活躍。

 で、まじめな方ではバッハの研究が有名。ただちょっと特殊な説を唱えるところは、やはり柔軟すぎる思考の持ち主なのかも。

 たとえばバッハの「コーラス」は各パート一人だったという彼の説は有名ですし、賛否両論でした。今ではやや否定的に捉えられているようですが、あの清澄な響きには私も大変感動いたしましたし、バッハの時代にもいろいろな事情から各パート一人で演奏したこともあろうかと思います。

 これもまた二元論や原理主義に陥るなということでありましょう。いろいろ複雑で豊かな事情や現実があるということです。

 ということで、リフキンの名演奏を改めて聴いてみましょう。19年も前に一度紹介しています(こちら)。その時すでに四半世紀前と書いていますとおり、1981年から82年にかけての録音ということで、今から43年前になります。

 今聴いても全く古びていない新鮮な演奏ですね。その後自分でもオケの一員として演奏することになり、その壮大な音世界に鳥肌が立ちましたが、この演奏の透明感はやはり素晴らしいと思います。

 どうぞお聴きください。

 

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2024.07.09

ジョシュア・リフキン 『バロック・ビートルズ・ブック』

 Baroque Beatles Book - Joshua Rifkin

61shxnbsdvl_uf10001000_ql80__20240713063301 アー中でなかなか時間が取れません。更新が遅れております。この日は東京。

 先日、ビートルズ・オン・バロックを紹介しましたが、こちらはそういった試みの元祖にして頂点と言える作品。

 のちにバロック音楽研究&演奏・指揮の泰斗となる若きジョシュア・リフキンのとんでもない作品です。

 実はずいぶん昔に(18年前!)に一度紹介しているんですよ(こちら)。しかし、あの頃はYouTubeとかなかったので、実際に聴いていただくことはできなかった。

 そこで、今日は改めて紹介いたします。う〜む、やっぱりすごい。

 1965年ということで、当然後期の(バロック向きと思われる)名曲は採用されていません。しかし、それだからこそすごいとも言える。

 改めてビートルズのとんでもなさ、そしてリフキンのとんでもなさを再確認いたしました。笑えるけれど笑えない。よくぞここまで。これを、最新のピリオド楽器の演奏で聴いてみたいなあ。

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2024.07.02

グラウプナー 『欲望』

 この日は池袋でセミナーでした。懇親会で面白いことが起こりました。宮古島案件です。来年行きます。

 ちなみに出口王仁三郎は1927年の年末から翌年年始にかけて、台湾・琉球・奄美大島を巡教しています。

 さてさて、それとは全然関係ないのですが、セミナーでも「神様の大欲成就のため、私たちの小欲が使われる」という話をしました。私たちは欲がないと行動しないのです。

 「欲」と言えば、この知られざる名曲を聴いてほしい!

 クリストフ・グラウプナーの組曲ヘ長調から「Le Desire」。これが本当にいい曲なんですよ。

 グラウプナーはマニア以外にはあまり知られていない作曲家ですが、当時は大人気でした。トーマス教会のカントルだったクーナウが亡くなったあと、圧倒的なテレマンが後継に指名されるも辞退、テレマンに次ぐ人気作曲家グラウプナーに白羽の矢を立てたがまた辞退され、しかたなくバッハを指名したという話は有名です。

 グラウプナーはたしかにテレマン並みの多作家であり、またそれなりのクオリティーを維持している職人作曲家と言えます。

 そんな彼の「Le Desire」。英語で言えば「デザイアー」。すなわち「欲望」ってことですよね。「欲望」ってこんな美しいのでしょうか(笑)。

 いや、先ほど書いたように、私たちは「欲望」によってようやく行動することができ、そのおかげでこうして生き続け、働き続け、継続し続けているわけです。

 それにしても、この「欲望」は美しいですね。本当に名曲だと思います。楽譜は下の画像をクリック!

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