カテゴリー「音楽」の1000件の記事

2023.12.09

冬木透 『夕日に立つウルトラマン』

 

 日の帰ってきたウルトラマンつながり。

 ウルトラマンシリーズは音楽も非常に優れており、日本男児の情操教育に大変寄与していると思います。

 特に冬木透さんの楽曲はすごい。クラシック、それもキリスト教音楽を専門とする作曲家が、フルオーケストラを使って「未来の大人」のために真剣に書いた曲たちは、今でも時代を超えて愛され続けています。

 冬木さん(蒔田さん)の音楽については、去年こちらに書きました。

 ウルトラ音楽術

 私はセブンの楽曲が全般的に好きなのですが、帰ってきたウルトラマンでも一部楽曲が引き継がれていましたね。また新たな曲にも名曲が多い。特にこの「夕日に立つウルトラマン」は、当時も今でも元気と勇気をもらえる佳曲ですね。

 戦争音楽としての行進曲は、こちらにも書いたように、戦争の代替としてのスポーツ音楽として発展し、また子供たちにとっての戦争代替である昭和ヒーローものに受け継がれていきました。

 今はヒーローものやアニソンはロックを基調としたものに変わっていますし、スポーツ番組もタイアップ曲がほとんどになってしまいましたが。

 行進する機会自体減っていますし、まあ、これからも残るのは甲子園くらいじゃないですかね。

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2023.12.06

グレン・グールドの『バッハ フーガの技法』

Th_-20231207-152116 日で地元の文学講座は最終回でした。十返舎一九の「甲州道中記」を四谷新宿から大月まで読破しました。

 ずっと下ネタばっかりで、実に楽しかった(笑)。いい時代ですよ。今だったらぜったいコンプライアンスが許さない。差別やセクハラ満載ですが、それが実におおらかに展開されており、やられる方も黙っていない(笑)。

 それに比べて現代日本はなんと縮こまった窮屈な世の中になってしまったことか。どちらも行き過ぎはいけませんよね。

 で、今日は思いつきで、この明るく気さくで洒落た市民社会を形成していた時代、地球の向こう側ではどんな文化が栄えたかということを体験してもらいました。

 十返舎一九の時代はちょうどバロック時代ですからね。今日の本文にも三弦(しゃみせん)が出てきましたが、日本でも音楽が市民の嗜みになってくる時代です。

 ということで、聴講者のお一人にバロック・チェロを弾いていただき、私はヴィオロンチェロ・ダ・スパッラを弾きました。江戸の滑稽本と、あまりに違う雰囲気でしたよ(笑)。

 こういう共時的に俯瞰する歴史学習って絶対面白いと思うのですがね。学校ではなかなかやりません。日本史は日本史、世界史は世界史。

 考えてみれば、昨日の「首」の時代にも、西洋音楽が入ってきていたんですよね。のちに鎖国になり、また政治の中心が東に移って、その影響はほとんどなくなりました。

 そして独自の発達を遂げる日本音楽。しかし明治維新、文明開化でまた一気に西洋音楽が流入してくる。両者の相克と融合の時代はいまだ続いています。

 で、今日は何を書こうかと思ったかというと、一昨日も紹介したバッハの「フーガの技法」を邦楽器でやってみたいということです。あの曲には楽器指定がありませんからね。

 一部はもう誰かやってるに違いありませんが、残念ながら全曲録音はないので、どなたかやってくれませんかね。案外合うと思うのですよ。

 というわけで、最後に、ある意味西洋音楽の楽器を使いながら、超変態的な演奏を実現してまったグレン・グールドのフーガの技法をお聴きください。

 最後の未完フーガを未完のまま突如終わらせているところがいいですね。最近は無理やり補完してしまう演奏が多いので。代わりに偽作の「BACHの名による前奏曲とフーガ」で締めているのもユニークです。

 それにしても、パイプオルガンでこの個性的なぶつ切りアーティキュレーションをやってしまうグールドって、やっぱり天才というか変態ですね。そして、それが非常に新鮮でカッコいいと来たもんだ。

 

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2023.12.04

バッハ『フーガの技法』を見る

 

 幹線の中で思わず全部見てしまった動画。そう音楽を「見る」という面白さ。

 それも最も幾何学的であるとも言えるバッハのフーガの技法。さらにその名演奏(もちろん生楽器)。

 この演奏、昨年紹介していました。非常に画期的な、ある意味未来的な演奏です。

 バッハ 『フーガの技法』 (オランダ・バッハ協会)

 演奏映像だけでも十分に「見る」楽しみがあったのですが、こうして音楽自体を映像化していただけるとは。

 打ち込み音楽を映像化するのは簡単ですが、こうしたライヴな生演奏を映像化するのは、いくらAIを使ってもめちゃくちゃ手間がかかると思うのですが。

 そのプロレスについては、こちらに詳しく書かれています。すさまじい手作業だったのです。

 この動画から確認できることは、音楽(すなわち時間)は未来からやってくること、過去は残響に過ぎないこと、つまり「今」という点には過去の余韻と未来への予兆が含まれているということです。

 「今ここ」問題は、現代の科学や哲学、宗教、そして私自身の大きな課題なのですが、この動画を全て見て、ある重要なヒントを得ることができました。

 そして、音楽は天使でもあり悪魔でもあること。晩年のバッハが行き着いたのは、宇宙の、そしてその雛型たる私たち自身の、そうした二面性であり、しかしそれらは二項対立するものではなく、昇華されてプロポーションを生むものであるということだったのでは。

 また、抽象的な「音符」の世界と、具体的な「演奏」の世界も同様に高次で融合されるということ。

 この動画の作者は様々な時代の音楽を可視化してくれています。すごいですね。ぜひいろいろ見てみてください。

 YouTubeチャンネル smalin

 

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2023.12.01

福岡のパワーの源は…

 日より福岡ツアーです。

 昼過ぎに新幹線で博多に着。知人二人と今後のイベントについてミーティング。

 今日は天神にて夜のプチセミナーです。40人近い方で満席。ありがたや。東京と岡山から友人がゲストとして駆けつけてくださりまして、大いに盛り上がりました。

Th_-20231203-110157 打ち上げ兼懇親会も天神の居酒屋にて。一華五葉さん御一行様も合流して、なんと出口王仁三郎の耀わんが5つ揃うという…最後はリッツ・カールトン福岡の最上階ラウンジでゴージャスな夜景を楽しみました。

 という感じで一日目から全開ですね。

 それにしても福岡の皆さんの食いつきの良さは尋常ではありません。実際この1年で一番呼んでいただいているのは福岡県なのでした。まさか自分も富士山と福岡を往復するようになるとは思っておりませんでした。

 で、今日もセミナーでも導入でちょっと話したのですが、私、高校時代から「まじで結婚しようと思っていた女性タレント(笑)」はみんな福岡出身(あるいは育ち)なんですよね!

Th_img_3986 富田靖子、松田聖子、椎名林檎、浜崎あゆみ…最近では橋本環奈…ってハシカンと結婚しようと思ってるのかよ!w

 地元の人たちに芸能人が多い理由を聞くと、まずはやはり明るく外向的であるということ、そしていろいろな文化を受け入れ認めるところ、目立ちたがりなところ、東京や大阪との適度な距離感(憧れと覚悟)あたりが挙がりました。なるほど。

 たしかに博多や天神なども、街や人全体の雰囲気が明るく自由な印象です。美味しいものもたくさんありますしね。

 今でもそのような政策が推進されておりますが、やはり歴史的に半島や大陸に近かったことも大きな要因でしょうし、実際そのようなDNAも流れていることでしょう。

Th_img_3991 今日お会いした方々の中にも、東京方面から移住された方が多くいらっしゃいました。たしかに東京よりも住みよいかもしれない。

 あと、空港が近いというのもいいですね。これだけの大都市でこんなに近くに国際空港があるところはありません。

 さて明日はおそらく数百人対象のお仕事です。楽しみたいと思います。

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2023.11.30

濱田あや 『デュフリのガヴォットとシャコンヌ』

 日から仕事で博多に4日ほど滞在いたします。そのために山梨から静岡の実家に移動。

 昨日の記事にも書きましたが、最近は西日本の方にお招きいただくことが多く、今まであまり触れなかった西日本の方々のスピリットや生活文化に触れる機会が増えました。

 日本をほとんど出たことがない私ですが、世界に出る前に日本国内でも行ったことがないところが無数にあるわけで、まずはそちらをしっかり体験していかねばと思うこの頃です。

 自分が慣れ親しんでいるジャンルでも、日本東西でかなり文化が違います。たとえば古楽。都留音楽祭を長年やっていた関係で、狭い古楽界ゆえの東西交流はあった方だと思います。しかし、それでも知らない伝統がいろいろありますね。

 関西方面の古楽文化の中で忘れてはいけない存在が、濱田あやさんだと思います。芦屋の出身。芦屋や神戸女学院の独特な文化については、仲小路彰関係で原智恵子に触れまして、あらためてその深さや東京文化との違いに感銘を受けているところです。

 濱田さんは神戸女学院を卒業後、ジュリアード音楽院に進み、今もアメリカを拠点に活躍しておりますが、フランスのレザール・フロリサンで演奏していたこともあって、フランスものには格別なセンスの良さを発揮しているように感じます。

 原智恵子もフランスに留学して同国の音楽を得意としておりました。彼女のフランスバロックものは、さすが本場のクラヴサンの伝統を感じる素晴らしさがありますね。ちなみに帰国した智恵子が唯一教鞭をとったのが神戸女学院です。東京芸大からの誘いは断ったとか。

 神戸には明治時代から多くのフランス人が住んでいましたから、フレンチな食や映画、音楽などに慣れ親しんできた歴史があるのでしょう。

 というわけで、濱田あやさんの、実にフランス的な演奏を鑑賞いたしましょう。デュフリのクラヴサン曲は、クープランやラモーほどは知られていませんが、とても素敵な佳曲ぞろいです。中でもこのシャコンヌは有名ですね。その前にとてもエレガントなガヴォットが演奏されます。フランスのエスプリをご堪能ください。

 

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2023.11.25

NHK「音楽の広場」タモリとスポーツテーマ曲

Th_-20231127-111105 日から明日にかけて私は某会社の研修講師です。

 今日、娘たちは横浜DeNAベイスターズのファン・フェスティバルに参戦です。楽しそう!私は明日録画を観ることとしましょう。

 ベイスターズと言えば今でもTBS。TBS、スポーツでふと思い出したのですが、そう言えばかつてのTBSのスポーツテーマ曲って最近聞かないなあと思って検索しましたら、懐かしい映像が出てきました。

 NHKの「音楽の広場」。こんな回があったんですね。タモリの才能が爆発しています。1978年ですか。私はまだ14歳(笑)。

 黒柳徹子、芥川也寸志の司会に、ゲストは古関裕而さんですか。やばいですね。NHKなのにNTVやTBSの楽曲やってるし(笑)。プロ野球ニュースはフジテレビだし(笑)。おおらかな時代ですね。

 それにしても、本当にスポーツテーマは名曲が多いですね。改めて確認いたしましたが、作曲家はそれぞれこんな感じだったのですね。

 NHK「スポーツショー行進曲」作曲 古関裕而

 NTV「スポーツ行進曲」作曲 黛敏郎

 TBS「コバルトの空」作曲 レイモンド服部(服部逸郎)

 行進曲はかつては軍歌の代表格であったのですが、こうして戦後は「戦争の代替とのしてのスポーツ」の象徴となり、長調の明るい楽曲が好まれました(まあ、軍艦マーチはある部分で生き残っていましたが)。

 まあ、それにしてもタモリはすごいですね。今も変わらないと言えば変わらない。変わったと言えば変わった。しかし結局NHKが重用したのは、彼の「文化性」によることであるは間違いありませんね。

 ぜひこちらからご覧ください。

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2023.11.24

Unconditional Love 聴き比べ

Th_-20231125-101752 に思い出して久しぶりに聴いてみました。シンプルですが、いい曲ですね。シンディ・ローパーの3枚目のアルバムに収録されていラブ・ソング。「無条件の愛」という意味でしょうか。

 この時代、私はポップスから離れておりまして、リアルタイムではあまり感動しなかった。しかし、最近80年代から90年代にかけての欠落した音楽(洋楽・邦楽両方)を再体験しておりまして、多くの名曲たちに出会うことができて得した気分になっております。この曲もその一つ。

 この曲はいろいろな人によってカバーされています。実は私がこの曲を意識したのは、椎名林檎さんのライブででした。いい曲だなと。どっかで聴いたことあるけど…と思って調べたら、シンディ・ローパーの曲だったと。

 さらに林檎さんは、シンディだけでなく、スザンナ・ホフスのカバーを意識して歌っていることが分かりました。さすが洋楽好きな林檎さんです。

 というわけで、今日はいくつかの動画を紹介します。

 まずは、シンディのオリジナル。

 

 次はシンディの横浜でのライブ歌唱。大の親日家ですよね。日本酒が好きだそうな。

 

 元バングルスのスザンナ・ホフスのカバーを聴いてみましょう。この歌唱が含まれる、ソロになって初めてのアルバムは「ボーイの誘惑」という邦題でした。

 

 で、おそらくこのスザンナの歌唱に影響を受けたであろう、椎名林檎さんのカバー。この編曲はビートルズ的で良いですね。

 

 林檎さんのライブ歌唱も聴いてみましょう。私が聴いたのもこのバージョンでした。

 

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2023.11.22

ナルディーニ 『二つのヴァイオリンの為の作品集』

 

 ィオロンチェロ・ダ・スパッラをお預かりするようになって、初めて本格的に通奏低音パートを弾く喜びを味わっております。

 今日は少し時間がありましたので、こちらの通奏低音パートを演奏してみました。

 ナルディーニはあまり知られていない作曲家ですが、特にヴァイオリン演奏については重要な役割を果たした人物です。無伴奏のカプリッチョもたくさん書いており、それがのちのパガニーニのカプリッチョに影響を与えました。

 というか、まずはヴァイオリニストとしてとても優秀であったようで、かのモーツァルトのお父さんは彼の演奏を次のように評しています。

 彼の音色の美しさ、純粋さ、均一さ、そして彼のカンタービレが持つ味を超えるものはない。しかし彼は難技巧を駆使しているわけではないのだ。

 どんな演奏だったのか、聴いてみたいですよね。自身も優秀なヴァイオリニストだったレオポルトがこう言うのですから。

 さて、作曲家としてのナルディーニは、バロックから前古典、そして古典への架け橋のような存在で、通奏低音付きの楽曲から古典派的な弦楽四重奏まで作曲し、数は多くはありませんが、非常に美しい佳曲を残してくれています。

 このバロック式トリオ・ソナタも、本当にメロディアスであり、のちのロマンティックな旋律音楽を予感させますね。

 かなりピンポイントですが、第1曲の後半の冒頭のコード進行は、シンプルながら非常にモダンで(ポップスでも使われている)、私は驚いてしまいました。ああ、この時代にもやってるんだ!という発見(ちなみにここです)。

 ここの低音の半音階進行が弾いていると気持ち良いのでした(変態的かな?)。

 楽譜はこちら

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2023.11.14

里見洋と一番星『新盛り場ブルース』

Th_-20231115-94038_20231115094101 愛するタブレット純さんが随所でおススメしている伝説のプログレ歌謡バンド「里見洋と一番星」。

 マジですごい。角石(かどいし)以来の衝撃です。

 ほとんどの方が知らないでしょうから、まずはこの曲から聴いてください!

 内山田洋とクール・ファイブの「長崎は今日も雨だった」のカバーです。

 

 

 う〜む、もう解説はいらないでしょう。唯一のアルバム「新盛り場ブルース」の全曲を聴いてみてください。歌も演奏もアレンジもすごすぎる。

 

 

 

 ベンチャーズが曲を提供した「明日へ走る」もすごい。ベンチャーズがプログレになっちゃった(笑)。謎すぎる転調、モノシンセの哀愁、攻めるベース…。

 昭和歌謡の世界は深いですなあ。

 

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2023.11.11

追悼 大橋純子さん

Th_zap2_g5981976w 日は東京は目黒区にてセミナー。またまた素晴らしいメンバーに囲まれ、最高に充実した時間を過ごすことができました。

 メンバーの半数が昭和の音楽にとても詳しい人たちで、大橋純子さんの訃報についての話題も出ました。

 それにしても、今年はなんでこんなに大切なミュージシャンが亡くなってしまうのでしょう。さすがに多いと思います。

 大橋純子さん、ウチのカミさんもバンドで良く歌っておりました。こんなふうに歌いなあといつも言っておりました。

 おなかから出ているが軽い。表現もシンプル、明るく澄んだ声質。楽曲にも恵まれましたね。

 間接的にご縁があるのはこの曲でしょう。プロデュースが、今年キャンティでお会いできた川添象郎さん。「霧に抱かれたて」。

 私は大橋純子&美乃家セントラル・ステイション名義の時代の演奏が好きですね。土屋昌巳さんのギターが良い。

 このライヴ映像も泣けます。

 

 

 このラジオ・ライヴもぜひお聴きください。懐古趣味ではなく、今に未来に響く音楽。本当に素晴らしい歌い手さんでした。ご冥福をお祈りします。

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