カテゴリー「映画・テレビ」の1000件の記事

2023.09.17

アニメ映画『犬王』 (湯浅政明監督作品)

 

 日の動画でも紹介されていたアニメーション映画「犬王」。

 娘が能をやっていることもあって興味深く鑑賞いたしました。こういう作品好きだなあ。境界線を感じさせない世界観。

 お変人のワタクシからすると、観阿弥も世阿弥も犬阿弥(道阿弥)も相当ロックなアーティストでした。

 今では能というと静かで眠くなる舞台芸術のように思われていますが、あの時代はその時代性とも相まって、能楽はかなり過激な野外フェスでした。

 そのあたりの空気感を、現代のロックと融合させることによって、見事に表現しているのがこの作品だと言えます。そうした時代を超えた融合に違和感を抱くとするなら、その人は時代や歴史や伝統というフィクションにとらわれているのでしょう。

 そういう意味でも、できれば劇場で鑑賞したい作品ですね。実際、この映画では現代の風景が額縁のように配置されていますが、私たちの側も現実の風景から隔離される空間と時間が必要です。

 近年の名作ドラマ「俺の家の話」の時も、能楽界がざわつきましたが、この映画についてはどうだったのでしょう。伝統に対して失礼だと言った人もいましたが、はて、観阿弥や世阿弥、犬王が現代に生きていたら、もっと過激な作品を世に問うていたのではないでしょうか。

 特に犬王は、世阿弥が「こいつ最高!」と評価したアーティストでしたからね。

Amazon 犬王

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2023.09.14

『福田村事件』 森達也監督作品

Th_320_20230915090201 てきました。いやはや、すごい映画でした。

 ちょうど百年前。関東大震災後に起きた悲惨な事件。

 事件の内容やそこに至る経過は歴史的な事実として知っていたつもりでしたが、これほどまでに心を揺さぶられるとは。

 森達也監督の初の劇映画。

 なるほど、監督は今まで主にドキュメンタリー映画を撮り、真実の中から物語を紡ぐという手法を極めてきましたが、今度は逆、物語から真実を紡ぐということに挑戦したわけですね。

 そしてそれは大成功であったと思います。

 この映画の内容に対して、たとえば偏狭な保守主義者たちは、そんな事件はなかったとか、実際に朝鮮人や穢多非人は不逞を働いていたとか言うのでしょうが、それもまた、この映画に揺さぶられているからこその反応です。

 一方で、リベラルに偏り過ぎな方々は、この映画は素晴らしい、やはりかつての日本(日本人)は間違っていたのだと叫ぶのでしょう。それもまた反応です。

 そうした「反応」が論理より先に感情として現れるということは、そう、私たち自身の中にも「狂気」の種があるからでしょう。もちろん私もそうです。

 森監督の、リアルを凝視してきたからこその演出手腕はもちろん、私は(勝手にですが)荒井晴彦さんの臭いに感心してしまいました。

 ある意味不謹慎かもしれませんが、ああいう時の(残酷なことをする時の)人間の心理、高揚感、非倫理性というのは、なんかエロに通じるなと感じたのです。本能なのでしょうか。

 当時の田舎の日本人の純粋な「不貞」も重層的に描かれていますが、それ以上に純粋かつ集団的な「不逞」の方がエロチックに感じてしまった。

 いかんいかんと思ったけれど、自分の中にそういうとんでもなく恐ろしい種があることを再認識させられてしまった。

 もうそれだけでも、この劇映画の目的は見事に達成されたと思います。少なくとも私にとっては。

 時代という舞台の再現、その上で演じる役者さんの凄まじい演技。物語の力をまざまざと見せつけられた気がします。正直、予想の百倍くらい衝撃的、(感動ポルノではなく)感動的でした。

 もし機会がありましたら、ぜひ劇場に足を運んでみてください。

 映画「福田村事件」 公式

 

 

 岡田斗司夫さんのような感想もありだと思います。

 

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2023.09.07

飯島勲 『横田めぐみさん奪還交渉記録』 (文藝春秋)

Th_942f1ebfa145ddaae2a627358045b6ae_1 ャニーズの会見、皆さん見ましたか。

 帝王の死後、帝国が自壊していくのは世界史の常。もちろん、性加害は許されざる犯罪であり、ジャニー喜多川を断罪すべきは当然のことですが、それを数十年にわたった黙認してきた日本社会の、特に芸能界とメディア、マスコミの悪弊についても、真剣に考えねばなりませんね。

 いのっちが言うとおりです。彼らしく穏やかに述べていましたが、今になって突然糾弾する側に回るマスコミ、メディアも自分ごととして反省し、場合によっては強く責められねばならないでしょう。

 帝国の弊害、自壊ということで言うと、この文藝春秋の飯島勲さんの記録公開記事はとても興味深かった。

 北朝鮮という、歴史的限界を迎えつつある帝国。それを見かねて命懸けで訪朝した飯島さんがギリギリの交渉を行った貴重な記録。

 何度も書いているように、私は横田めぐみさんと幼なじみであり、幼少期に一緒に遊んだ仲です(記憶はほとんどありませんが)。のちにご縁あってご両親が学校を訪問した際、当時のアルバムを見ながらお話もさせていただきました。

 私の父とめぐみさんのお父様とが同じ職場だったのです。また、故安倍元首相夫妻とも懇意にさせていただいていた関係もあって、私にとっては拉致問題は全く他人事ではありません。

 また、飯島さんの並外れた才と行動力についてもよく知っていますから、この記事は格別に興味深く読ませていただきました。

 加えて、学校や身近な地域においても、小規模ながら「帝国」が出来上がっていく過程を見てきましたので、なるほど全て雛型であり、それはすなわち私たち自身にもそのような危険な「種」が存するのだなと感じているところです。

Th_-20230908-101149 利害関係や師弟関係が進むことによって、一人に権力が集中すると、周囲の忖度が始まり、結果その「帝王」は我欲を助長させてしまいます。そして、その多くは本能的欲望の肥大化を生み、各種ハラスメントとして表現されていきます。

 影でそれを糾弾する人は無数にいますが、その声は表には出てきません。そこに裸の王様が完成します。そして必ず限界を迎える。しかし、場合によっては、その限界の前にその王様が寿命で亡くなってしまうこともあるのです。

 今回のジャニーズの件も、もう数十年前からずっと言われてきたことです。それがなぜ今になって表に出たのか。単に外国からの指摘があったからなのか。

 ジャニー喜多川の父が高名な僧侶であったことも考え合わせると、ある種の歴史的な日本文化の功罪を背負っていたとも言えましょう。

 低身長の美少年を活躍させる(…すなわち宝塚の逆)場を作り、多くの若者たち(ファンも含めて)を救い、夢を与え、戦後日本の芸能文化を作り上げてきたことも評価しなければなりません。

 ジャニーズの興行に何度か行ったことがありますが、思想的なところも含めて、正直レベルの高い内容で感心しました。

 そう、こういう問題を語る時は、自分ごととしての距離感と、世界史的、文化史的な距離感の両方が必要なのです。また、いつかこのことについては書きたいと思っています。

 ジャニーズの問題も含めて文藝春秋の10月号は、人類の、人間の、自分の愚かさを知るよき教科書となっています。ご一読を。

 文春オンライン 《2013年飯島勲極秘訪朝》7時間全記録初公開

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2023.09.04

江利チエミ・雪村いづみ・美空ひばり〜夢の競演(1980.1)

Th_-20230905-81818 日、江利チエミさんのジャズ民謡を紹介しましたが、チエミさんと言えば三人娘。あとの二人は美空ひばり、雪村いづみ。

 この三人、それぞれ個性が違う魅力的な歌手ですよね。歌がうまいだけでなく、お話も演技も天才的。超実力派アイドルグループですよね。

 そんな三人が歳を重ねて再会し共演している神番組がこれです。三人の関係性(仲の良さ)もさることながら、それぞれ高倉健、小林旭、ミッキー・カーチスらとの出会いと別れなど、人生経験を積んだのちの、人間としての深みを感じさせる歌とトークですね。

 この2年後チエミさんが亡くなり、9年後ひばりさんが亡くなりました。二人とも若すぎた。残されたいづみさんの悲しみはいかばかりか。しかし、二人の遺志を継ぐごとく、86歳のいづみさんは今も引退せず現役です。

 それにしてもこの番組、本当にすごいですね〜。聞きどころ、見どころ満載です。なんか泣けてきちゃった(涙)。

 

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2023.09.01

関東大震災から100年

Th_-20230904-94912 新が遅くなりました。この日は関東大震災から100年の日でしたね。

 私の職場がある富士吉田市では500戸以上の家屋が全半壊しました。おそらく震度6強レベルだったのではないでしょうか。

 これから起きる首都直下型地震や南海トラフ巨大地震においても、同じくらいの揺れが想定されます。

 大正時代に比べれば、家屋の耐震性能は格段に上がっていますが、逆に怖いのは各種インフラの崩壊によるパニックです。

 現代人の我々は、あまりに便利な生活に慣れきってしまっていますので、そういった面での免疫力、耐性はかなり低下しています。

 また、時代を超えて脅威になるのは、情報の混乱とデマです。これは、逆に情報インフラが高度に発達しすぎたために発生する人災でしょう。

 コロナに関する初期の、いやその後も含めてのデマによる不安と国民の分断は記憶に新しいところです。

 また、原発処理水の海洋放出に関する中国の情報操作を見ても、この問題は時代とともにより深刻になってことが予想されますね。

 関東大震災の時のことで言えば、やはり全国各地で起きた朝鮮人・中国人虐殺事件でしょう。

 富士吉田や私の住む鳴沢村でも、震災の数日後、東京方面から不逞鮮人が攻めてくるというデマが拡がり、自警団が組織された記録が残っています。

 そういえば、森達也監督の「福田村事件」が今日から公開ですね。

 

 

 それから思い出されるのは、震災のドサクサに紛れて大杉栄らが惨殺された甘粕事件ですね。不思議なご縁で、私の実家のすぐ近くの墓地に彼らは葬られています。

 大杉栄の墓(静岡市沓谷)

 非常事態における人間の愚かさについて考えさせられる事件ですね。そして、それは決して他人事ではない。自分にもそういう可能性があることを忘れてはいけません。

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2023.08.22

映画『君たちはどう生きるか』 宮崎 駿 監督作品

Th_kimitachi 女が観に行きたいというので、事前情報なしで私も鑑賞いたしました。

 結論から言うと「よく分からなかったけど、すげぇな」でした。

 ジブリ作品には元々あまり興味がなく、家族が観ているのを横目で盗み見する程度でしたが、そんな私でもこの作品は「集大成」的には感じました。

 もっとはっきり言ってしまうと、宮崎駿監督というカリスマの最後の仕事に、考え得る最大の才能と時間とお金がかけられたのだから、それはすごいのは当たり前という感じでした。

 冒頭の火事のシーンだけで、世界の美術史に残るであろう「絵」の連続を見せられた感じがして、正直圧倒されました。西洋と東洋の両美術的世界を統合・融合する日本的美術の世界、ここに極まれりです。

 背景の西洋的リアリズム描写と、キャラクターを中心とした東洋的リアリズム描写の同居という、本来は不自然きわまりないはずの画面が、どうしてここまで自然に感じられるのかという驚き。

 東西は、主に「輪郭線の有無」と「色彩の平板化の度合い」で峻別されるのですが、それを自然に同居させてしまうのは、日本独特の文化であり、浮世絵や漫画、アニメに慣らされた私たちにとってはそれこそ自然なことなのかもしれません。

 それはすなわち、日本人の脳内リアルが、意識(コト・カタ)と無意識(モノ・マナ)の総体とそのバランスであるということなのですが、それがストーリーにおいても実現しているのが興味深かった。

 つまり、「分かる」と「分からない」がそのままの形で放置されることが「リアル」になっていたわけです。「モノガタリ」の本質は実はそこにあり、だからこそ「モノ」を「カタる」と称した。

 そういう意味で、私はこの作品を「よく分からなかったけど、すげぇな」と評し、だからこそ見終わったあとに不快にはならなかったのです。

 これは新しい日本の神話なのかもしれませんね。ある意味そういう陳腐な感想しか出てこない。やっぱり宮崎駿をすごかったということか(なんだか悔しいけれど…笑)。

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2023.08.14

『猫は逃げた』 城定秀夫脚本・今泉力哉監督作品

Th_320_20230816085001 れも好きな映画。城定秀夫さんの脚本が絶品です。

 城定監督はピンク映画の巨匠。いまおかしんじ監督とともに、私の尊敬する監督さんです。

 この業界、お互い助け合うというか、自由にコラボすることも多いんですよね。城定さんと今岡さんもコラボしています。

 そして、城定監督と今泉力哉監督がお互いの脚本を監督するという企画が「L/R15」。

 これは城定さんの脚本を今泉監督が撮っています。猫もあきれる人間の愚かさをエロとユーモアとペーソスで表現していて実に痛快。何度観ても笑いながら泣いちゃう。

 特にクライマックス、不倫ペア4人が集合しての長回しのセリフ回しが最高。演技している4人も本当に見事。映画のような舞台のような漫画のような現実のような。これは名シーンですよ。今泉監督ならではの演出でしょうか。

 もちろん「猫」が持つ不思議な力、人間の運命を動かしてしまう魅力もちゃんと表現されています。猫2匹の「演技」(?)もすごい。

 昭和からずっと、商業性を超えた映画の芸術性を担保してきたピンク映画の世界。こういう現場がいまだ残り、そして若い作家も育っていることは日本の誇りとするところですね。

 浮世絵的な世界観は爛熟するAV世界に生き続けていますが、その一方で古典的な「もののあはれ」文学的世界は、実はこちらに継承されているのですよね。

 その両方のバランスこそが、日本神話的なエロスの世界でありましょう。そのどちらにも「猫」は必ずいるのでした。

 

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2023.08.10

『甲州街道から愛を込めて』 いまおかしんじ監督作品

Th_61keqgjsowl_ac_ の映画、なんか好きなんだよなあ…世界で一番小さいロードムービー。

 ピンク映画の巨匠、今岡信治監督の一般作品。とはいえ、醸し出す雰囲気はいつもの今岡節。

 こういう行きずりの男女の切ない刹那の表現、本当にうまいんですよね。高校生から熟年まで、ちょっとした会話や表情や風景によって、心の奥の奥の動きを表現するのがうますぎる!

 そして、切なさの裏側には優しさがある。結局、いまおか作品というのは人間の優しさの塊なんですよね。

 どんなダメな人間でも優しさがあればいいじゃないかと。どんなダメな人間でも一人は優しい言葉をかけてくれる人がいる。

 いや、ダメだからこそ、人の愛をもらえる。許してもらえる。守ってもらえる。見捨てないでもらえる。

 そういう意味では、ダメ人間肯定映画でもあるわけで、本当に観るとホッとするんですよね。

 この映画、私にとっては見慣れた風景がたくさん現れます。甲州街道ですから。相模湖、猿橋、勝沼。勝沼ぶどう畑での切ない失恋は「この窓は君のもの」とも重なりますねえ。

 さらに実は甲州街道から少し寄り道していますが、富士吉田の某所も大切なシーンで出てきます。

 そしてラスト近くのライブハウスは、先日我が家がライブをさせていただいた下北沢の音倉さん。

 見慣れた風景がこうして味わい深いものになるマジック。すごいですねえ。泣けますわ。

 うん、なるほど、あのクネクネとした山あり谷あり、わびしさ満載の甲州街道は人生そのものですね。

 役者の皆さんも最高。クセのある人物をさりげなく見事に演じています。なんかこういう映画撮ってみたいなあ。お金かけなくてもこんなステキな作品ができるんですね。編集の妙でしょうかね。

 これまたさりげなく切ない濡れ場も効果的。さすがといったところです。

 多作家でもある今岡監督。配信でもいくつか観ることができますので、皆さんもぜひ。

 

 

Amazon 甲州街道から愛を込めて

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2023.08.09

映画『生きる FROM NAGASAKI』 松本和巳監督作品

Th_-20230810-102551 崎原爆忌。戦後78年。いつも思うことは、時の流れは絶えずして、いつか被爆者も兵隊経験者もゼロになる瞬間が訪れるという事実です。

 それが「歴史になる」という意味であるのも真理であり、ある意味そういう「忘却」の瞬間の積み重ねと、それに抗う生命の意志というものが、この世を構成しているとも言えましょう。つまり、モノとコトの拮抗。

 現代においては、テクノロジーによってその「コト」の方法と質は、かつて考えられないほどにリアルになっています。

 この作品のようなインタビューによる歴史の伝承も非常に重要な「コト」です。逆に言うと、私たちは歴史の継承、つまり自然の忘却を人工的に記憶、記録していくために、テクノロジーを発達させたとも言えます。

 オーラル・ヒストリーが文字によってではなく、映像と音声と編集によって記録される時代になり、それが人間という愚かな存在にとって記憶力と伝播力を補うに足る存在になりました。

 松本和巳監督が、このタイミングでこの作品を残してくれたことは、たしかに人類にとって良き知らせであると言えましょう。こういう「コト」がより多くの皆さん、特に若者たちに届くことを祈ります。

 数年前に、この作品の中においても重要な存在である永井隆さんの「浦上燔祭説」を紹介しました。ぜひそれもお読みいただきたい。

 その上でこの語り部たちの言葉と表情を受け取ってもらいたい。広島に建つ「過ちは繰り返しませぬ」の深い意味も理解できると思います。主語を明示しない日本語だからこそ、「罪」を誰かのせいにすることなく、人類全体の普遍的な「真理」として表現しているのです。

 どっかの誰かは、この言葉に違和感を覚えないヤツは自虐史観に冒されているというようなことを言っていましたが、逆でしょう。

 武立さんとセーラーのオルガンを通じての交流…セーラーは朝鮮戦争へ行ったまま帰ってこない。仲小路彰が言うように、第三次世界大戦は朝鮮戦争から始まって現在も続いている、ロシアとウクライナの戦争もその一部である。

 長崎が、人類史上最後の被爆地となることを願います。

 

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2023.08.08

『ひろしま』 関川秀雄監督作品

Th_41x6kdtool_ac_ 昨日は広島原爆忌。明日は長崎。

 今日は広島原爆の悲劇を伝える映画「ひろしま」を鑑賞。原爆投下の8年後に製作された作品です。

 広島市民8万8千人がエキストラ参加するという、おそらく世界映画史上最も大規模な作品です。第5回ベルリン国際映画祭長編映画賞を受賞。

 日教組プロ製作ということで、偏見を持つ度量の狭い右派の方もおられるかもしれませんが、あの当時の日教組、特に広教祖は、本当に純粋に平和を希求していました(その後はまた別の話)。

 このリアルな記憶の集合体は、圧倒的な迫力をもって時代と忘却の波に逆らいます。

 GHQの検閲によって削除されたシーンと、そしてそれに抗してあえて残されたシーン。そのために全国公開や放映にいまだにブレーキがかかっているという事実。

 最近ようやくテレビや配信で放映される機会が増えましたが、やはり基本は地方での独立上映。より多くの方々に観ていただきたいですね。

 オリジナルは白黒ですが、カラーですとあまりにリアルで直視に耐えない、あるいは白黒ならではのリアリズムがあるかと思っていましたら、最近はAIでのカラー化の技術が進み、YouTubeでカラー版を観ることができるようになりました。

 どちらが良いかはそれぞれだと思います。私はオリジナルの方でした。記憶は色ではなく光なのだなと思った次第です。

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