『猫は逃げた』 城定秀夫脚本・今泉力哉監督作品
これも好きな映画。城定秀夫さんの脚本が絶品です。
城定監督はピンク映画の巨匠。いまおかしんじ監督とともに、私の尊敬する監督さんです。
この業界、お互い助け合うというか、自由にコラボすることも多いんですよね。城定さんと今岡さんもコラボしています。
そして、城定監督と今泉力哉監督がお互いの脚本を監督するという企画が「L/R15」。
これは城定さんの脚本を今泉監督が撮っています。猫もあきれる人間の愚かさをエロとユーモアとペーソスで表現していて実に痛快。何度観ても笑いながら泣いちゃう。
特にクライマックス、不倫ペア4人が集合しての長回しのセリフ回しが最高。演技している4人も本当に見事。映画のような舞台のような漫画のような現実のような。これは名シーンですよ。今泉監督ならではの演出でしょうか。
もちろん「猫」が持つ不思議な力、人間の運命を動かしてしまう魅力もちゃんと表現されています。猫2匹の「演技」(?)もすごい。
昭和からずっと、商業性を超えた映画の芸術性を担保してきたピンク映画の世界。こういう現場がいまだ残り、そして若い作家も育っていることは日本の誇りとするところですね。
浮世絵的な世界観は爛熟するAV世界に生き続けていますが、その一方で古典的な「もののあはれ」文学的世界は、実はこちらに継承されているのですよね。
その両方のバランスこそが、日本神話的なエロスの世界でありましょう。そのどちらにも「猫」は必ずいるのでした。
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