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2025.04.01

『アルプススタンドのはしの方』 城定秀夫 監督作品

320_20250406174001 津温泉でセミナー1日目。上野から特急草津・四万で移動。移動中、この映画を観ました。

 先日、横浜高校の優勝で幕を閉じたセンバツ高校野球。セミナーでよく話しますが、高校野球、特に「甲子園」はスポーツではありません(こちら参照)。

 あまりに独特な世界ですから、反対側からすると「気持ち悪い」ことになりますが、だからといってそれだけではすまされないモノ(なにか)がありますよね。

 私も批判的に語る時もあるにも関わらず、あの世界が大好きです。その一筋縄でいかない、不思議な「興奮」を実に上手に表現したのが、この「アルプススタンドのはしの方」でしょう。

 まさに反対側であるはずの「演劇部の女」や「優等生の女」や「野球部やめた男」が、いつの間にかその「興奮」の中で「興奮」していく様子を描いた戯曲。そう、高校演劇の名作の映画化がこの作品です。

 私の大好きな、そして尊敬する城定秀夫さん、さすがです!

 超低予算で、ここまで深く、感動的、ある意味煽情的な作品を撮ってしまうのですから。いやあ、これはある意味「禅的」な表現でもある。

 野球のシーンは皆無です。歓声や打球音といった「環境音」によって、世界を想像させつつ、そこに埋もれるはずの「会話」や「気持ち」を見事に掘り起こし、ドラマに仕立てる。

 もちろん、原作の脚本の素晴らしさもありますよ。しかしやっぱり城定監督の手腕だよなあ。さすが「どんなジャンルやお題でも傑作に仕上げる映画料理人的な職人監督」。

 これはおススメです。私も主人公たちと同じ気持ちで、批判、冷視から「興奮」に至ってしまいましたよ。

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