オスカー・ピーターソン・トリオ・イン・トーキョー、1964(再び)
東京。母の通院など。東京の街を歩きながら、戦後の日本の歩みをいろいろと考えました。
私が生まれる2ヶ月ほど前、オスカー・ピーターソン・トリオの東京有楽町サンケイホールでのライヴ。4ヶ月後には東京オリンピックが控えていました。
戦後まだ19年しか経っていません。前回の東京オリンピックもいろいろ問題がありましたが、この初めての日本でのオリンピックの時なんか、もっともっといろいろと強引なことがありまして、大変な反対運動もあったと聞きます。
しかし圧倒的にプラスのエネルギーが多かった時代。東京以外の田舎はまだまだ戦後というか戦争を引きずっていた時代ですが、オリンピックに励まされた国民は多かったことでしょう。テレビという新しいメディアの登場もありましたしね。まあ古き良き時代です。
日本人の特徴、いや特長、特技に「忘却」があります。セミナーでも申し上げていますが、実は「忘却」こそが最も純粋な「保存」であるというパラドックス。それをそれこそ無意識レベルで全国民がやってしまうのが、まあ日本のすごいところですよね。
東京はじめ各地が焼け野原になり、原爆が2発落ちて終戦。もうその直後から「ギブ・ミー・チョコレート」に象徴されるようなアメリカへの憧れが始まり、日本でもジャズの隆盛を迎えます。
とは言え、日本のミュージシャンの技術は本場にはほど遠かったあの頃。まさに本場も本場、天才中の天才、オスカー・ピーターソンの来日公演に酔いしれ、その技術やスピリットに憧れた日本人は多かったことでしょう。
すでに1953年に来日していましたが、戦後8年と19年とでは、その受容の形はだいぶ違ったのではないでしょうか。
おそらく日本人が戦後初めて本格的な本場の生演奏を聴いたのが1953年ではないでしょうか。サンフランシスコ平和条約が発効し、名目上日本が独立を果たしてまだ1年しか経っていません。オスカー・ピーターソン自身もあくまでノーマン・グランツの一座JATPのメンバーとして来日したにすぎません。
このライヴ盤も聴くと、日本の聴衆のノリも素晴らしく、それにおそらく触発されたであろう「皇帝」と仲間たちの演奏も実に生き生きしていますね。
…と書いてみて、思い出しました。このアルバム2年前に紹介してました(笑)。まあいいや。いいものは何度でもおススメします!
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