『重臣と青年将校 陸海軍流血史』 土居通芳 監督作品
バレンタインデー。私は富士吉田にて久しぶりに「富士山合宿」第一目。
日本で特殊化したバレンタインデーもいよいよ様変わりし、かつての女子が男子にチョコを送って告白するという風習はなくなりました。またその後の「義理チョコ」文化もすっかり廃れ、女子は「自分のために」チョコを購入、あるいは製造する時代となりました。
つまり歴史にならない浅い「しきたり」(し+来たり=してきたこと)はこうして消えてゆくのです。
さて、では百年近く前の日本のあの日々は歴史となるのでしょうか。はっきり言いましょう。あれも実に浅い「しきたり」さだったのです。
私のセミナーでは必ず申し上げていますが、たとえば皆さんが信じている「大和魂」という男性的、侍的、武士道的、特攻隊的イメージも、ここ百数十年程度に作られたフィクションです。
源氏物語に現れる「大和魂」はどちらかというと女性的です。そう、まさに「大和撫子」につながる精神、いやふるまいのことなので。
というわけで、今日はこの映画をおススメしましょう。28日までの特別公開です。私も初めて観ました。
私は当然二・二六事件の部分に興味がありました。先日紹介した「226」で三浦友和が演じた安藤輝三を、ここでは宇津井健が演じています。
いや、なかなか良いですね。「226」では、安藤の決起に至る苦悩や、その優れた人間性についての描写が不足していましたが、ここでは見事にそれが表現されています。宇津井健の表情もいいですね。
逡巡したからこその覚悟と徹底。これが辛いのです(逆に血気盛んだった奴らが逃げ腰だったりする)。
あの戦争を間違った愚行と断じるのは簡単です。歴史、人間の営みはそんなに単純ではありません。こうして真面目な誠実な人たちが悲劇を起こしたりする。いい加減な人たちは時代を動かせない。
そして、原因は未来にあるから、当の本人はその時は矛盾に苦しむのみ。その答え合わせをするのは未来人たる私たち。ある意味私たち未来人が生まれたのはそのためなのでした。
今日も合宿でそういうお話をいたしました。
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