S.L.ヴァイス 『パッサカリア ニ長調』
バロック期の作曲家の中でも、最も耳あたりのよい曲をたくさん作ったのは、このヴァイスかもしれません。
リュート奏者として有名で、かの大バッハとも親交のあったヴァイス。非常に多くのリュート作品を残しています。その数850とも言われています。
私が聴いてきたのはそのうちの1割程度かと思いますが、そのいずれもがリュート特有の繊細で優しい音色にふさわしいエレガントな音楽です。
特に彼が用いるコード進行やメロディーは、のちのポピュラー音楽にも採用されるような大衆性と普遍性を持っており、じっくり聴くのもいいのですが、いわゆるBGMとして流すにも最適な音楽です。
たとえばこの比較的有名なパッサカリアは、よくある低音の下降進行を基本としながら、さっそく2小節目の冒頭にちょっと特殊な和音を使っていますね。D→A/C#という進行の間に経過和音としてE/Dを挟んでいる、つまりすぐに5度上に転調させているんですね。
これも20世紀のポピュラー音楽で時々聞かれるオルタナティヴなコード進行です(と言いつつ、このコード進行を使った現代の曲が思い出せない。好きな曲のはずなのに全然思い浮かばない…もどかしい!)。逆に言えば、バロック時代にはほとんど聞かれない不思議なコード進行。
続く変奏部分では、その特殊な色合いがだんだん希薄になってゆき、そして最後にテーマが戻ってきて再び明確になる。この感じが絶妙ですね。
そしてこの演奏では最後に即興カデンツを入れることによって、さらにもう一歩先に行っていてよろしい。決してやり過ぎにならず、ヴァイスが現代に生きいたらやりそうな響きを作っていて感心しました。
オマケになります。ジョン・ウィリアムスによるギター演奏の貴重な動画がありました。ノイズ多めですがいい演奏です。
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