マリオ・ブルネロ 『(チェロ・ピッコロによる)バッハ ヴァイオリン・ソナタ集』
神奈川は鵠沼で特別セミナー(遅ればせながらの新年会)。昨日の記事に書いた二・二六事件の話をいたしました。みんな号泣。
いや話をする前に参加者のお一人、素敵な歌手の方の「天津祝詞」の歌を聴きまして、まず私が号泣してしまいました。祝詞にメロディーをつけるのって、だいたいなんちゃってになっちゃうんですけど、彼女の「歌」はもう一音目からグッときてしまいまして。素晴らしかった。
考えてみると、たとえばクラシックな曲の演奏なんかも、まさに過去の作曲家からのボールを拾う行為ですよね。一つの線でつながる。演奏家も歴史的な存在になる。
そう考えると、やはりただ時代考証的な演奏すれば良いわけではないことがわかりますよね。未来人の感覚、そしてテクノロジー(楽器の発明や進化、録音なども)によって作品が蘇るというか成長していくわけで。
逆に歴史や宗教といったものもそうあるべきでしょう。単にその当時に何があったかとか、オリジナルな信仰がどんなものであったかよりも、未来的な可能性を探ることにこそ意味があるのではないでしょうか。
セミナーでも何度も申しておりますが、歴史的な偉人・天才というのは、とんでもなく大きなボールをとんでもなく遠くの上流(未来)へ投げる存在なのですから。
そんな意味では、たとえばこのアルバムなんかかなり意欲的かつ意義ある試みですね。
一昨日紹介したマリオ・ブルネロが、チェロ・ピッコロでバッハの「ヴァイオリンとチェンバロのためのソナタ」を演奏しているのですが、ただヴァイオリン・パートを1オクターヴ下で弾いているのではなく、通奏低音にチェロ(ガンバ)を入れてトリオ・ソナタの形式で演奏しています。
チェンバロの代わりにオルガンで弾いている曲もある。そして、様々な即興的な試みを加えており、まさに古典的な名曲を現代的に魅力たっぷりに再創造しています。
古くはアーノンクール夫妻がこの曲を似たような構成で演奏していましたが、ここではさらなる冒険を試みていますね。これが実に面白いし豊か。この曲の魅力の再発見を促しています。
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