富士山と八ヶ岳のケンカ
北杜市でセミナーでした。八ヶ岳山麓の皆さんは、富士山麓とは違う雰囲気を持っていますね。地元民もですが移住者も違う。対照的とも言えるかも。
そこで思い出すのが、有名な「富士山と八ヶ岳のケンカ」の話ですね。ケンカの原因は「どちらが高いか」です。
女神の富士山と男神の八ヶ岳の激しいケンカ(噴火)を見て、阿弥陀様が勝敗を決するために両山に樋をかけて水を流してみることにしました。そして、結果は八ヶ岳の勝ち。
これは地学的にも正しいものです。今から10万年くらい前までは、実際に八ヶ岳の方が高かったと考えられます。つまり八ヶ岳(古阿弥陀岳)は崩れていなかったし、富士山は小御岳や古富士の段階ですからね。
その結果に憤慨した女神富士山は、かけてあった樋を振り上げて、男神八ヶ岳の頭をしこたま殴りつけました(笑)。それで山頂が崩壊して「八ヶ岳」になってしまったと。もちろん背は低くなってしまって、今のように富士山の方が高くなったということです。けっこう怖い話ですね(汗)。
とは言え、数万年前の記憶が伝説になっているとは考えにくいので、もう少しリアルに考えると、平安時代の記憶がそこに反映しているのではないかと推察されます。
すなわち、私が時々書いている、9〜10世紀の日本の大活動期の記憶です。復習してみましょう。
864年貞観の富士山噴火→869年貞観の三陸沖地震(津波)→887年仁和の東海・東南海・南海連動型地震→888年八ヶ岳水蒸気爆発?&山体崩壊→915年十和田大噴火(日本史上最大規模)
ここにあるように、富士山の噴火から始まって三陸沖大地震、そして南海トラフ巨大地震、おそらくその影響で八ヶ岳が山体崩壊しているのです。
貞観の富士山噴火は3年ほど続いたと思われますし、その後も噴煙は上がっていた可能性が高い。そんな中、巨大地震が連発して、八ヶ岳が崩壊したわけですから、当然当時の人たちは富士山が怒って八ヶ岳が崩れたという感覚だったことでしょう。
それがこの伝説に反映していると考えられるわけです。
それにしても、何度も確認しますが、この50年間はすごいですね。ちなみに893年と917年には、お隣北朝鮮の白頭山も破局的噴火を起こしております。
まだ3.11から13年です。富士山の噴火も南海トラフ巨大地震も、まあこれからであることは確かですね。新しい伝説が生まれるのでしょうか。
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