『New Concertos』Capricornus Consort Basel
長野県原村リングリンクホールにて合宿一日目。盛り上がりましたなあ。今回はヴィオロンチェロ・ダ・スパッラとヴァイオリンを持参。いろいろな音を奏でる方がいらして、そして素晴らしい音響のホールなので気持ちよく演奏させていただきました。
もちろん、お話も6時間にわたり絶好調(笑)。
東北や九州からも参加してくださる方がいらして、本当に本当にありがたい限りです。みろくの世が近づいている気がします。
さて、ヴィオロンチェロ・ダ・スパッラはテナー・ヴィオラの代用もできるのですが、昨日紹介した楽団はテナー・ヴィオラを駆使することによって、今まで難しかったオルガン曲などを弦楽合奏で演奏することに挑戦しています。
昨日の曲も含まれるアルバムは、まさに私が編曲しようとした曲が6曲も入っており、なんとなく嬉しいような悔しいような(笑)不思議な感じがする作品となっています。
こうして聴いてみると、やはり後期バロックから現代に至る音楽が、中低音域を薄くして成り立っていることがわかりますね。つまりヴィオラとチェロの間の音が排除されているということです。
弦楽四重奏を考えるとわかりやすいですよね。同じ音域のヴァイオリンが2本、そしてそれより5度低いヴィオラ…ここまででかなり高音部が詰まっています。そして、ヴィオラとチェロは8度、すなわちちょうど1オクターヴ離れているわけですから、やはり不均等、不均衡です。
すなわち、声楽で言うところのテノールの低音域からバリトン音域が薄くなっているのです。
実際、バロック以降の声楽曲において、各パートに弦楽器が寄り添う場合、ヴィオラはテノールにあてがわれるのが普通で、そのために比較的楽器の低音域の使用が多くなります。本来今のヴィオラはアルト・ヴィオラだったからです。
こうした傾向は西洋音楽に限ったことであって、他の地域はそのようなことはないというか、もともと和声的な音楽が少ないのであまり意識されたことがなかったというのが実際でしょう。逆に民族音楽においてはバリトン音域の歌声が好まれる傾向があるように感じられます。
すなわち近代ヨーロッパ人の好みがそうであったというだけであって、たとえば私たち日本人もそれを心地よく聴くかどうかはわからないということですね。
ということで、このアルバムのストリングスの響きは、どちらかというと中期バロックまでの感じに近い。それが私には心地よく感じられます。
それにしても、本当に私の好みとぴったり合った選曲だよなあ。なんかやっぱり悔しいかも(笑)。特に冒頭の大フーガと次のコラール「おお人よ、汝の罪の大いなるを嘆け」、そして昨日紹介した幻想曲への流れ。
ちなみに「おお人よ、汝の罪の大いなるを嘆け」は、私はバッハの楽曲の中で最も美しいものだと思っています。
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