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2024.05.28

ボンポルティ 『トリオ・ソナタ全集』

 

 の録音はいいですねえ。おそらくコレルリの教えを受けたであろうフランチェスコ・アントニオ・ボンポルティ。というか、この時代コレルリの影響を受けていない作曲家はいませんよね。

 この弟子もほとんど師匠と同じ様式で、2つのヴァイオリンと通奏低音のためのトリオ・ソナタを多数書いています。その全集がこれです。

 師匠を尊敬しながらも、そこから旅立とうとする、すなわち守破離を実践した弟子たちもいた中、このボンポルティは忠実に師のスタイルを守ろうとしているように聞こえます。彼は音楽家というより聖職者であったこともあるかもしれませんね。

 しかし、多くの日本の芸事がそうであるように、師匠の真似をすればするほどその差が表れるものです。この曲集にはボンポルティの純粋な個性というか、まじめな信仰心のようなものが溢れ出ているように感じました。

 そうそう、昨日の唐十郎さんの番組でも、こういう言葉がありましたね。

「型があるから型破り。型がないのは型無し」

 そのあたりを演奏家の皆さんもよくわかっており、イタリアの演奏家にありがちな(?)やりすぎがなく、実に心地よく聞くことができました。とはいえ、通奏低音のバリエーションについてはそつなく工夫されていますよね。

 しかし、そんなボンポルティもソロ・ソナタや協奏曲においては、かなり師匠を超えた挑戦をしています。つまり、トリオ・ソナタという形式が、当時の作曲家にとって、ある種の聖典として機能していたということなのでしょう。

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