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2024.03.29

『シルバー假面』 実相寺昭雄 総監修・原作・監督作品

04704023b5b36f3b4a5f95711d64bb1c_640 日も濃い一日でした~。上野から新宿、靖国神社から神保町。いろいろな方とお会いし、不思議なご縁を感じることばかり。これが当たり前になっていますが、感謝は忘れないようにしたいと思います。

 さて、今日は家内の誕生日でもあるのですが、もう一人私の人生に多大な影響を与えたアーティストの誕生日です。

 実相寺昭雄。

 子ども時代のウルトラマンやウルトラセブンの洗礼に始まり、青年期からはATG映画、そして大人になってからはオペラなど、本当に彼の作品群にはある意味翻弄され続けてきました。もちろん心地よい翻弄。

 そんな天才、いや奇才、いやいや鬼才の遺作となったのが、この「シルバー假面」です。

 一昨日、「シルバー仮面」の話を少し書きましたよね。あれを絶対的な駄作と自ら断じていた実相寺昭雄が、最晩年にリベンジを図り、駄作を通り越した問題作を作ってしまいました。

 今日は午前中、彼が教授を務めた東京藝術大学のすぐ横で、この作品を鑑賞いたしました。映像の舞台もすぐ近く、谷中や不忍池。感慨深い。

 う〜ん、それにしても、死ぬまで実相寺は実相寺でしたねえ。

 スタッフにも懐かしい名前が並んでおりますし、キャストも先日亡くなった寺田農さんをはじめ、いわゆる実相寺組の面々が多数登場し、結果として遺作にふさわしい「混沌」となっております。

 「故郷は地球」から「故郷は宇宙」というあたり、時代的にも仲小路彰の、グローバリズムからコスミカリズムという思想にもつながるなあと。

 そして、大正という時代のフィクション性(たとえば自然な日本語ではない漢文訓読調の日本語が世を覆ったり)を逆手にとって、未来的リアルを描くというある意味ずるい手法。

 やはり、実相寺自身が監督した第1話が一番面白い。

 寺山修司的な見世物小屋風情、性の変換、ドイツの混入、クラシック音楽の嘘っぽさ、卍と鉤十字の重ね合わせ、安っぽいCG…もちろん、映像や音声における実相寺節は言わずもがな。山本邦山の尺八だけがホンモノっぽい(笑)。

 まさに「不適切にもほどがある」の極地。

 全く両極端と思われるでしょうが、私は小津安二郎と実相寺昭雄が好きなのです。どちらも徹底したフィクション性を追求しているから。やり方はずいぶん違うけれども。

 こういう鬼才はこれからも現れるのでしょうか。

 

 

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