小川国夫 『ハシッシ・ギャング』 (文藝春秋社)
早朝、母を藤枝の病院へ送り、蓮華寺池公園へ。CS60仲間とスタバで打ち合わせ。
蓮華寺池と言えば、藤枝出身の文士、小川国夫さんがよく散歩したところ。
静岡の家に帰ってから、そう言えば小川国夫さんのエッセイを昔読んで感銘を受けたなと思っていたところ、母が一冊の短編集を持ってきてくれました。
私が読んだエッセイ集はこれではなかったかもしれません。しかし、ページを繰り始めると止まらなくなる、止まらなくなる。
この文体、私は影響受けていますね。句読点の付け方も自分に似ている。全体のリズム感もしっくり。自分の言語美学のルーツの一つがここにあったかと思いました。
母は、藤枝の親戚を通じて、この本にサインをしてもらっていました。
「やがて鷹が来ました」…繊細で物静かという印象とは対照的な、骨太なサインです。
この一文を探して読み進めると、ありました。この短編集の中でも圧巻と言える「オディル」という作品の一部です。
著者がこの一文を選んでサインしたことからもわかりますが、この一見なんでもない一文が、この珠玉の短編集の中心になっているのでした。
まあしかし、文がうまい。私の好きな「です・ます調」の極点ですね。
その魅力、私はうまく表現できないので、帯にあった川村二郎さんの評の一部を写しておきます。評もうまい。
文章その平明な調子が、そのまま自然な透明な表現のレヴェルに高まり、余計な枝葉をそぎ落として原型に還元されたかのような文章の骨格が、白々と際立って浮き出ていると見える。
Amazon ハッシッシ・ギャング
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