『あ・うん』 降旗康男 監督作品
今日も昔観た映画を一つ。
これはいいですねえ。小津の多くの作品と同様、ふと観たくなる作品。日本の良さ、邦画の良さ満載。
富田靖子さんファンなので、公開当時劇場で観たのです。靖子さん目当てで行ったのですが、結果、高倉健さん、板東英二さん、富司純子さんに魅了されてしまいました。というか、日本人の心の機微にでしょうかね。
あの頃はおバカだったので、何もわかっていませんでしたが、この作品は市井の人々の日常の裏に、目に見えない大きな力によって誤った道を歩んでゆく国家の姿が重ね合わされていますね。昭和12年ですから。
登場人物たちの未来に死の影が見え隠れします。そうした複層的かつ輻輳的なテーマを美しい織物のごとく描くのが向田邦子のすごさ。
その後、私は昭和10年の大本事件、11年の二・二六事件、そして12年の南京事件に大きく関わっていくことになりました。今もその事業(ことわざ)は続いています。
それにしても、こういう健さんもいいですね。これって助演男優賞を獲った板東英二さんの力でもあるのですよ。野球で一時代を築いた人が、芸能の世界でもこれほど活躍するとは、いったいどこまでタレントがあるのでしょう。
シロウトっぽい棒読みだという意見もありましたが、いやいや、こういうオッチャンいますよ。それが健さんのクロウトっぽさをまた際立たせています。
富司純子さんもいいですね。ある意味二人の男を魅了してしまう女。たしかにこれは惚れるわという一瞬がたくさんあります。
まさに「あ・うん」の呼吸。多くを語らず。古き良き日本人たちの粋なコミュニケーション。豊かな感情。隣り合わせの生と死。そして、それを表現する文学、映画。あっ、音楽も。朝川朋之さんかあ。
さあ、私は戦後を終わらせる事業をしっかりやりたいと思います。
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