無相大師 vs 夢窓国師
昨日の話の続きでしょうか。ちょっと思いついたことを。
臨済禅を知る者にとって二人の「むそう」は特別な存在です。
一人は昨日の関山慧玄さん。明治天皇から無相大師と諡(おくりな)されました。妙心寺開山です。
もう一人は夢窓国師。甲斐の国にもゆかりの深い方。天龍寺の開山です。
二人は2歳違い。夢窓国師の方が少しく年長。上記名刹を開いたのも2年違いです。当然交流がありました。
有名なエピソードに、こんなものがあります。
ある日関山慧玄が夢窓疎石を訪ねてこう言った。「もし龍を食べる怪鳥が現れたら(天龍たる)あなたはどうしますか?」夢窓は何も言わず袈裟を被って椅子の裏に隠れた。それを見て関山は礼拝した。
素直で飾らない夢窓国師に無相大師が尊敬の念を表したのでしょうね。続いて、もう一つのエピソード。
ある日夢窓が多くの従僧を伴って御輿で妙心寺の前を通ると、関山が一人黙々と落ち葉を集め、それを焚き物にしようとしていた。それを見た夢窓は「禅門は関山が奪っていった」と語った。
なるほど、これは夢窓が関山に「禅の本質」を見たということでしょうね。
このようにお互い尊敬しあっていたようです。素晴らしい。
さてその後の妙心寺は今でも「算盤面(そろばんづら)」と呼ばれるごとく、開山様のポリシーとはちょっと違った方向に行ってしまいました。(誰も書かないのであえて書きますが)お金と暴力という、仏法とは正反対の方法によって臨済宗最大派閥となったのです。それについては、以下の記事にちょこっと書きました。
このたび、関山慧玄さんの御遺志を継がれる山川宗玄老大師さまが妙心寺派管長になられるということで、(非常に大変でしょうが、僭越ながら)ぜひ「その本を務め」ていただきたいと思います。
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