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2024.01.04

TRONと国譲り文化

 

 年、純国産OSであるTRONプロジェクトがIEEEマイルストーンに認定されました。世界標準として認められたということですね。

 私たちの生活に欠かせないTRON。WindowやMacやAndroid、iOSなどに比べると私たちはその存在を認識する機会が少ないのですが、実は最もお世話になっているのがこのTRON。

 今ざっと周辺を見渡しても、エアコン、自動車、リモコン、スマホ、カメラ、ルーター…数限りなくTRONがさり気なく働いている機器を見いだせます。

 そう、目立つことなく静かに脈々と行き続け、増殖し、進化してきたのがTRONなのです。

Th_mn_embedded_23062301 この動画でも紹介されているとおり、現東京大学名誉教授である坂村健さんが約40年前に開発されたTRONは、アメリカからの「弾圧」に遭いますが、一見負けたように見せて時間をかけながらこうして勝利しました。

 それは坂村さんが、TRONをオープンソース、オープンデータ、オープンAPIとしたことの結果でもあります。そう、利己の視点から弾圧をしたアメリカに対し、坂村さんは利他に徹することによって結果的に勝ったのです。

 長期的に見れば、利他が利己に勝つというのは、この世の真理であり、それがたとえば宗教や哲学や倫理という形で語られてきました。

 日本の神話で言うなら、出雲の大国主による「国譲り」の物語がそれにあたりましょう。そこでは、おそらく国津神は縄文文化を、天津神は弥生文化を象徴していると思われますが、一見縄文が弥生に駆逐されたように見えながら、実は縄文は無意識の領域を中心に生き続け、そして結果として今も日本という国を支えている。

 日本は「国譲り」文化の国と言って良い。戦後のアメリカと日本との関係もそうです。いまだ敗戦国としての立場が目立ちますが、時が来れば日本の実質的な勝利が明らかになるでしょう。

 TRONは40年の時を経て、世界の人々の生活を支える基盤となりました。その地位は揺るがないでしょう。歴史を俯瞰すると、そうして私たち日本が世界に利他的な文化を拡散していくのが確認できます。坂村さんを尊敬するとともに、そんな日本に誇りを持ちたいと思います。

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