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2024.01.05

C.P.E.BACH 『3重協奏曲 イ短調』(H 430,431,432 から編曲)

 

 バッハの次男、カール・フィリップ・エマヌエル・バッハの作品の中でも最も有名な曲の一つ、このイ短調協奏曲。本人によって、ソロがハープシコード、チェロ、フルートの3ヴァージョンが作られています。

 そして、この演奏では、新たにそのソロ・パートを、チェロ、ハープシコード、フォルテピアノの3つの楽器で担当するよう編曲されています。

 これは実に華やかかつ変化に富んで魅力的な演奏になりましたね。なるほど、こういう楽しみ方もあっていいでしょう。

 今日もあるところでアンサンブルをしたのですが、演奏者と楽器の都合で、本来指定されている楽器とは違う楽器で演奏した曲がたくさんありました。それはそれで新鮮な響きがし、かつ新しい発見も多々あって楽しいものです。

 古典派以降であれば、楽器に記された多くの「文字」や「記号」に権威が付与され、そのとおりに演奏することが常識になっていきますが、バロックや前古典ではそこまで厳密ではありませんでした。

 実際、お父さんバッハも自らの曲を様々な形で編曲しなおし(使いまわし?)ていますし、あるいは最晩年に至っては楽器の指定すらしなくなっていますよね。

 この曲もさんざん聴いてきましたが、この編曲によって、初めて聴くような感動がありましたし、発見もたくさんありました。何より、変化に富んでいて飽きない。

 ハープシコードとフォルテピアノという新旧鍵盤楽器対決も面白いですし、ある意味新興勢力であったチェロのメロディー楽器としての能力も相対的に発揮されていてよろしい。

 それにしても、この曲、カッコいいですね〜。特に1楽章。2楽章もこのヴァージョンで聴くと長く感じられないし、美しくも過激。3楽章も地味だと思っていましたが、いやいやどうして、古典派の到来を予感させる出来ですね。

 時代は、啓蒙思想や古典回帰運動が花開く、革命前夜。まさに疾風怒濤ですね。この曲が発表された1750年…お父さんの亡くなった年でもあります。

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