四世 竹本大隅太夫 二世 鶴澤清八『絵本太功記六段目 妙心寺』
明智光秀と徳川家康の投げたボールがたくさん飛んできまして、にわかに忙しくなってきております。
全く意識してなかったのですが、ここ数ヶ月は両者の思いをつなぐ旅をさせられてきました。静岡を起点に、上野、岡崎、琵琶湖、亀岡…。
また長くご縁をいただいている京都妙心寺も、明智光秀にとっては非常に重要なお寺です。考えてみれば「明智風呂」もありますからね。
もともと明智家と妙心寺は深い因縁があったようです。この「絵本太功記」を元にした義太夫節においても、妙心寺のシーンはクライマックスの一つと言ってよい。
今まで統合されていなかったんですよね。ようやく点と点がつながりつつある。興奮の毎日であります。
わけあって主殺しという不忠を働いた武智光秀(明智光秀)と、母さつきは妙心寺で再会しますが、さつきは息子の不忠を許せず旅立ちます。光秀は憂いのあまり自害しようとしますが、家臣や息子に押し止められます。
江戸時代は判官贔屓のムードも濃厚で、逆賊&三日天下の明智光秀に対するシンパシーも強かった。オリジナルの「絵本太閤記」は文字通り豊臣秀吉が主人公ですが、こちらの翻案「太功記」は光秀主役となっています。
歌舞伎の演目としても知られる「絵本太功記」。そうしたムードが「明智光秀=天海」説を生んでいったのでしょう。その流れに乗っかり、戦前の逆賊に対する逆風を逆手に取った(逆✕3)のが出口王仁三郎であり、彼は荒廃した明智の居城亀山城跡を買い取って整備しました。
それにしても、この四世竹本大隅太夫の語りは素晴らしいですね。迫力に気圧されました。また、それに劣らず二世鶴澤清八の太棹の深みたるや、これまた圧倒的です。カッコいい!
江戸の文芸や音楽、非常に広く深いものがあります。ワタクシも今年還暦。大学時代には江戸語の研究をしたり、山田流箏曲に勤しんだりしましたが、また原点回帰しようかなと思っております。今まで案外、西洋かぶれでしたからね(苦笑)。
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