「デコピン」からいろいろと…
大谷翔平選手がドジャースに入団し、今日記者会見がありました。
彼がMLBで歴史的な活躍をしている意味については、「スマートなリベンジ」という観点からこちらに書きました。
今回の会見で圧倒的な印象を残したのは、そう「デコピン」という日本語ですよね。
愛犬の名前がまさか「デコピン」とは(笑)。
日本語としてのデコピンとは、言うまでもなく、おでこを中指でピンと弾く、あれです。
子どもの時には、やったりやられたり、必ず経験があることでしょう。あれって日本だけなのかな?
ちなみに日本語学的に言いますと、「デコ」はもちろん額のこと。額は出っ張っているので「凸」です。愛情をこめて「お凸」とも言います。
この「デコ」はたぶん、「出コ」でしょう。出ているので。それに愛称の接尾辞「こ」がついた。
しかし、少し複雑なのは、「デコボコ」と言った場合の「ボコ(凹)」は、「ボコッと沈む」「ボコボコにする」などからも分かるとおり、オノマトペとも捉えられます。つまり「デコ」と「ボコ」は素性が違う可能性があるのです。
「ピン」の方も、「ピンと弾く」というような形でオノマトペ的に使われることが多い。「ピンとする」「ピンとくる」「ピンと張る」「ピンと反る」など、なんとなくテンション(緊張度)が高い感じがしますよね。「デコピン」でも、力を溜めて弾く感じがします。
ちなみに「ピンからキリまで」「ピンキリ」の「ピン」はポルトガル語の pinta(=点)で、サイコロの「点」から「1」を指すようになり、そして「キリ」はポルトガル語の cruz(=10)だと言われています(「キリ」は「切り」という説も)。
話を「デコピン」に戻しますと、これは子どもの遊びかと思いきや、実はある伝統的な世界では大人が堂々とやっているのです。それは大相撲の世界。初めて髷を結った後輩力士に対して、先輩がおデコをピンと弾いて、その代わりに鬢付け油代を渡すという伝統があります。そして、それは「デコピン」ではなく、「こんぱち」と呼ばれています。
とはいえ、最近はそれも「体罰」…いや、「暴行」となってしまうのでしょうか。昔は学校の先生もよく「デコピン」やってましたけどね。面倒くさい世の中になったものです。
ま、今回、大谷選手の口から世界に発信された「デコピン」という日本語、これほど注目を浴びるとは、「デコピン」自身が一番驚いているのかもしれませんね。
あっそうそう、オノマトペで思い出した。最近の「ゆる言語学ラジオ」のオノマトペシリーズ、実に面白かった。私は昔から「音象徴」論者でしたので。
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