HJ リム 『バッハ 平均律 第1巻』
今日は某天才アーティスト(一家)のクリスマス会&忘年会にお誘いいただき、大変楽しい時間を過ごさせていただきました。なんか別世界なんですが、少し身近になったような気がいたします。感謝。感謝。
さて、天才と言えば、この音楽は衝撃でした。ずいぶん前のライヴ動画ですが、今まで出会っていなかったのが不思議です。
韓国の女流奇才ピアニスト、HJ Lim。
冒頭の有名なハ長調プレリュードが、まず素晴らしい!
実は私、こんなテンポで演奏するのが好きだったのです。もちろん、こんなに上手に生き生きとは弾けませんが。
その後、全48曲が一つの作品のごとく、圧倒的な疾走感と連続性によって一気に演奏されていきます。
普通の録音ですと、だいたい2時間前後になるところ、彼女の演奏は1時間20分。CD1枚に収まる速さですね。
しかし、不思議とこれが心地よかった。かつての私でしたら、これは邪道だとか、全く味わいがないとか言っていたかもしれませんが、全体を一つの作品として聴くことができるようになった今は、なぜか感動すらしてしまった。
初めて、全体の構成や変化、物語性が見て取れた気がしたのです。そう、なんか「見た」感じがした。
バッハ自身もかなり速いテンポで演奏したという記録がどこかにあったような気がしますが、もしかるすと超テクニシャンだったバッハも、たまにはこのくらい速く弾いてみたかもしれませんね。
西洋音楽は一般的に時代とともにテンポが速くなり、またチューニングのピッチが上がっていくと言われますが、近代以降は概ねそのような傾向が見られるとはいえ、実際長い長い音楽史を通してそうだとすると、300年前はとんでもなくゆっくり演奏していたことになってしまいますよね。
少し前、バッハの演奏は50年前より30%速くなったという研究がありました。単純に考えると100年で60%、300年では約2倍速くなってしまいます(笑)。
ピッチの上昇は、古楽運動によって、また音楽のデジタル化によって、ある意味皮肉にもブレーキがかかりつつありますね。
ま、とにかくこのようなバッハ演奏もありだと思いますし、超絶技巧によってそれを実現してくれたことにより、新鮮な発見も多くあったわけで、HJリムさんには感謝いたします。
ちょっと低次元な話ですと、まず全部完璧に暗譜していること自体信じられませんし、ミスタッチなく演奏するのもすごいですし、集中力が切れないのもすごすぎます。天才、奇才、鬼才ですね。彼女の、他の作曲家の作品の演奏も聴いてみようと思います。
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