グレン・グールドの『バッハ フーガの技法』
今日で地元の文学講座は最終回でした。十返舎一九の「甲州道中記」を四谷新宿から大月まで読破しました。
ずっと下ネタばっかりで、実に楽しかった(笑)。いい時代ですよ。今だったらぜったいコンプライアンスが許さない。差別やセクハラ満載ですが、それが実におおらかに展開されており、やられる方も黙っていない(笑)。
それに比べて現代日本はなんと縮こまった窮屈な世の中になってしまったことか。どちらも行き過ぎはいけませんよね。
で、今日は思いつきで、この明るく気さくで洒落た市民社会を形成していた時代、地球の向こう側ではどんな文化が栄えたかということを体験してもらいました。
十返舎一九の時代はちょうどバロック時代ですからね。今日の本文にも三弦(しゃみせん)が出てきましたが、日本でも音楽が市民の嗜みになってくる時代です。
ということで、聴講者のお一人にバロック・チェロを弾いていただき、私はヴィオロンチェロ・ダ・スパッラを弾きました。江戸の滑稽本と、あまりに違う雰囲気でしたよ(笑)。
こういう共時的に俯瞰する歴史学習って絶対面白いと思うのですがね。学校ではなかなかやりません。日本史は日本史、世界史は世界史。
考えてみれば、昨日の「首」の時代にも、西洋音楽が入ってきていたんですよね。のちに鎖国になり、また政治の中心が東に移って、その影響はほとんどなくなりました。
そして独自の発達を遂げる日本音楽。しかし明治維新、文明開化でまた一気に西洋音楽が流入してくる。両者の相克と融合の時代はいまだ続いています。
で、今日は何を書こうかと思ったかというと、一昨日も紹介したバッハの「フーガの技法」を邦楽器でやってみたいということです。あの曲には楽器指定がありませんからね。
一部はもう誰かやってるに違いありませんが、残念ながら全曲録音はないので、どなたかやってくれませんかね。案外合うと思うのですよ。
というわけで、最後に、ある意味西洋音楽の楽器を使いながら、超変態的な演奏を実現してまったグレン・グールドのフーガの技法をお聴きください。
最後の未完フーガを未完のまま突如終わらせているところがいいですね。最近は無理やり補完してしまう演奏が多いので。代わりに偽作の「BACHの名による前奏曲とフーガ」で締めているのもユニークです。
それにしても、パイプオルガンでこの個性的なぶつ切りアーティキュレーションをやってしまうグールドって、やっぱり天才というか変態ですね。そして、それが非常に新鮮でカッコいいと来たもんだ。
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