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2023.12.05

『首』 北野武 脚本・監督・編集作品

Th_img_4079_20231206081501 …観てきました。面白かった〜。

 イオンシネマ、55歳以上は1100円なので助かります。年取ってよかった(笑)。来年には60歳以上の「シニア」サービスも受けられるぜ!w

 たしかに「首」がテーマですし、首がやたら飛んでました。最初の方のグロシーンは(観客全員)目を覆う感じでしたが、すぐに慣れてしまって滑稽にさえ見えてくるから、まあ人間というのは恐ろしいですね。戦争の現場なんか、こんなふうにいろいろ麻痺してくるのでしょう。

 しかし、たしかにこういう残虐さ、暴力、狂気がグルっと回って滑稽さや愛おしさになってしまうということは、よくありますね。特に日本文化においては。

 シナリオもよくできていました。もちろん歴史学的には全くあり得ないところもありますし、光秀ファンのワタクシとしても許せない部分が多々ありましたが、あくまでもこれはエンターテインメント。

 それもほとんど「お笑い」に近いエンタメですから、細かいことを言うのは野暮というものです。

 というか、現実の戦国時代は少なからずこんな感じだったのでは、とも思いましたね。

 たとえば、私も親しんでいる茶の湯や能は、いわゆる侘び寂びではなく、かなり「狂ってやがる」のではないかと。特に、この映画における「能」の効果的な使われ方のおかげで、なんとなく感じていた能のモノ性をはっきり確認することができました。お家元もかなり気合いの入った舞と謡でしたね。

 欲も暴力も、極まれば美となる。その美学の衝突こそが、戦国時代だったのかも。

 そうした日本的な止揚文化を、ずっと表現し続けている北野武監督。そして、そんな自分を照れながらも大好きなたけし。

 そう、彼の中で既にグルっと回っているんですよね。すごい人です。彼に出口王仁三郎を描いてもらいたいなあ。明智光秀からの流れで。

 

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