十三(じゅうそう)
この日は大阪某所にてセミナー。皆様と楽しい時間を過ごさせていただきました。ありがたや。
最終の打ち上げと宿泊は「十三」にて。初めて訪れたのですが、お隣の大阪梅田あたりとは違う、独特の「遊び」の空気に満ちたエリアですね。
この「じゅうそう」、関西の人には馴染み深い地名ですが、関東の人間からすると難読地名の一つです。「三」を「そう」と読むことはめったにない。
この地名の由来はいくつかあり、一般的にはこちらで紹介されているとおりだと思います。
由来は別として、「三」を「そう」と読むことについては、こんな変遷が考えられるのでないでしょうか。
もともと「三」の漢音はsamです。日本語としてかな書きすれば「さむ」。「三位」を「さんみ」、「三昧」を「さんまい・ざんまい」と読んだり、「三味線」は「しゃみせん」だったりと、今でもその痕跡は残っています。
「む」と「ん」が混同されるのは日本語では当たり前でして、同じ「ん」でも「銀座」の「ん」と「御殿場」の「ん」が、それぞれnとmの口の形になっているのはやってみれば分かります。
で、「さん」が「さう」になる可能性はゼロではありません。撥音便がウ音便に交替することも多少はあるのです。
特に「三」については、身近なところにその例を見ることができます。それが名前についた「三」です。そう、「権三(ごんぞう)」とか。
あっ、ちなみに「三郎」の「さぶ」は「さむ」の変化です。バ行音とマ行音はすぐに交替しますね。「さびしい」「さみしい」など。漢字の読みで考えても、馬(マ・バ)美(ミ・ビ)武(ム・ブ)部(メ…上達部など・べ)母(モ・ボ)を見れば分かりますよね。
「◯三」の「ぞう」ですが、たまに「そう」と読ませる場合もあるようです(ちょっと有名人では思い出せない)。濁点を好まない文化もありますので(「神道」は元「ジンドウ」でしたが、濁音を嫌って今は「シントウ」です)。ですから、もともとは「十三」も「じゅうぞう」、歴史的仮名遣いですと「じふざう」だった可能性も否定できません。
なんとなくの勘ですが、上掲の由来の2番目、長者の「重蔵」という人名が地名になり、数字の「十三」にまつわる物語が乗っかって、かつ濁音が一つ欠落した(あるいは重蔵さんが元々「じゅうそう」だった)結果、「十三=じゅうそう」になったのではないかと思いました(飲みながら)。
| 固定リンク
「旅行・地域」カテゴリの記事
- 九州人による爆笑九州談義(筑紫哲也、タモリ、武田鉄矢)(2024.08.18)
- 『もしも徳川家康が総理大臣になったら』 武内英樹 監督作品(2024.08.16)
- ラモー 『優雅なインドの国々より未開人の踊り』(2024.08.12)
- 『大鹿村騒動記』 阪本順治 監督作品(2024.08.11)
- 富士山と八ヶ岳のケンカ(2024.08.10)
「文学・言語」カテゴリの記事
- いかりや長介と立川談志の対話(2024.08.19)
- 九州人による爆笑九州談義(筑紫哲也、タモリ、武田鉄矢)(2024.08.18)
- 富士山と八ヶ岳のケンカ(2024.08.10)
- 上野三碑(こうずけさんぴ)(2024.08.06)
- 東北のネーミングセンス(2024.07.28)
コメント