キルンベルガー 「トリオ・ソナタ ト短調」
今日はオーケストラ・ファン・ヴァセナールの日本公演ツアーのゲネプロにお誘いいただき、友人たちと鑑賞してまいりました。
全公演で演奏される曲全てを身近に聴くことができるということで、もしかすると本編よりも贅沢な機会だったかもしれません(格安でしたし!)。
赤津さんらしく、バロックから前古典にかけての忘れ去られた佳曲を発掘してのマニアックなプログラム。
正直、1曲目の父バッハ作品だけ既聴で、あとは全て初めて聴く曲ばかりでしたので、実に新鮮。演奏者の「発見の喜び」が伝わってくる素晴らしい演奏会でした。
中でも調律でも有名な、バッハの重要な弟子の一人キルンベルガーのトリオ・ソナタや序曲は良かったなあ。もともとキルンベルガーの「おいしいとこ取り」的な音楽性、けっこう好きだったのですが、こういう曲たちもあったのですねえ。
短調のトリオは「カッコいい」。長調の序曲は「エレガント」。彼の調性に対するセンスを代表するような曲目でした。
YouTubeを探索したところ、トリオの演奏はありましたので、ぜひお聴きください。演奏は圧倒的に昨日の方が良かったのですが、楽曲を知ってもらうためにとりあえず。
この時代の作品群、私は非常に好きです。バロックが終わりつつあり、通奏低音というパートもチェンバロもガンバも消えていく時代。
逆に、ホモフォニーやロマンチシズムへの萌芽を見、ピアノやチェロが楽器として成長し、それに伴って演奏法も各種試みられ、ある意味形式的になっていく時代。つまり、ハイドンやモーツァルト寸前の混沌期なんですよね。まさに疾風怒濤。
対位法的な厳格さ難解さの反動からか、赤津さんもおっしゃるとおり何も考えずに演奏するとあっという間に終わってしまう、あの疾走するある種軽すぎるキャッチーさは、一方で演奏家にとっては難敵でもあります。
そこはさすが赤津さん、ものすごいクリエイティビティで作品に生命を吹き込んでおります。皆様、ぜひお近くの演奏会に!
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