『甲州街道から愛を込めて』 いまおかしんじ監督作品
この映画、なんか好きなんだよなあ…世界で一番小さいロードムービー。
ピンク映画の巨匠、今岡信治監督の一般作品。とはいえ、醸し出す雰囲気はいつもの今岡節。
こういう行きずりの男女の切ない刹那の表現、本当にうまいんですよね。高校生から熟年まで、ちょっとした会話や表情や風景によって、心の奥の奥の動きを表現するのがうますぎる!
そして、切なさの裏側には優しさがある。結局、いまおか作品というのは人間の優しさの塊なんですよね。
どんなダメな人間でも優しさがあればいいじゃないかと。どんなダメな人間でも一人は優しい言葉をかけてくれる人がいる。
いや、ダメだからこそ、人の愛をもらえる。許してもらえる。守ってもらえる。見捨てないでもらえる。
そういう意味では、ダメ人間肯定映画でもあるわけで、本当に観るとホッとするんですよね。
この映画、私にとっては見慣れた風景がたくさん現れます。甲州街道ですから。相模湖、猿橋、勝沼。勝沼ぶどう畑での切ない失恋は「この窓は君のもの」とも重なりますねえ。
さらに実は甲州街道から少し寄り道していますが、富士吉田の某所も大切なシーンで出てきます。
そしてラスト近くのライブハウスは、先日我が家がライブをさせていただいた下北沢の音倉さん。
見慣れた風景がこうして味わい深いものになるマジック。すごいですねえ。泣けますわ。
うん、なるほど、あのクネクネとした山あり谷あり、わびしさ満載の甲州街道は人生そのものですね。
役者の皆さんも最高。クセのある人物をさりげなく見事に演じています。なんかこういう映画撮ってみたいなあ。お金かけなくてもこんなステキな作品ができるんですね。編集の妙でしょうかね。
これまたさりげなく切ない濡れ場も効果的。さすがといったところです。
多作家でもある今岡監督。配信でもいくつか観ることができますので、皆さんもぜひ。
Amazon 甲州街道から愛を込めて
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