ヴィオロンチェロ・ダ・スパッラの声を聴く〜その3
さてさて、スパッラの演奏方法というか構え方のお話の続きです。
まず、私の全く素人的な発想というか、これも「人のせい」にして申し訳ないのですが、楽器さん自身からの声によりますと、「スパッラ」とは「肩」という意味だそうで、対比的には「ヴィオラ・ダ・ガンバ(足)」や「ヴィオラ・ダ・ブラッチョ(腕)」がありますね。
ガンバについては足に挟む(ふくらはぎに乗せる)ということ、ブラッチョは腕で支える(腕の上に構える)ということです。ちなみに、一般的なヴァイオリンやヴィオラの構え方が「ブラッチョ」だと思われがちですが、私はちょっと違った見解を持っています。
今のヴァイオリンのように、首の根元まで楽器を寄せる持ち方というのは、案外最近一般化したのではないかと思っているのです。今は私も普通のコンサートなどでは、そのような一般的な構え方に近い形を取っていますが、遊びの時には鎖骨の下で構えたり、胸に押し付けて構えたりします。
世界中の民族楽器や、フォークロアに取り込まれたヴァイオリンの構え方を見ると、ほとんどの場合そのような「肩に乗せない」構え方をしているのです。これは重要な事実です。
今のように顎当てまでつけて、あごと肩で強く挟んで弾く方法は、まさに「近代的なクラシック(という矛盾した)」奏法です。
そこに取り込まれていない、つまり古代人(?)や民族音楽奏者にとっては、それは大変不自然な姿です。なぜなら、「歌が歌えない」からです。
明治期の日本にヴァイオリンが入ってきて、いわゆる「演歌師(演説歌手)」が出てきた時も、彼らは当然歌を歌い、体を動かして演技をしながらヴァイオリンを奏でたので、首から上は完全に自由な状態でした(当然です!)。
そうしますと、「ブラッチョ」というのは、「腕で支える」「腕の上で構える」という意味であると考えるのが自然でして、「ガンバ」もそんな感じ(ディスカウントも足の上に構える)。
ということは、「スパッラ」もあくまでも「肩で支える」「肩の上で構える」という含意ととらえるのが自然でして、逆に「肩掛け」に直接つながる感じは(私は)しません。
肩掛け式の場合は、命名の際「肩」を強調するより、「掛ける」方を強調するような気がしますが、さていかに。
というわけで、全く学術的ではない勝手な発想なのですが、私はヴィオロンチェロ・ダ・スパッラを「肩の上」に構えたいと思った次第です。
では、いよいよその形で曲を弾いてみましょう!(続く)
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