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2023.07.17

野村幻雪 三回忌追善会

Th_202305131116346759 誘いいただき行ってまいりました。

 能楽シテ方人間国宝、野村幻雪(四郎)先生がお亡くなりになって、もうすぐ2年。三回忌の追善会が観世能楽堂において執り行われました。

 四郎先生とは、本当に不思議としか言いようのないご縁を頂戴し、教え子や我が子が弟子となり、また私自身も恐れ多くも大変仲良くさせていただきました。

 バロック音楽との対比と融合、富士山と絹織物への奉納など、いくつかの演能機会をプロデュースさせてもいただきました。

 先生との対話から学ばせていただいたことは、他のどんな教育よりも深く尊いものでした。改めて感謝申し上げます。

 このたびの追善会では、観世流ご宗家や先生のお兄様で狂言の人間国宝野村萬さんなど、錚々たる方々が入れ代わり立ち代わり舞台に上がり、現代考えうる最高の霊的時空間を現出してくださりました。

 それこそ言葉で表現するのが愚かにさえ感じる次元でありました。特に「融」の静と動の強烈なコントラストは圧巻でした。まさに鎮魂帰神。

 また、個人的には私の教え子が舞囃子「胡蝶」を舞ったことが感動的でありました。多数の演者の中のただ一人の女性。男性中心だった世界で、彼女のこれまでの苦労と未来への可能性を感じることができました。

 私の娘もその後を継ぎ、古くて新しい芸能の世界を切り開く覚悟のようです。

Th_img_2716 開会の前に、先生のお写真の横で先生の奥様にご挨拶をしたのですが、奥様は大変長い時間にわたり娘に直接お言葉をかけてくださりました。それはまさに野村先生の遺言のごときお言葉でした。娘も私も家内も思わず涙してしまいました。

 「稽古」とは、技術や知識を身につけることではない。芸を通して自らを成長させることである。

 古き伝統を完全に身につけた上で、常に新しいモノへの挑戦を怠らなかった先生。私もジャンルは違えど、そのような精神でこれからの人生を送って行きたいと思います。ありがとうございました。

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