ヴィターリのシャコンヌ(?)
ヴァイオリンの名曲として多くの演奏、レコーディングがある「ヴィターリのシャコンヌ」。
バロック音楽を専門に演奏している者にとっては、大変違和感のある曲ですよね。
まず「ヴィターリ」という作曲家があまりに無名であるということ。そして、この「シャコンヌ」があまりに特殊な転調を多発すること。
ですから、19世紀後半から20世紀初頭にかけてよくあったように、「昔の作曲家の名前を騙って新曲を発表する」という、今では絶対に許されない習慣に従って作られた曲であるとされてきましたし、私も絶対そうだと思っていました。
しかし、この曲には18世紀の写本とされる手稿が残されており、それがホンモノだとすると、当時高名なヴァイオリニストだったヴィターリの作曲ということになります(ちなみに写本ではヴィターノとなっているのですが)。
だとすると、現在演奏されているヴァージョンとは細かい部分は違えど、あの不自然とも言える転調はオリジナルだということになり、それはそれで結構衝撃的なことです。
ホンモノだとして、最初にこれを1867年に出版したフェルナンド・ダヴィッドは、どうしてこんなマイナーな音楽家のマイナーな作品をピックアップしたのでしょう。やはり不自然です。
実際この写本についてもダヴィッドによる捏造説があり、その真相はいまだ闇の中という感じです。
あまりに有名になってしまい、19世紀ヴァージョンに加え20世紀ヴァージョンまでもが演奏されるようになっていますが、なかなか伝18世紀ヴァージョンはほとんど演奏されることはありません。
というわけで、今日はその写本によるオリジナル楽器の演奏を聴いてみましょう。当時の楽器と習慣で演奏されると、ある意味ますますフェイクな感じがしてくるのは面白いというか皮肉なものですね。
私も無名なバロック時代の音楽家に仮託して曲でも発表してみましょうか(笑)。
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