バッハ 『平均律クラヴィーア曲集』 ヴォルフガング・リュプサム(リュート・ハープシコード)
先程アップロードされた音源。
聞き慣れた(飽きた?)バッハの平均律が久々に新鮮に感じられました。こういうやり方もあったか。
まず楽器がラウテンヴェルクであること。英語で言えばリュート・ハープシコード。つまり、本来金属弦であるチェンバロにガット弦を張った楽器です。
ですから、あの金属音に抵抗がある人にはガットの比較的柔らかい響きは一つの救いではないでしょうか。ちょうどモダン・ヴァイオリンとバロック・ヴァイオリンの違いのように。
私は今、シルク弦の開発に協力させてもらっていますから、いつかはガットではなくシルクをチェンバロに張ってみたいんですよね。もっといい音がするはずです!
そして、このベテラン・オルガニスト、リュプサムの演奏がまた実に柔らかい。
有名な冒頭、ハ長調のプレリュードから驚きの演奏ですよね。そしてフーガに入ってさらにビックリ。なるほど、こういう解釈もありですね。
最近の演奏の傾向としてどんどんテンポが速くなっていましたから、この落ち着いたテンポと伸縮自在のフレージング、そしてあえて縦線をずらした「崩し」によるゆらぎは新鮮ですよね。
特にフーガは縦が揃ってナンボだと思いこんでいましたから、この演奏には目(耳?)からうろこが落ちました。フランス的とも言えますし、昨日までのオスカー・ピーターソン的(ジャズ的)とも言えましょうか。
リュプサムはオルガンを演奏する時はこういう様式ではありません。また、ピアノでのバッハ録音も多いのですが、やはり強弱のつかないチェンバロという楽器の特性から発想された演奏法なのでしょう。
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