『ビューティフル・マインド』 ロン・ハワード監督作品
数学者ネタが続いてスミマセン。
やっぱり数学は大の苦手だけれど、数学者は大好きだなあ。
天才数学者の大変さはこの映画を観れば分かりますよね。
この映画が公開された時、主人公のジョン・ナッシュは存命でした。彼はこの映画を観て、事実に基づいているが「芸術的」と評しました。
客観性を重んじる数学者としての姿勢があり、幻覚に悩まされ続けた病人としての視点があり、しかしその両者ともに本人にとってはフィクションではないということを「芸術」という言葉で表したのでしょう。
その後、事実は小説よりも奇なりということで、アーベル賞受賞の帰途、ナッシュは愛するパートナーと一緒に交通事故で亡くなりました。
ワタクシの「モノ・コト論」で言うなら、数学者はモノをコト化する仕事を最も純粋な形で行っている人種です。
マコト(宇宙の真理)を求めるからこそ、人間社会というマガゴトの嘘くささが見えてしまい、そこに迎合できない。それを社会側は「障害(コミュ障)」と呼び、「病気(統合失調症)」と呼ぶ。
数学者たちは、「意識」たる「コト」を極めた「数字」「数式」をもって宇宙の記述しようとします。面白いのは、「数字」「数式」という、「コトの端」「文法」が非常にシンプルであるということです。
一般的な言語としての「言の葉」は、それぞれの人や共同体や風土の「モノ」をまとっているため、結局マコト(真理)の描写ができません。
一方、数字や数式は非生物的であるからこそ、はっきりとした輪郭線を持ち、結果として、それ自身以外の「モノ」世界を逆説的に表象することができます。
同様にコトを追究する人間のモノ性が鮮明になるから、それが「人間的魅力」や「物語」になりうるわけですね。
「何もたしかに言えないということはたしかに言える」
「わからないが信じる」
「愛という方程式」
この映画でセリフとして語られる言葉は、そうしたモノとコトの関係と葛藤を見事に表現してくれていると感じました。
良い映画です。
Amazon ビューティフル・マインド
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