名盤ドキュメント YMO『ソリッド・ステイト・サヴァイヴァー(1979)』
いろいろ説明する必要もありませんね。
このアルバムに初めて針を落とした瞬間…私にとっても忘れられない体験でした。
正直言うと「わからない」でした。しかし、「わからない」は非常に刺激的でもあったのです。
当時、私は15歳。ビートルズから70年代のロックを一通り聴き終え、ELOのファンクラブに入り、毎週ビルボードのチャートをノートに記録し、クラフトワークなんかも友人の影響で聴き始め、またヴァイオリンを弾き始め、バロック音楽にも興味を持ち始めた頃。
日本中、いや世界中の人たちがビックリしたように、私もYMOをどう評価すればいいのかわからなかった。つまり、今まで聴いたことがない音楽、その系譜すら想像すらできなかったのです。
今、たとえばそういう音楽に出会うことはありません。大概、その系譜は見当がつきますし、音楽的構造もだいたいリアルタイムで概観できる。
そんなある種の知恵がついた今でも、こうして分析的に解説されて初めて知ること、あるいは知ってもわからないことがある。こういう音楽は後にも先にもなかなかない。それでいてキャッチーなんですから。
先日、この番組にも登場している川添象郎さんと中沢新一さんにお会いする機会があり、仲小路彰について貴重な証言を得ることができました。
皆語るのは「天才中の天才」。言葉では説明できない。ああいう人はいない。
間接的に、いや直接的にもその超天才の影響を受けているYMO。特に仲小路の「未来学原論」の影響は大きい。今、その再版に向けて着々と準備を進めているところです。とりあえず全文のテキスト化(打ち込み作業)は終わりました。
あの本が「21世紀の地球との対話」であったように、YMOの音楽は21世紀人である我々に向けたメッセージなのでしょう。本当にありがたいことです。
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