『禅語を生きる』 山川宗玄 (春秋社)
一昨日の夜、山川宗玄老大師さまと一献傾けました。
心の師とじっくりお話させていただく贅沢な時間。まさに「有り難い」体験。野狐禅を極めんとしている(?)私には、本当に勿体ないことです。
秋に岐阜は伊深の正眼寺さんを訪ねた際、老師さまは大変忙しくていらっしゃり、対面は叶いませんでしたが、このご著書をいただいて下山いたしました。
それから何度読み返したことでしょう。紹介されている禅語はなんと70。それぞれが一つのストーリーであるとともに、それらが有機的に絡み合い、実に豊かに展開する。
一昨日も老師さまに申し上げましたが、この本は本当に生きた「公案」です。
ある意味これほど読みすすめるのに難渋した本はないほど。いえ、難しくはないのです。逆に実にわかり良い。
しかし、この本でも繰り返されているとおり、私たちにとっての「わかり良い」は、実はとても危険です。
禅はその安易な「わかり良い」を排するところから始まると言ってよいでしょう。まさに「如是」。言葉を超えて体験的に「悟る」ことしか許されません。
そう、「公案」や「禅語」という「言語」をもって、最も注意すべき敵である「言語」をやっつけるのです。
そのパラドックスこそ、禅の奥義であり、私がこの本に難渋した理由でもあるのです。
どうでしょうね、今の私にとって、この70の禅語のうち、体得的に血肉になっているなと感じたのは5つくらいでしょうか。表面的にはすべて理解できたつもりですが、どこか他人事のような感じがするものがほとんど。
老師さまとのお話は自然と教育の方面に向かいましたが、まさに今の教育は言語に偏りすぎていますね。そして、人権と称して、皆が自我を最優先するようになってしまった。学校も大変ですが、僧堂も大変ですね。
次、老師さまと問答する時、はたして私はいくつの禅語をものにしていることでしょう。
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