『カツベン』 周防正行監督作品
昨日のヴィム・ヴェンダースに続き、小津安二郎に多大な影響を受けた監督さんの作品を一つ。
画作り的にもそうですが、台詞回し、そして脚本的にも小津イズムを継ぐ周防監督ですが、この作品でもそれを感じさせます。とはいえ、それは初期の作品に比べればそれほど濃厚ではありません。
私は、この作品の、特に後半のドタバタ感にそれを小津を感じましたね。全体としては落ち着いて安心して観ていられる巨匠的な作品だと思いますが、もしかすると人によっては後半のドタバタについていけないかも。
それこそ小津のサイレント作品はこういうドタバタですよね。ですから、この映画もサイレントで観てみたいとさえ思ったのでした。というか、実際一部音声を消して、1.5倍速で観たら面白かった(ついでに自分でも弁士をやってみた)。
映画の掉尾、稲垣浩監督の言葉が重いですね。最後まで観て初めて映画全体の言いたかったことがわかった。
かつて映画はサイレントの時代があった
しかし日本には
真のサイレントの時代はなかった
なぜなら
「活動弁士」と呼ばれる人々がいたから
なるほどですね。
ところで、私もけっこうカツベンのようなことしてますし、それから楽師のようなこともやってますな。即興的に話をする仕事はもちろん、語りや講談などにアドリブで音楽や音をつける仕事が時々入ります。
そうそう、この映画の音楽も面白かった。邦楽器と洋楽器が混ざり合い、邦楽と洋楽が混ざり合っていた時代。あの頃の大衆音楽は面白いんですよね。ヴァイオリンの受容のされ方とか象徴的です。それこそ絹の弦を普通に張ってましたから。
この映画は、時代考証的にはいろいろフィクショナルな部分が多いと思いますが、それこそ「活動写真」の世界観でしょうから、細かいこと言うのは野暮天ということです。まあ、いろいろな意味で観客を選ぶ作品かもしれませんね。私は好きです。
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