柴門ふみ 『美は乱調にあり』 (瀬戸内寂聴 原作)
昨日「命をかける」話を書きました。戦後の人権重視社会においては、自他の「命」の重さが表面的に語られるばかり。命を直視することを避けているかのようです。
良いか悪いかは時代によって判断が変わることとして、戦前、戦中は実際に「命をかけた」人たちが多数いたのは事実です。
私は、特に社会変革に命をかけた人たちに興味があります。それがどのような主義に基づくかは別として、それらを意気に感じ、やむにやまれぬエモーションによって生きて死んで行った人たち。
今日はそんな人々の中から伊藤野枝を取り上げましょう。女性の地位向上、社会主義、自由、そして「恋」に命をかけた伊藤野枝。
不思議なもので、私の静岡の実家から歩いて5分とかからないところに、伊藤野枝(と大杉栄)のお墓があります。
このお墓については、こちらで一度紹介しました。大杉栄と安藤輝三…左右の象徴のような二人が愛国に命をかけ、そしてともに国家によって命を奪われ、私の実家のある静岡市沓谷にひっそりと眠っているというのは、本当に不思議な運命です。
アナーキストにしてフリーラブ実践者の大杉栄に恋し命を預けた伊藤野枝。昨年、吉高由里子さんが伊藤野枝を演じた「風よあらしよ」がNHKで放送されましたよね。
あのドラマもなかなか面白かったのですが、やはりNHKらしくきれいにまとめてしまっていたので、皆様にはまずはこちらのマンガを紹介したいと思います。
瀬戸内寂聴の原作を柴門ふみさんがマンガ化した作品です。女性の心理&肉体描写に優れたお二人のコラボということで、簡潔ながら心に迫る佳作となっています。
特に女性の皆さんに読んでいただきたいですね。いや、今の男子にも。今いないもんなあ、こういう女も男も。
この作品を読んでから、「風よあらしよ」をドラマで観たり、原作で読んだりすると、より理解と感動が深まると思いますよ。
Amazon 美は乱調にあり
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