天王坂に思う
天皇誕生日。四谷に用事があって行ってきました。
「天皇」にちなんだわけではありませんが、往時の「天王」を偲んできました。
いつも使う休日格安の駐車場のすぐ近くにあるのがこの坂。
坂を下ると正面に、ちょうど昨日紹介した「日刊ニャンダイ」にインタビュー記事が載っていましたね、新海誠監督の「君の名は。」のラストシーンで有名になった須賀神社のあの階段があります。今日もまた外国人がたくさん記念写真を撮っていました。
あの方々、ちゃんと須賀神社も参拝していてエラい!日本人は階段で写真撮ってそのまま帰ったりする(苦笑)。
天王坂の名前もこの神社にちなんでいます。全国の多くの須賀神社がそうであるように、この四谷の須賀神社もかつては寺と習合した「牛頭天王社」でした。四谷の総鎮守として「天王様」「てんのうさん」と呼ばれ親しまれてきた由緒ある神社。
祇園社の末社のような存在ですね。ですから、祭神は牛頭天王すなわちスサノヲの尊。
その牛頭天王社に向かう坂ということで、かつては天王坂と呼ばれていたわけです。今でもそのあたり一帯を天王横丁と言うのはそういうわけです。
江戸時代、天王横丁から牛頭天王社にかけては大変多くのお寺が密集している地域でした。牛頭天王社ももともとは宝蔵院というお寺が母体となっており、そこに神田明神から牛頭天王を勧進したとのとこ。
それが、最悪の宗教弾圧事件ともいえる廃仏毀釈によって、明治元年宝蔵院は廃寺。インドを起源とし、また「てんのう」を名乗る牛頭天王社はある意味不敬ということでしょうか、「須賀神社」と改名させられました。
そういえば、富士吉田の天神社も、もともと牛頭天王社だったものが「天神社」となり、「てんのうさま」が「てんじんさま」になってしまって、菅原道真公を祀る神社とされてしまいしまたね。
まあいろいろとひどい話です。
出口王仁三郎がスサノヲの復権を唱えたのには、このような牛頭天王の事情もあったのではないでしょうか。
しかし、本体の神社が改名させられても、周辺の地域には、村の名前として、坂の名前として、また横丁の名前として残っていることはよくあること。
明治政府の徹底が足りないところというか、いやあえて完全抹殺しなかったところというか、牛頭天王のしぶとさというか、実に日本的でもあると感じるところですね。
そして、そこになぜか外国人が訪れている…無意識のうちに天王坂を下り、天王横丁を通ってあの階段を上り、スサノヲに手を合わせる…なるほど、「天王様」の復活劇はこうして意外な形で着々と進行しているのだなと感じた「天皇誕生日」、そして「富士山の日」でありました。
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