「生まれてきちゃってごめん」vs「生まれてすみません」
なんだかウチの長女がこの曲を聴いてストレス解消しておりました(笑)。というか、完全に解消できたようで、この曲のパワーはすごいという話になりました。
HoneyWorksの「可愛くてごめん」。TikTokとかではやっているらしい。
歌詞を読んでみますと、たしかに面白い。徹底した自己肯定の歌ですね(笑)。
特に私がおおっ!と思ったのは、「生まれてきちゃってごめん」という一節です。
これと表面的には同じ意味になるのが、太宰治の「生まれてすみません」です。両方とも英訳すると「I'm sorry I was born」。
しかし、おわかりのとおり、文脈的には全く逆の意味になりますよね。これは実に面白い。
そう、太宰は徹底した自己否定。
まあ、「人間失格」につながるとも言える「二十世紀旗手」の「生まれて、すみません」は、ある詩人の一行詩をまんまパクったもので、それこそ謝ってほしいくらいなのですが…つまり、太宰は「自己否定(風)」を商品にして自己肯定していた人物なので、一周回っておめでたいとも言えますね(笑)。
現代の悩める若者は、こうしてストレートに自己を表現してストレスを発散する。近代の悩める若者は、あのようにひねくれて自己を表現してストレスを発散していた。
はたして、どっちがいいのでしょうか。
いつも書いているように、私は、近代私小説というのは日本文学史上、非常に特殊な変態型であると思っています。近代日本が西洋の自我に出会って慣れない思索に興じた、一種の戯れであって、それは太宰と三島の死によって勝手に自己崩壊したと感じています。
日本の伝統的な潔さ、素直さ、清らかさという意味では、「生まれてきちゃってごめん」の圧勝だと思うのですが、いかがでしょう。
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