追悼 アントニオ猪木さん
今日は横浜でモーツァルトを演奏。終演後開いたスマホに悲しいニュースが…。
燃える闘魂が燃え尽きてしまった…。
最期の最期まで、過激なプロレスラー、過激な役者でありつづけたアントニオ猪木。
「最期の言葉」の動画も、痛々しいだけでなく、私たちの心を強く揺さぶる何かを表現しています。
陳腐な言い方になってしまいますが、なるほど「弱さを隠さない強さ」というのはあるのですね。
ごまかさない、嘘をつかないことには本当に勇気がいります。強さが必要です。
普通のレスラーなら、肉体的、精神的な衰えをファンに見せたくないでしょう。それが普通です。
しかし、彼はあえてそれを晒すことによって、私たちを挑発し続けました。
世阿弥は、その年齢ごとに花があり、それを活かし見せ続けることを能役者の仕事としました。
私は常に能とプロレスを同じ次元の舞台芸術として見てきましたが、こうして「花が枯れて落ちる」ところまで見せつづけた役者は、アントニオ猪木が初めてでしょう。
観阿弥のように最期まで舞台に上がり続けたり、三沢さんのようにリング上の事故で亡くなったレスラーはいましたが、リング、舞台を降りてまで、その衰えゆく心身を隠さずに晒し続けた人はいませんでした。
何年前でしょうね、夫婦で一緒に写真を撮らせていただきました。この頃もうすでに、肉体はボロボロという感じでしたが、「元気があればなんでもできる!」を体現されていて、私たちも勇気と元気をいただきました。
若い頃は、私たち夫婦はともに完全なる全日派でして、猪木さんに対してはある種の嫌悪感すら感じていたのですが、もちろん今となれば、それも見事に猪木さんの手のひらの上で転がされていたのだと実感できます。
運命は面白いもので、ここ20年くらいは猪木さんはじめ、元新日本のレスラーの方々とのご縁が増えました。
そんなところも含めて「プロレスは人生だ」とも思いますし、「人生はプロレスだ」とも思う次第です。
馬場さんからは「和魂(にぎみたま)」を学びました。猪木さんからは「荒魂(あらみたま)」を学びました。なるほど、こうして神話的世界は今に続き、これからも継承されていくのでしょう。
本当に素晴らしい「神」でした。ありがとうございました。ゆっくりお休みください。
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