誡太子書(花園天皇)現代語訳(1)
天皇陛下がたびたび言及されている「誡太子書」。
花園天皇が自らの皇太子に対しての大変厳しい言葉を綴った文書です。代々の天皇、皇太子に対する永遠のメッセージとも言えましょう。
また、私たち庶民の生き方に対する一つの指標であります。
原文は厳格な漢文で、なかなか読みにくいので、私なりに書き下したのち、わかりやすく現代語訳してみました。
あくまでもワタクシ流の解釈です。細かい質問などにはお答えできません。あくまでも御参考までに。
数日に分けて公開します。
誡太子書
私(花園天皇)が聞くところによれば、天が庶民を生み、君子を立てて民を養うのは、人や物をうまく利用するためである。民は愚かであり、これを導くのに仁義をもってし、凡俗の無知を治めるのに政治を以てする。もしその才能がなければ、君子の位についてはならない。人民の一つの官職でさえも、これを失うと、やはり天下は乱れるという。すきを狙う鬼の災いは逃れることができないのだ。ましてや、君子の大切な仕事については、必ず慎み、恐れなければならない。
それなのに、皇太子は宮中の人たちの手によって成長し、いまだ庶民の苦難を知らず、常に華やかな衣服を着て、糸を紡ぎ布を織る大変さを思うことがない。いつまでも庶民の供した穀物のおいしい料理を腹いっぱい食し、いまだ種植えや刈り取りの苦労を知らず、国に対してかつて少しの功もなく、民に対してほんの少しの恵みもなかったではないか。
ただ先帝の残した威光というものをもって、何も考えず君子の政務の重責を遂げようとする。徳がないのに誤って王侯に託し、功もないのにもし庶民の中に赴くならば、これほど恥ずかしいことがあろうか。また、詩書礼楽という庶民をまとめる四術をどうやって習得するのか。皇太子自ら反省してほしい。もし(詩経にあるがごとく)温かみと誠実さの教えをを身につけ、諸事に通じる見識で世の意味を悟れば、それは善いことである。とはいえ、やはり足りないことがあることを恐れ、ましてやいまだ自らが道徳を身につけず、少しでもかの重い位を期待するのであれば、これは求めることと為すべきこととが違っていることになる。たとえば、まるで網を捨てて魚がかかるのを待ち、耕さないで穀物が熟すのを期待するかのようである。これらを得ることは決して難しくない。たとえ勉強してこれらを得たとしても、おそらくはそれは自らのものになっていない。
| 固定リンク
「育児」カテゴリの記事
- 【戸塚宏】令和の今、体罰を語る(2024.08.20)
- 『日本の鉄道車両 完全図鑑 2024ー2025年』 (GAKKEN MOOK)(2024.04.17)
- COTEN RADIOショート やなせたかし編(2024.04.15)
- 秋山歌謡祭2024(2024.03.27)
- 桜田小学校跡にて(2024.03.05)
「経済・政治・国際」カテゴリの記事
- 映画『226』無料公開中(2025.02.11)
- 『もしも徳川家康が総理大臣になったら』 武内英樹 監督作品(2024.08.16)
- 【厳秘】大戦終末に関する帝国政府声明の骨子(その3)(2024.08.15)
- 【厳秘】大戦終末に関する帝国政府声明の骨子(その2)(2024.08.14)
- 【厳秘】大戦終末に関する帝国政府声明の骨子(その1)(2024.08.13)
「書籍・雑誌」カテゴリの記事
- 『東京音頭』を唄った三嶋一聲は20世紀の浦島太郎?(2025.02.12)
- 南部と津軽と甲州と…(2024.07.31)
- 死なない力(2024.07.18)
- 『今永昇太のピッチングバイブル』 (ベースボール・マガジン社)(2024.07.17)
- ハイデガーVS道元…哲学と仏教の交差するところに、はじめて立ち現れてきた「真理」とは?(2024.06.03)
「文化・芸術」カテゴリの記事
- いかりや長介と立川談志の対話(2024.08.19)
- 九州人による爆笑九州談義(筑紫哲也、タモリ、武田鉄矢)(2024.08.18)
- 全日本プロレス祭 アリーナ立川立飛大会(2024.08.17)
- 『もしも徳川家康が総理大臣になったら』 武内英樹 監督作品(2024.08.16)
- ラモー 『優雅なインドの国々より未開人の踊り』(2024.08.12)
「教育」カテゴリの記事
- 【戸塚宏】令和の今、体罰を語る(2024.08.20)
- いかりや長介と立川談志の対話(2024.08.19)
- 柔道混合団体銀メダル(2024.08.03)
- 祝! 舟久保遥香 銅メダル(2024.07.29)
- 仏様の指(2024.07.26)
「文学・言語」カテゴリの記事
- いかりや長介と立川談志の対話(2024.08.19)
- 九州人による爆笑九州談義(筑紫哲也、タモリ、武田鉄矢)(2024.08.18)
- 富士山と八ヶ岳のケンカ(2024.08.10)
- 上野三碑(こうずけさんぴ)(2024.08.06)
- 東北のネーミングセンス(2024.07.28)
「歴史・宗教」カテゴリの記事
- 『東京音頭』を唄った三嶋一聲は20世紀の浦島太郎?(2025.02.12)
- 映画『226』無料公開中(2025.02.11)
- 『東京暗黒街・竹の家』 (サミュエル・フラー監督作品)(2025.02.07)
- 九州人による爆笑九州談義(筑紫哲也、タモリ、武田鉄矢)(2024.08.18)
- 『もしも徳川家康が総理大臣になったら』 武内英樹 監督作品(2024.08.16)
コメント