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2022.05.02

『フリーデマン・バッハのためのクラヴィーア小曲集』 ユアン・シェン(クラヴィコード)

 

 国のピアニストにして、バロック期のオリジナル楽器演奏にも卓越したセンスを感じさせるユアン・シェン。

 こんな言い方は失礼かもしれませんが、いよいよ中国にもこういう奏者が現れたかという感じですし、いつのまにか中国に抜かれた的なことが、この分野でも起きつつあるのだなと思いました。

 このフリーデマン・バッハのための練習曲集は、父バッハが長男の「作曲」の勉強のために編集したものです。当時ヴィルヘルム・フリーデマンは10歳から13歳くらい。長男に対する父親の英才教育を知る上でも、また、その後の改編に見るそれこそ父バッハの「作曲術」を知る上でも、大変貴重な曲集です。

 まあよくあることですが、長男は父親の偉大な才能に圧迫され妙な人生を歩むことになり、次男以降の息子たちの方が、ずっと自由に音楽界で羽ばたき音楽史にも名を残したのは皮肉です。

 私はそんなちょっと可哀想な長男の作品が好きでして、その原点となったこの曲集にもまた特別な思い入れがあるのでした。

 それにしてもユアン・シェンのクラヴィコードの素晴らしいこと。たしかに父バッハのことですから、長男にはクラヴィコードで弾きなさいと言ったかもしれませんね。そうだとすると、単に「作曲」のための練習曲集ではなく、「演奏」のためのそれだったとも言えそうです。

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