出口王仁三郎 「天災と人震」(『惟神の道』より)
ここのところ、各地で地震が頻発しております。特に注目は京都の亀岡周辺を震源とする群発地震です。
3月31日のM4.3震度4に始まり、ほぼ同じところを震源とする地震が続いております。
亀岡周辺には三峠・京都西山断層帯が走っており、1968年、1972年にはM5を超える中規模の地震が発生していますし、古記録に残る京都盆地に被害を及ぼした大地震のいくつかの震源は亀岡周辺とも考えられています。
気象庁も注意を促しました。気をつけたいところです。
さて、亀岡といえば大本の天恩郷。出口王仁三郎は地震についてどんなことを述べているのでしょう。今日はいくつかある言及のうち、昭和10年刊の「惟神の道」から抜粋して紹介しましょう。「天災と人震」という文章です。
なるほど、我が国の文化は「地震の花」であり、日本は自然(神)の恩寵を多く受けるからこそ、それに背くと天災が起きるというわけですね。そして、天災がなければ「人震」が起きるというのも面白い考え方であります。
冒頭の部分も含めて、なかなか良い文章ですので、ぜひお読みください。
(以下引用)
日本の国民は古来抱擁性に富み、世界の文化をことごとく吸収して同化し精錬して更により以上美はしきものとしてこれを世界に頒与する所に日本人の生命があり、使命があり、権威があるのである。しかして緯に世界文化を吸収してこれを精錬すればするほど、経に民族性が深めらるべきはずだのに、現代の日本は外来文化の暴風に吹きつけられるほど固有の民族性の特長を喪ひつつある状態は、あだかも根の枯れたる樹木に等しいものである。日本人は日本人として決して何れのものによっても冒されない天賦固有の文化的精神を持ってをるのである。それが外来文化の侵食によって失はれむとする事は、祖国の山河が黙視するに忍びざるところで無くてはならぬ。
かくの如き時に際して天災地妖が忽焉として起こり国民に大なる警告と反省を促したことは今代に始まつたことでなく、実に建国以来の災変史が黙示する所の真理である。近くは元和、寛永、慶安、元禄、宝永、天明、安政、大正に起った大地震と当時の世態人情との関係を回顧するも、けだし思ひ半ばに過ぐるものがあるではないか。
さて、我が国の記録に存するもののみにても大小一千有余の震災を数へることが出来る。その中で最も大地震と称されてゐるものが、百二十三回、鎌倉時代の如きは平均五年目ごとに大地震があったのである。覇府時代には、大小三十六回の震災があった。しかも我が国の発展が何時もこれらの地震に負ふところが多いのも不思議な現象であるのだ。奈良が滅び、京都が衰へ、そして江戸が発展した歴史の過程を辿ってみれば、その間の消息がよく窺はれるのである。
全体我が国の文化そのものは全く地震から咲き出した花のやうにも思はれる。天祖、国祖の大神の我が国を見捨て給はぬ限り、国民の生活が固定して、腐敗堕落の極に達したたびごとに地震の浄化が忽焉と見舞って来て一切の汚穢を洗浄するのは、神国の神国たる所以である。
古語に「小人をして天下を治めしむれば天禄永く絶えむ、国家混乱すれば、天災地妖臻る」とあるのは、自然と人生の一体たることを語ったものである。人間が堕落して奢侈淫逸に流れた時は、自然なる母は、その覚醒を促すために諸種の災害を降し給ふのであった。しかも地震はその極罰である。
我が国に地震の多いのも、神の寵児なるが故である。自然否天神地祇の恩寵を被ることの多いだけ、それだけにその恩寵に背いた時の懲罰は、一層烈しい道理である。もし地震が起らなければ人震が起ってその忿怒を漏らすに至る。近くは天草四郎や由良民部之介、大塩平八郎乃至西郷隆盛の如き、みなこの人震に属するものである。
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