アルビノーニのアリア
昨日のテレマンについても、正当な評価が得られているか疑問を呈しましたが、こちらアルビノーニはもっとその功績が知られていない作曲家かもしれません。
なにしろ、一番有名なアルビノーニの曲が、近代の偽作である「アルビノーニのアダージョ」なのですからね。
かく言う私も器楽曲は全て聴き、そしてかなりの数を演奏してきましたが、その主たる作品群である声楽作品についてはほとんど知りません。
というか、本国イタリアでもその50曲以上あったと言われるオペラの楽譜は失われており、その全体像を知るすべがなくなっている現状です。
しかし、一部のアリアは、当時ヒット作だったのでしょう、楽譜が残っていて演奏もされています。
今日はその中の1曲を紹介します。これもまた隠れたバロックの名曲ですね。
オペラ「L'incostanza schernita」からアリア「Quel sembiante e quel bel volto」です。イタリア語がよく分からないのでAIに翻訳してもらったら、オペラ「嘲笑される不定愁訴」からアリア「その表情、その美しい顔立ち」とのことです(笑)。
このメロディーのおおらかさ、器楽(ヴァイオリン)の簡明な美しさはアルビノーニならではであり、これはある意味その後のモーツァルトのオペラのアリアにつながっていく要素があると感じます。
もう1曲聴いてもらいましょうか。オペラ「Il Nascimento Dell'Aurora」からアリア「Aure! Andate e baciate」です。これはAIでもなんだかうまく翻訳できません。とりあえず、歌としては「風よ!行け。そしてキスせよ」的な感じのようです。
明るくていい曲ですね。ちなみにこのソプラノ、男性なんですよ!
ナチュラル・カストラートと言われるラドゥ・マリアンです。彼はモルドバ出身ですが、イタリアとロシアで勉強し、特に古楽を得意とするソプラノ歌手です。
ホルモンの関係で声変わりをしないまま大人になったという「ラッキー・ボーイ」です。キワモノ的に見られることもあるでしょうが、その歌唱力はホンモノです。
ライヴ映像がありましたので、ぜひご視聴ください。ヘンデルの名曲を実になめらかに美しく歌っています。バロック・ヴァイオリンはヴィオラ・ダモーレの名手としても有名なヴァレリオ・ロジトですが、マリアンに負けず劣らずの歌心と即興性ですね。
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