国宝 藤原定家「源氏物語 胡蝶」注釈書発見!
2019年に定家の「若紫」写本が発見され大ニュースになりました。それに続き、こちら「定家筆源氏物語奥入」もまた大発見ですね。
掛け軸に貼られた形での発見。昔はこうして貴重な古い文献の一部を切り取って観賞用に仕立てるということはよくあったこと。
ある意味大胆な行為ですが、そのおかげで断簡が残っているケースも多く、文化財保存の観点からすると一定の価値あることでもあります。
ところで、この画像を見てふと思ったことがあります。
まず目についたのが「徐福」の文字。源氏になんで徐福?と思ったら、胡蝶の中の舟中の遊びの際の歌、
亀の上の山も尋ねじ舟のうちに
老いせぬ名をばここに残さむ
が、白居易の白氏文集の中の「海漫漫」の影響を受けていると註釈しているわけですね。なるほど。
たしかに蓬莱山は霊亀が甲羅の上に背負われていますし、不老不死の薬を求めた徐福の物語は当時すでに中国、日本で人気がありましたから、それをふまえての「蓬莱山を尋ねるまでもない。舟の中で不老の名を残そう」と詠んだというわけです。
上の写真にある定家の注にも引用されているとおり、「海漫漫」では徐福は詐欺師のような扱いを受けています。「蓬莱山は見つからず空しく舟の中で年老いた」と。
しかし、そうした記述は当時の権力者に忖度してのこと。書き残されたものとは反対に、徐福は独裁者をうまくだましその権力下から脱出した英雄ととらえられているのが面白い。現代中国でもそうなのです(現代中国だからこそかも)。
平安時代にはすでに徐福は日本に到達したという説が支持されており、源氏物語が書かれたころにはさらに「蓬莱山=富士山」という説も少しずつ一般化しつつあったと思われます。
源氏物語にはさりげない「富士」に対する言及が2ヶ所あるのですが、上記をふまえますとこの部分は間接的な富士山についての記述ということもできるかもしれません。
富士山麓に永住した徐福が書いた(ものも含まれる)と伝えられる、トンデモ文献「宮下文書」を愛読する者としては、そんな妄想までしてしまうのでありました。相変わらずの「統合過剰」なワタクシであります。
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