『火口のふたり』 荒井晴彦監督作品
榊英雄監督、女優への性加害報道を受け新作映画「蜜月」25日公開が中止、今後は未定…といういやなニュースが。
榊英雄さんと言えば、「この窓は君のもの」の初々しい演技が印象的でした。大人になって純粋さを失うどころか、邪悪になってしまったのですね。まあ男なんてそんなものでしょうが。
「この窓は君のもの」という幻の名作については、こちらでも触れています。この映画の大ファンだというのが、本日紹介の「火口のふたり」に主演している柄本佑さんです。
たしかに「きみの鳥はうたえる」にしても、この「火口のふたり」にしても、若い男ならではの「純愛と性欲」の葛藤のようなモノが表現されていました。その原点は「この窓は君のもの」なのかもしれません(いまだに配信もDVD化も実現していませんが、興味のある方はこちらでどうぞ)。
さて、この「火口のふたり」、けっこう激しい情交のシーンが続きますが、なんか不思議とそれがいやらしくなく、どちらかというと「純愛」の雰囲気を醸すのです。
言葉で言ってしまうと「結婚前に元彼と密会してやりまくる」みたいな感じになってしまいますが、実際の印象は全く違う。いつのまにか、なにげない会話や表情や、秋田の風景の方が主役になっていく。
そう、この映画にはウチのカミさんのふるさとの祭が重要なシーンとして出てきます。西馬音内盆踊り。私も何度もリアルに体験しましたが、あれほどエロチックな祭も珍しい。
脚本・監督の荒井晴彦さんがお気に入りで、映画のシーンに挿入したかったとのこと。ワタクシ的には、もう少し積極的にフィーチャーしても良かったかなと思っています。あの歌詞の世界なんかすごいですから(笑)。
ちなみに「火口」とは富士山の火口であり、また隠喩的に木花咲耶姫と瓊々杵命の関係を表現していると思いますが、これもまた私にとっては大変身近なエロス的存在であります。
そういう意味で、この映画には不思議な親近感と、一方でごく私的な違和感を抱くのでした。そこも含めて名作です。
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