『受胎告知』 田中登 監督作品
「(秘)色情めす市場」を記事のタイトルにする勇気がありませんでした。そこで原題「受胎告知」を採用いたしました(笑)。
日活ロマンポルノの絶対的名作。なにしろ、今年のベルリン映画祭での上映が決まったのですから。
日活ロマンポルノ史上初、世界三大映画祭の一つベネチア・クラシック部門選出
黒澤、小津、溝口らと並んで、田中登の作品が世界で認められたというのは、なんとも感慨深い。
昨日紹介の荒井晴彦監督からのつながりです。
荒井晴彦さんの実質的な脚本デビュー作(根津甚八さんのデビュー作でもあります)「濡れた賽ノ目」(若松孝二監督)の併映が、この田中登監督の「㊙︎色情めす市場」でした。
荒井晴彦さん、併映されたこの名作にショックを受けたそうです。それはそうですよね。こんなすごい作品と並んだら…。
昨日の「火口のふたり」もそうですが、エロを扱いつつ、完全にエロを越えて生命そのものを描くというのは、まさに芸術の領域の出来事です。
ご存知のように、日活ロマンポルノの世界には、そういう芸術の原点があるのです。低予算であり、撮影期間も短く、また絡みの頻度が決められているなど制約の多い中、いや制約が多いからこそ生まれた名作群(もちろん駄作も大量生産されましたが)。
その名作の中でもトップに位置するのが、この「受胎告知」でしょう。
最近改めて鑑賞しましたが、これはたしかにベルリンで上映されてしかるべき作品ですね。あいりん(釜ヶ崎)に生きる男女のたくましい命。
モノクロにおける光と影。カラーにおける色彩の意味。実験的である以前に古典的。現実的にして象徴的。そして、大げさに言うなら「ああ、こうして人類は絶滅せずつながってきたのだ」という科学的真理。
考えてみると、「ドライブ・マイ・カー」は正統的にこの日本的映画世界を継承していますね。
なるほど、こういう時代だからこそ、映画によって世界が日本的世界を再発見するきっかけが増えていることは、素直に喜ぶべきことですね。
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