『赤い闇 スターリンの冷たい大地で』アグニェシュカ・ホランド監督作品
「人間こそ唯一の敵。人間を排除せよ。それで飢餓と過労の根源は絶たれる」…共産主義が招く、唯物論、そして権威主義。この映画でその犠牲となるのはウクライナの人々。
現在進行形のウクライナ戦争における、ウクライナ人たちのロシアに対する根深い負の感情は、この映画を観ればわかります。
1930年代、美化されたスターリンの「革命」「実験」の裏で、1000万人以上が人工的に飢餓状態にさせられ、600万人以上が出生抑制されたと言われる「ホロドモール」。
ホロコーストよりも残虐で大規模であるとも考えられ、今では西側諸国はソ連の人道的犯罪であると認定しています。
その舞台の中心になったのがウクライナなのです。
この映画は、その「真実」を暴くために命がけで現地に潜入した、実在の英国人記者ガレス・ジョーンズを主人公とした作品です。
共産主義体制は崩壊したかのように見えますが、90年前に形成された唯物論的世界観、そして権威主義は、現在のロシア、そして中国、北朝鮮に根強く残っており、その影は、まさに「赤い闇」として今でもウクライナを覆っているのです。
これほど高度情報化が進展しても、おそらくマスコミと大衆の性質や、情報そのものの信憑性は、90年前と何ら変わっていないでしょう。
どこか対岸の火事としてニュースを眺めながら、一方で情動的な言動に終始してしまう私たち日本人は、少なくともこの映画を観て、その本質的な部分を考えるべきではないでしょうか。もちろん、西側の偽善的な歴史についても思いを馳せながら。
ガレスはのちに満州でソ連の手先に捕らえられ射殺されました。今でも真実を暴くのは命がけです。
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